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12月02日-03号

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  1. 京都市議会 2015-12-02
    12月02日-03号


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    平成27年 11月 定例会     平成27年     定例会       京都市会会議録 第3号     11月市会                    平成27年12月2日(水曜日)出席議員(67名)   1番 大西ケンジ議員   2番 菅谷浩平議員   3番 こうち大輔議員   4番 宇佐美けんいち議員   5番 豊田貴志議員   6番 森川 央議員   8番 山本陽子議員   9番 平井良人議員  10番 やまね智史議員  13番 森 かれん議員  14番 大津裕太議員  15番 西山信昌議員  16番 かわしま優子議員  17番 国本友利議員  19番 平山たかお議員  20番 津田大三議員  21番 西村善美議員  22番 ほり信子議員  23番 山田こうじ議員  24番 森田ゆみ子議員  26番 江村理紗議員  27番 山集麻衣子議員  28番 山本ひろふみ議員  29番 青野仁志議員  30番 平山よしかず議員  31番 吉田孝雄田孝雄議員  32番 湯浅光彦議員  33番 加藤昌洋議員  34番 森田 守議員  35番 田中たかのり議員  36番 みちはた弘之議員  37番 くらた共子議員  38番 河合ようこ議員  39番 樋口英明議員  40番 加藤あい議員  41番 赤阪 仁議員  42番 村山祥栄議員  43番 天方浩之議員  44番 中野洋一議員  45番 隠塚 功議員  46番 山岸たかゆき議員  47番 安井つとむ議員  48番 曽我 修議員  49番 久保勝信議員  50番 しまもと京司議員  51番 椋田隆知議員  52番 下村あきら議員  53番 西村義直議員  54番 吉井あきら議員  55番 田中明秀議員  56番 山本恵一議員  57番 山中 渡議員  58番 井坂博文議員  59番 北山ただお議員  60番 玉本なるみ議員  61番 西野さち子議員  62番 井上けんじ議員  63番 鈴木マサホ議員  64番 大道義知議員  65番 ひおき文章議員  66番 寺田かずひろ議員  67番 中村三之助議員  68番 橋村芳和議員  69番 小林正明議員  70番 繁 隆夫議員  71番 富 きくお議員  72番 井上与一郎議員欠席議員(なし)   議事日程   開議日時 平成27年12月2日(水)午前10時   一般質問 (1)市政一般について  山本恵一議員 (2)市政一般について  下村あきら議員 (3)市政一般について  田中たかのり議員 (4)市政一般について  西野さち子議員 (5)市政一般について  平井良人議員 (6)市政一般について  曽我 修議員 (7)市政一般について  国本友利議員 (8)市政一般について  鈴木マサホ議員 (9)市政一般について  村山祥栄議員 (10)市政一般について  豊田貴志議員~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時1分開議〕 ○議長(津田大三) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は,席上に配付いたしておきました。 本日の会議録署名者を指名いたします。大津裕太議員と菅谷浩平議員とにお願いいたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(津田大三) この場合,議長から御報告申し上げます。 今回受理いたしました請願9件及び陳情1件は,お手元に配付してあります文書表のとおり,所管の常任委員会に付託又は回付いたします。 以上御報告申し上げます。御了承願います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(津田大三) 日程に入ります。これより一般質問を行います。 発言の通告がありますので,これを許します。市政一般について,山本恵一議員。 〔山本恵一議員登壇(拍手)〕 ◆(山本恵一議員) 北区選出の山本恵一でございます。自由民主党京都市会議員団を代表し,副団長として,トップを切って質問いたします。私に引き続きまして,同僚の下村あきら議員田中たかのり議員と共に質問しますのでよろしくお願いいたします。 さて,現在,人口減少社会や東京一極集中といった課題が叫ばれる中,近畿圏の復権が強く求められております。我が自由民主党では,西日本全体の地方創生や我が国の財政再建を具現化するための方策として,近畿メガリージョン構想を掲げ,その実現を目指しております。この構想とは,リニア中央新幹線や北陸新幹線の早期整備などにより,首都圏に匹敵する都市圏を京阪神中心に築き上げることを目指すものであり,京都もその中心的な役割を担う都市として重責を担っているものであります。来年2月には,京都市長選挙が行われますが,私は,この近畿メガリージョン構想を推進し,東京一極集中の打破,西日本全体の地方創生を牽引するのにふさわしいリーダーシップと行動力,突破力を併せ持っているかどうかという点も,京都市長選挙の重要な争点の一つであると思います。 門川市長におかれましては,市長就任後の7年10箇月の間,ほとんど休みを取られることもなく,常に147万人の京都市民,そして京都のまちのことを最優先に考え,市民の皆様の暮らしをしっかりと支え,京都のまちの魅力を大きく向上させてこられたところであります。そして,先の9月市会においては,我が自民党京都府連の幹事長である寺田かずひろ議員から,門川市長の2期目の取組につきまして,門川市政の総括としては全般的にしっかりと取り組まれているとの評価をさせていただきました。その後も,市長のこれまでの確かな実績を踏まえ,多くの団体や市民の方々から門川市政の継続,そして更なる発展を期待する声を上げておられます。私自身も,京都市政の発展に向け,最も多くの市民の方から信託を受けた会派である自由民主党京都市会議員団の一員として,3期目に向けた市長の御英断を心から期待しております。 それでは質問に入ります。私からは,まず,文化庁及び関係独立行政法人の京都移転を目指した取組についてお聞きいたします。文化庁等の京都移転につきましては,本市が長年にわたり要望を重ねてきたことであり,故河合隼雄長官の御尽力もあって平成19年には文化庁の関西分室が設置される等の成果もありましたが,これまでは文化庁の近畿圏の自治体に対する相談業務等ごく一部の機能が移転したにすぎませんでした。この度,安倍内閣による地方創生の取組の中で,国が自ら政府関係機関の地方移転について提案を募集したことから,ここ京都においては文化庁移転に向けた期待が膨らみ,これまでも我が会派の井上団長をはじめ各先生方から質問されるとともに,市長からも意欲的な答弁がありました。 この間,7月のオール京都による文化庁等移転推進に関する協議会の設立,8月の国に対する提案書の提出を経て,9月には市長による日本記者クラブでの会見等も行われ,「全国的にも文化庁の京都移転もあり得るのでは」との声も漏れ聞こえてくるまでになりました。一方,これまでの新聞等を見ておりますと,省庁からは大変厳しい反論があったように思われます。京都に生き,京都の文化のすばらしさを間近に実感している私といたしましては到底納得のいかない部分もあり,これらの状況を踏まえ,市長として,どのように対応していかれるのかお伺いしたいと思います。文化都市を目指す京都としましては,文化庁等の京都移転は是非とも実現させたい長年の悲願であり,地方創生を目指す多くの自治体に期待される取組ですので,他の自治体にも希望を与えるような力強い御答弁をお願いいたします。 次に,市バス・地下鉄事業についてお伺いいたします。平成19年当時,市バス事業では1日当たりの旅客数が30万9,000人。モータリゼーションが当たり前となり,車中心の社会資本整備がなされていく中,20年以上の長きにわたって旅客数の減少にあえぐという厳しい状況にありました。また,新規採用運転士に対する新たな給料表の適用や全国の公営交通初となる管理の受委託の導入など経営健全化に向けた様々な取組を実施していたものの,130億円を超える膨大な累積資金不足を有する経営実態にありました。地下鉄事業においても,1日当たりの旅客数が31万6,000人と,平成16年に六地蔵まで延伸した東西線の利用が徐々に伸びていたものの,建設当初の見込みとは遠く掛け離れていたことに加え,現金収支の赤字を65億円計上するという全国の地下鉄事業者で唯一運賃収入で日々の運営費と建設費の利息返済を賄えないという,本当にひどい財政状況でありました。 門川市長は,就任早々から市民の足としての市バス・地下鉄を死守するため,それまでの痛みを伴うコスト削減の継続はもとより,収入増加策を取組の重点に位置付けた積極的な経営健全化計画を策定され,両事業の経営再建にまい進してこられました。市バス事業では,徹底した市民目線で利便性を向上させ,一つの路線も廃止することなく,計画よりも3年早く健全化団体から脱却されました。他都市では,路線バス事業の経営改善策といえば,例外なく赤字路線の整理,縮小であることを考えれば,本市の取組は全国の路線バス事業者の新たなモデルとなるものと言っても過言ではないと思います。また地下鉄事業では,不退転の決意で掲げられた5万人増客の目標に対して,市長が自らが先頭に立って市民への熱いメッセージを発せられるとともに,市の組織を挙げた地下鉄の活用促進に努力してこられました。その結果,着実に旅客数を伸ばすとともに,計画を上回る経営の健全化を達成されました。このことは,市政運営に責任を負う我が会派としても大いに評価するものであります。 そこでお伺いいたします。市長の陣頭指揮の下,進められてきた,市バス・地下鉄事業の利便性向上,増客増収,経営健全化の取組の総括と,両事業の経営状況を踏まえた今後の展望につきまして,市長のお考えをお聞かせ願いたいと思います。 あわせて,市バス事業に関する地元要望を1点させていただきます。市バス事業においては,平成26年3月の新運転計画において,地域主体のモビリティ・マネジメントと一体となった路線,ダイヤの拡充に取り組まれました。私の地元,北区の柊野地区においても地域住民が主体となったモビリティ・マネジメントの盛り上がりに呼応して,西賀茂車庫以北における市バスの試験運行を開始しております。現在その運行が2年目となり,利用者数を増やす取組に,交通局をはじめ市役所を挙げて積極的に関わっていただくことで,より一層のダイヤの充実につながることを期待し要望しておきます。 次に,琵琶湖疏水通船復活事業を契機とした東山自然緑地の再整備についてお伺いいたします。地下鉄・市バスの増客の一因として,国内外の観光客の急激な増加が大きな位置を占めているようですけれども,これを一時的なブームに終わらせては大変もったいないと思います。やはりリピーターとなっていただくには,既存の有名な寺社仏閣や庭園などに加えて,近代遺産の活用や余り知られていない景観の魅力発信など積極的な取組が必要であると考えます。このような観点からすると,本市が進めようとしている琵琶湖疏水の通船は評価に値するものと考えております。 私が委員長を務めさせていただく交通水道消防委員会においても,去る11月13日,琵琶湖疏水通船復活事業を実地視察いたしましたが,京都の近代化を切りひらいた先人たちの大粒の汗と,絶え間ない努力に感謝の念を感じざるを得ませんでした。そして,この疏水に沿って長く伸びる緑地として京都市が管理する東山自然緑地があり,桜や紅葉が植えられ,春や秋の観光シーズンには,多くの市民や観光客が散策するコースとして親しまれております。しかしながら,私が委員会の実地視察中に見たのは,園路は凸凹で,樹木は老朽化し,倒れた木により山肌は荒れ,ベンチや柵は朽ちているという有りさまでございました。これに加えて,春の通船試行時のアンケートでは,古いトイレの改善に関する要望が数多く寄せられたとのことです。 そこで,お伺いいたします。新たな観光資源の創出,大津,山科,岡崎地域の更なる活性化の源という観点から,琵琶湖疏水通船復活事業を契機として,より多くの市民や観光客に安心,安全,快適に御利用していただけるよう,東山自然緑地の抜本的かつ魅力的な再整備を行うべきと考えますがいかがですか。 次に,国際観光都市にふさわしい宿泊施設の確保についてお伺いいたします。京都が今日まで進めてきた観光施策は,観光客5,000万人の達成のみならず,世界の観光都市をリードする実績を挙げてきており,評価しているところであります。こうした中,先日,右京区のマンションにおきまして,ほぼ1棟が外国人観光客のための宿泊施設として無許可で使われており,施設を営業していた者らが旅館業法違反で摘発を受ける事案が発生いたしました。このような地域の生活環境に大きな影響を与えるような事例に対しては毅然とした対応が求められるところでありますが,一方で,これは今後の観光行政をどのように推進していくのかが問われている問題でもあります。 すなわち,宿泊ニーズに対する供給量のひっ迫,更には,日本の日常に触れたい,アットホームな雰囲気で泊まりたいといった外国人観光客の多様な期待に応えられるような安心・安全が確保され,なおかつ地域とも共生していくことを前提とした様々な形態の宿泊施設が質及び量を伴って確保されていかなければ根本的な解決にはならないと思います。本市が平成26年10月に策定されました京都観光振興計画2020によると,外国人宿泊客数を現在のおよそ100万人から平成32年までに300万人とすることが掲げられていることからも,更なる宿泊施設の確保の必要性があるのは明らかであります。 こうした中,本市では,このほど糟谷観光政策監チームリーダーとして「民泊」対策検討プロジェクトチームを設置されました。糟谷チームリーダーは,これまでに国際化施策も担当されておられましたから,その手腕に大いに期待するところであります。そこで,このチームでは,まずは実態調査に取り組むとのことですが,多様な宿泊施設の整備を図るという観光行政の観点から,実態調査及び今後の具体策検討の方向性についてどのように進めていかれるのかお伺いしたいと思います。 続きまして,いわゆるお泊りデイについてお伺いします。お泊りデイとは,介護保険のサービスであるデイサービスの営業時間外にその設備を使用して,デイサービスの利用者に対し法律の枠外の自主事業として宿泊を伴う介護サービスを行う事業とされております。昨今の新聞報道によりますと,お泊りデイを実施する事業所は全国的に急激に増加しているとのことでありますが,介護保険法の枠の外にあるサービスであるために,これまで男女同室での雑魚寝や長期にわたる宿泊,転倒や誤飲の事故など様々な問題が生じていました。このため,国においては,介護保険法に基づいて基準省令等を改正して,お泊りデイの届出制の導入と事故報告の義務付けを行ったほか,お泊りデイの事業者に求める最低限の基準としてのガイドラインを作成したところであります。 しかしながら,このガイドラインは法令ではないために実効性が担保されておらず,事業者がどこまで基準を守るのか曖昧になってしまっているのが現状であります。また,ガイドラインが定める基準自体についても,何日まで利用できるのか明確な制限がないことから,介護が必要な高齢者が家族等の都合で長期にわたって安易に法律の外にあるお泊りデイに宿泊される可能性があり,個人の尊厳の観点や安全性の確保には一定の問題があると考えます。このように,介護サービスを利用される方の安心・安全をしっかりと確保していくためには,国のガイドラインを最低限としつつ,更なる実効性ある取組が必要ではないかと考えますが,今後どのようにこの問題に取り組まれようとされているのかお聞かせ願いたいと思います。 次に,農業委員会制度について要望しておきます。まず,国において農業委員会制度の組織の改革の議論が進められる中,本市会においても,昨年10月に農業者の信任を得た代表者を選任する仕組みの措置や財源確保をする等の要望を決議して,国へ意見書を提出した経過があります。この改革に係る法律案は,平成27年6月及び8月の衆参両本会議において可決され,この9月4日に改正法が公布されたところでありまして,今後は農業委員の数は減となるわけでありますけれども,担い手への農地の集約化や耕作放棄地の解消等に向けて,新たに農地利用最適化推進委員が設置されるなど農業委員会制度の強化が打ち出されたところであります。このような今まで以上の重責を担うこととなる農業委員等の任命におきましては,公平性,透明性を確保されることはもちろんのこと,やはり現場の農家の声をきっちりと受け止めつつ,農地利用最適化推進委員ともパートナーを組んで対応できる農家の信任を得た代表が選任されるよう強く要望しておきます。 また,この機会に,農業振興に関して,もう一点要望します。花の振興については,我が会派は今までから要望をしてまいりましたが,近年,花の業界が厳しい中にあっても,花と緑の市民フェア等において,生け花業界や高校生など若い人たちの参加,また花を生けるパフォーマンス,花いけバトルといった花に関わる方々の工夫や新しい動きも見受けられてきました。こうした中,業界等の主体的な動きをきっちりと捉え,支援することによって,花き振興をより一層充実されるように,これも要望しておきます。 最後に,私の地元,上賀茂神社前の御薗橋の架け替え工事についても要望しておきます。この御薗橋は,御存じのとおり世界遺産の上賀茂神社の参詣道であって,葵祭の巡行経路の最後を飾る神聖で由緒ある橋でございます。緊急輸送道路の防災上,大変重要な橋梁でもありますが,老朽化が進むなど早急な対策が長年の課題でありました。そのような中,本年10月,御薗橋の架け替え工事が着手されました。地元の皆様は,交通渋滞が解消され歩行者の通行しやすい橋に生まれ変わるための工事が始まったと,大きな期待を寄せております。架け替え工事は,今後5箇年で進められると聞いておりますが,是非,予算を重点的に配分していただき,少しでも早く工事を完成させていただくよう要望しておきます。 以上で私の質問を終わりたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(津田大三) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 山本恵一議員の御質問にお答えします。 まず,私の市政運営に深い評価をいただき,誠にありがとうございます。 さて,まず文化庁の京都移転についてでございます。千年を超える悠久の歴史の中で,京都は,日本のあらゆる文化,とりわけ精神文化の拠点であると同時に,伝統を受け継ぎつつ,創造を幾重にも重ね,我が国の文化とその心を未来へとつないでいる都市でもあります。そうした京都への文化庁の移転は,世界に誇れる日本文化の想像力,発信力を一層強化し,人口減少,東京一極集中の是正に向けた地方創生の突破口を開くものであり,京都以外の各地にも賛同の輪が大きく広がっていることを実感いたしております。 山本議員御指摘のとおり,国の省庁からは,京都では国会対応等に支障を来すおそれがあるなど数多くの御指摘をいただきましたが,これらの御指摘の大部分は,従来の仕事のやり方を前提とした事務的な指摘であり,日本の未来をかけた地方創生という大きな目的に向かって国と地方が,国と京都が一緒になって知恵を絞れば必ずや解決できるものでございます。来年3月の国の移転方針の決定に向けまして,文化庁の京都移転に係る賛同の輪を一層広げてまいりますとともに,国からの御指摘につきましては,一つ一つ丁寧に協議し解決策を見出してまいります。 この間,地方創生担当の石破大臣と度々お会いし対談をさせていただき,その際には文化庁の京都移転に前向きな御発言を頂いております。また本日は,馳文部科学大臣が京都に来ていただきます。非常にありがたい機会を頂いたと思っております。じっくりと御説明し,話し合い,文化庁の京都移転の実現を力強く要請してまいります。 次に,市バス・地下鉄事業の総括と今後の展望についてでございます。市長就任の折,両事業は市財政を揺るがす多額の財政赤字を抱えており,私は,重大な決意を持って市民目線に立った大胆な経営改革を断行してまいりました。その結果,公共交通を核としたまちづくりに多くの市民の皆様の御理解,御協力を得て,市バス事業では,昨年度累積赤字を全て解消し自立経営を達成することができました。この間,市バス車両を40両増車の800両体制とし,路線バスダイヤを大幅に拡充するなど,お客様視点での攻めの経営を推進し,南太秦や西賀茂,羽束師など地域の皆様の利用促進に向けた取組とも相まって,お客様数は大きく増加しております。地下鉄事業においては,夜間ダイヤの充実,主要3駅への可動式ホーム柵設置,コトチカ開業など利便性と安全性の向上を図るとともに,地域や大学,文化,観光,商業施設等の皆様と一体となって,全庁を挙げまして460を超える増収増客の取組を推進してまいりました。その結果,お客様は飛躍的に増加し,既に今年度上半期で4万6,000人増まで増え,5万人増客目標を上回る達成がしっかりと見通せるまでになってまいりました。また,経常損益の赤字が私の市長就任前の1日当たり4,600万円から200万円にまで縮小するなど大幅な収支改善を図ることができました。 今後におきましては,引き続き市民の皆様の御協力の下,全庁一丸でお客様の利用促進に努めてまいります。あわせて,市民生活や地域活性化につながる市バス路線ダイヤの充実,地下鉄の安全対策や利便性の向上を図るとともに地下鉄事業の経営健全化を更に着実に進め,人と公共交通優先の歩くまち・京都のまちづくりを全力で推進してまいります。 次に,東山自然緑地の再整備についてでございます。東山自然緑地は,明治23年の竣工以来125年にわたって市民の皆様の生活や産業,文化を支えてきた琵琶湖疏水の両岸を活用した総延長約4キロメートル,面積約19ヘクタールに及ぶ本市を代表する自然緑地公園であります。昭和53年の開園以来,春のお花見や秋の紅葉狩りなど四季折々の風情をめでる場として,また,ジョギングや子供たちの遊び場として,長く市民や観光客の皆様に親しまれてまいりました。しかしながら,山本議員御指摘のとおり,開園から約40年を経過して樹木や園路の老朽化が進んでおり,また,4箇所あるトイレのうち水洗式は1箇所だけであり,改善要望が多く寄せられております。 東山自然緑地は,地下鉄の駅からも近く,市街地から短時間で豊かな自然に接することができるという絶好の立地にあり,春と秋に試行事業を行った琵琶湖疏水の通船が本格的に復活すれば,更に多くの市民や観光客が訪れることになります。こうした時期を捉え,園路やトイレの改修,健康遊具の設置など,あらゆる年代層を想定した設備の充実はもちろんのこと,市民や事業者の皆様の御支援も頂きながら桜や紅葉など四季の花木を多く植えまして,京都の新しい花の名所として1年を通じて市民の皆様や観光客に喜んでいただけるように,快適で魅力的な再整備を進めてまいります。 次に,「民泊」対策プロジェクトチームについてでございます。京都での宿泊を希望される観光客が増加の一途をたどっており,その方々の受皿をいかに確保するかが京都観光の大きな課題の一つとなっており,また,その課題の解決を通じて京都経済の活性化につなげていくことが大切であります。一方で,増加する観光客に呼応する,いわゆる民泊の急増につきましては,旅館業法等の関係法令による許可を得ていないものや施設の安全衛生面に不備のあるものがあり,宿泊者のマナーの問題など大変大きな問題があると認識しております。 私は,これからの京都観光を大きく前進させていくためには,観光客にとっても,また地域の住民の方々にとっても,安心・安全な宿泊施設であることを前提として,宿泊者の様々なニーズに合わせた多様な宿泊施設を大幅に増やしていくことが何よりも重要であると考えております。このため,昨日,庁内に「民泊」対策プロジェクトチームを設置し,直ちに全庁を挙げて実態把握を行うことといたしました。調査で明らかになった課題を踏まえまして,京都にふさわしい宿泊施設の拡充の在り方について,旅館をはじめ広く観光事業者の方々とも検討を深め,京都方式とも言える新たな方策を見出し,宿泊環境の充実,拡大に努めてまいります。そして観光による地域の活性化や中小企業,伝統産業,伝統文化の振興,安定した雇用の創出と市民生活の豊かさにつなげてまいります。また,現在,国においても民泊対策が検討されているところであり,本市における実態調査や検討結果を基に,国に対しても提言を行ってまいりたい,そのように考えております。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(津田大三) 藤田副市長。 〔藤田副市長登壇〕 ◎副市長(藤田裕之) いわゆるお泊まりデイについてでございます。デイサービス事業者が事業所の設備を利用して,日中の利用者に対してデイサービスの営業時間外に宿泊サービスを提供するお泊まりデイは,介護保険法に基づく設備,運営に関する基準等の適用を受けず,宿泊料を徴収しない場合には,旅館業法に基づく必要な衛生措置に関する基準等の適用も受けないことから,安全・安心の確保に懸念が生じております。こうした中,国では平成27年4月から,事業者の届出制を導入するとともに,人員,設備,運営に関する目安として,ガイドラインを策定したところであり,本市では現在,二つの法人が五つの事業所においてお泊まりデイを実施しております。これまでにも関係部署が連携し指導を行ってきたところではありますが,山本恵一議員御指摘のとおり,ガイドラインはあくまで目安であり,そして実効性に課題があるほか,連泊日数や総宿泊日数の具体的な基準がなく,宿泊が長期化するなどの懸念もあると考えております。そのため,今後高齢者の尊厳の保持及び安全の確保を図る観点から,国に対しまして,より実効性ある対応を要望いたしますとともに,京都市高齢者施策推進協議会において,お泊まりデイの在り方や本市における今後の対応につきまして検討を行ってまいります。以上でございます。 ○議長(津田大三) 次に,市政一般について,下村あきら議員に発言を許します。下村議員。 〔下村あきら議員登壇(拍手)〕 ◆(下村あきら議員) おはようございます。私は,下京区選出の下村あきらでございます。山本恵一議員に引き続き,田中たかのり議員と共に自由民主党京都市会議員団を代表して質問をさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。 まず,京都の観光振興の推進についてお伺いいたします。本市では,平成26年10月に京都観光振興計画2020を策定され,四つの柱を基に191の取組を進めておられるところです。今年6月に発表された京都観光総合調査では,観光客数が5,564万人,宿泊客数が1,341万人,外国人宿泊客数が183万人,観光消費額が7,626億円と過去最高を記録,また,北米の旅行雑誌「トラベル・アンド・レジャー」誌におきまして,2年連続で京都が1位に選ばれました。このような評価を受け,新たな観光振興計画は好調なスタートを切ったと思いますが,これに慢心することなく目標達成に向け着実に推進し,2020年,さらにはそれ以降も見据えながら,より力強く取組を推進していただきたいと思います。 さて,11月18日,国におきまして観光地経営の視点から,観光地域づくりを担う主体となる日本版DMO,ディスティネーション・マネジメント・オーガニゼーションの登録制度の創設が示されました。日本版DMOは,閣議決定されたまち・ひと・しごと創生基本方針2015において触れられており,この度示された登録制度は,地方創生の観点から,観光産業の更なる強化に向けて,観光地域づくりを戦略的に推進する組織を国が支援していくものであります。これにより全国各地で観光地経営を目指した観光地域づくりのかじ取り役が育成されることとなります。これまで,本市では,京都市観光協会をはじめ市民や観光事業者の皆さんとの連携の下,観光振興に取り組み,前述のような成果を生んでこられましたが,京都観光の将来を考えると,国の新たな動きを踏まえ,世界有数の観光都市である京都市として,当然のことながら我が国の観光を牽引し先進的に観光地域づくりを推し進める京都市版のDMOを構築していくべきであると考えますがいかがですか。市長のお考えをお聞きいたしたいと思います。 次に,京都市中央卸売市場の施設整備についてお伺いいたします。私たちは,食というものにもっと意識を向けるべきではないかと思うことがございます。日々の食事は私たちの命を維持するだけにとどまらず,健康を増進させ,子供たちの健やかな成長を支えます。特に京都では,匠の技を駆使した京料理,家庭の味として伝えられる「おまわり」,主食ごはんの周りにぐるりとおかずを並べるもの,「おぞよ」,当座しのぎのおかずになるもの,「おばんざい」,また,行事食や作法などが147万市民の生活の中にしみ込んでいます。こうした大切な食を成り立たせる食材,その生産者と消費者のつながり,その流通のベースの部分を支えているのが中央卸売市場です。市民生活に欠かすことのできない食を支えるインフラであり,京都の食文化の拠点である中央卸売市場を将来にわたり維持し,更に発展させていくことは非常に重要であり,門川市長が,京都駅西部エリアという地域のポテンシャルも考慮され,現地での整備を決断されたことに対して高く評価しております。 しかしながら一方で,難しい課題も抱えています。前回の大規模整備から30年から40年を経た施設,設備の経年劣化の問題だけではありません。取扱量,取扱金額の減少や高度化が進む物流への対応,事業者の収益体質の強化など取引や経営面の課題も山積しています。こうしたことを踏まえ,今回の大規模整備,特に,これから具体的な設計に入っていく水産棟においては,市場関係者が一丸となって相乗的な効果を生み出す契機となるべく,卸,仲卸といった皆さん方をはじめとする場内事業者の方々をはじめ,市場を利用する人々の意見,ニーズを十分に酌み取り,こういった方々の意欲を高め,経営努力を後押しするような整備となるよう強く求めておきます。 そして,もう一つ,市場が現地で再整備されることに大きな意義があると考えているのが,防災面での機能です。中央卸売市場は大規模災害発生時,通常業務の速やかな復旧を図るとともに,近畿圏の他都市の中央市場との相互協力も活用した食料の集荷,供給体制を迅速に立ち上げ,全市を視野に入れた食料の調達,供給拠点としての役割を果たすことになります。また,災害時に立ち上がる多くの避難所や物資の集積,搬送拠点との位置関係を考えると,市内中心部に立地していることは大変大きな意味を持ちます。万一の事態に際し,こうした重要な役割を全うするためには,市場開設者と場内事業者の方々,地域の方々との意思疎通を密にし,具体的な役割と,それに応じた動きを共有しておかなければなりませんし,災害時にもいかせる意識や行動を日々の業務活動に組み込んでおくことも大切となります。また,市場にある多くの輸送,運搬機材などは様々な復旧活動等にも転用できる可能性があります。このような共通認識の下に,市場開設者と事業者の行動がうまくかみ合えば,災害発生時に相当大きな力になるのではないでしょうか。それが発揮されてこそ,現地で再整備することの大きな意義があると思います。 そこでお伺いいたします。今後,施設整備を進めていく上で,卸売市場の地域防災上の機能を更に高めるという観点から,災害発生時における場内事業者,そして地域とのより密接な連携体制や具体的な運用の仕組みを構築することは非常に重要なことと考えますが,市長のお考えをお伺いいたします。 次に,地域社会における今後のホームレス支援についてお伺いいたします。ホームレスに至る背景については,倒産や失業といった仕事に関する事柄のほか,精神疾患などの健康面の課題,あるいは人間関係や家庭内の問題など様々な要因が重なっており,その支援に当たっては,個々の問題に応じてきめ細かに対応することが何よりも重要です。このため,京都市においては,京都市ホームレス自立支援等実施計画を策定し取組を進められるとともに,更生施設である中央保護所や就労に向けた支援を行う自立支援センターといった施設で,居宅生活に移行できるよう集団生活を通じて生活訓練等を行う支援を行っていただいています。しかしながら,この下京区に設置されている中央保護所において,昨年9月に施設内で火災の発生,また,深夜や未明に大きな声でのけんかが頻繁に発生するなど,隣接の皆さんの中には日々大変不安に感じられている方がいるのも事実です。今日においては,インターネットカフェなど路上以外の安価な場所を転々としながら生活をしている方もおられ,数字に表れない隠れたホームレスの方も多数存在しておられるのではと危惧しています。 さらに,路上生活が長期化していたり,疾患を抱えておられる場合,あるいは刑を終えて出所して間もない場合などは,規則正しい生活や社会との関わりを保つための基本的なルールを守り,自分の力で社会生活を営めるよう軌道に乗せていくまでが大変です。生活保護を受けながら居宅生活をされる場合には,担当のケースワーカーが基本的な生活支援を行うことになると思いますが,訪問して支援を行う頻度にも限界があることから,これまでの施設支援中心の取組をしっかりと検証するとともに,在宅支援をさらに充実させていくべきではないでしょうか。 そこでお伺いいたします。居宅生活が軌道に乗るよう,ホームレスの方に寄り添い,集中的に支援を行っていくような新たな体制がとれれば,ホームレス支援の取組が更に前に進んでいくのではないかと考えますが,何よりも地域社会のより一層の理解を得ながら居宅生活を継続していくための更なる取組の必要性について御見解をお聞かせください。 次に,空き家の活用に向けた積極的な働き掛けについてお尋ねいたします。京都市が空き家条例を施行し,本格的な空き家対策に取り組まれて1年半がたちます。空き家対策というと,どうしても管理が行き届いていない空き家の所有者への指導といったネガティブなイメージが先行しますが,本市では,京都の都市特性を踏まえながら,その活用にも力を入れておられます。例えば,私も,モデル・プロジェクトで採択された下京区の事例を訪問しましたが,2軒の空き家を中庭でつなげ,通り抜けができるお店とされるなど大変おもしろい活用事例も出てきております。私は,空き家活用の気運を盛り上げるためにも,こうした成功事例をしっかりと市民の皆様に発信してもらいたいと考えます。また,活用に腰の重い空き家所有者をその気にさせるためにも,待ちの姿勢ではなく積極的にアプローチしていく必要があると思いますがいかがでしょうか,お考えをお聞かせください。 次に,伊藤若冲生誕300年記念の取組についてお伺いいたします。今年は琳派400年記念ということで,まちの至る所で琳派に関する展覧会や講演会などが開催されています。琳派400年を記念した古典の日フォーラムや,宗達,光琳,抱一の風神雷神を同時展示した京都国立博物館の展覧会,二条城のアートアクアリウム城など,市民はもとより国内外の皆さんが気軽に琳派に触れられる機会が設けられており,来年1月の京都市美術館での展覧会も期待されます。また,民間事業者もこの機会を捉えて,琳派をイメージした工芸品やお菓子などを販売されるなど,琳派のすばらしさを伝えるだけでなく広がりのある取組となったように思います。 ところで来年は,江戸中期に錦市場で生まれ活躍した伊藤若冲生誕300年に当たります。奇想の画家と呼ばれる若冲は,独創的ですぐれた作品を残しており,江戸美術を代表する画家の一人として,幅広い世代から高い支持を集めています。その作品は,明治期には,廃仏毀釈の危機にあった相国寺を救い,現代においても,その斬新さから様々なデザインや映像にも活躍されるほどです。また,若冲は,画家の側面だけでなく,錦市場が存在の危機に直面したときには町衆と共に奔走したことでも知られています。このように京都と深いつながりのある若冲の生誕300年を契機にして,今の琳派の盛り上がりを継続するとともに,地域と共に生きた若冲の優れた作品と京都の魅力を発信し,さらには若冲と縁の深い錦市場をはじめとする商店街などと連携することで経済活性化にもつなげていくべきではないでしょうか。御所見をお聞かせいただきたいと思います。 また,この機会に,若冲が活躍した錦小路通の一筋南側の四条通の有効活用についても,一言要望させていただきます。人と公共交通に優しい四条通の歩道拡幅事業が10月末でようやく完成となりました。この工事の途中では,交通が集中したことによる激しい渋滞も発生しましたが,我が自民党京都市会議員団が市長に提案いたしました四条通歩道拡幅工事に伴う市民生活の影響に対する提言を十分に踏まえていただいた様々な対策が実行され,その渋滞も春先の厳しい状況を比べますと相当程度緩和しました。その一方で,下京区選出の議員として,私は,四条通,そしてまちなかのにぎわいをより一層高めるためには,今回の歩道拡幅に併せて地下通路の活用もまた検討することが重要ではないかと考えます。この度,その具体的な取組としてアート作品の展示が行われましたが,地域の活性化に結び付く地下通路の更なる活用についても,計画的に取組が進められますことを強く要望しておきます。 次に,応急手当実施者に対する心のケアについてお伺いします。本市では,平成6年度から救命講習を開始され,受講者数は当初目標の20万人を大きく超え,累計44万人に達しておられます。また,平成17年4月からはAEDの使用方法などを含めた救命講習も開始され,AEDの設置台数は累計2,821台とお聞きしております。まさしく,市民の応急手当は心肺蘇生法がメインであり,応急手当の実施件数も昨年は630件を超え右肩上がりで増加傾向にあります。また,市民によるAEDの使用実績も昨年度138人の方に装着,このうち15人の方に電気ショックを行い,5名が社会復帰されたと伺いました。このように,救命率の向上に大きな影響を与える救急車が救急事故現場へ到着するまでの間のバイスタンダー,すなわち現場に居合わせた人によるAEDを使用した応急手当を進めるため,救命講習の受講促進と並行してAEDの設置促進を大いに進めていく必要があります。 しかし,今年の1月,下京区でもちをのどに詰められ心肺停止になった高齢者の方の救護事案がありました。その場に居合わせた方々が,速やかに,一生懸命に心肺蘇生を実施されましたが,残念ながらお亡くなりになりました。私もその現場に居合わせました。心肺蘇生をされた方は,「結果が全てです」と小さくつぶやき相当な責任を感じておられる様子でした。他都市でも同様な事例が多くあると伺っています。それを踏まえて,お伺いします。応急手当の普及啓発やAEDの設置促進など,これまでの消防局の取組は大変評価するものの,応急手当をうまく行えなかった場合の心のケアへの対応はどのようにされているのでしょうか。応急手当の普及啓発とAEDの設置促進に加えて,そういった心のケアへの対応があれば,市民による応急手当の実施が更に促進されると考えますがいかがですか。そのお考えをお聞かせください。 最後に,梅小路公園の利便性の更なる向上と活性化について要望いたします。時間の関係上,少し早口で言わせていただきます。来年4月29日に京都駅鉄道博物館のグランドオープン,また,JR新駅の着工など,今後梅小路公園の来園者が飛躍的に増えることが予想されます。しかし,開園から20周年を迎えた梅小路公園には,外国人を含め様々な年齢層の方々をお迎えするためには見劣りする公園施設もあるのが実態ではないでしょうか。例えばトイレは和式のものがほとんどで,高齢者や外国人にとっては使いにくいものとなっています。夜間のイベントも今後増えていくようですが,安心感を与える防犯カメラもほとんど見当たりません。石畳の園路は京都らしい風情はあるものの,高齢者や身障者の方には大変歩きにくいものです。また,手作りのお弁当を広場で広げようにも,暑い日には強い日差しを遮るものがなく,汗だくでゆっくり食べることができないなど改善すべき点が多々見られます。京都を代表する公園として,市民や観光客に親しまれてきた梅小路公園でありますが,この開園20周年を契機として,都市公園としての基本的な機能を更新,充実させ,海外からの来園者も含め,来てよかった,また来たいと思っていただけるような魅力向上を図るべきではないでしょうか。 また,観光客の方からは,京都は夜の観光スポットやイベントが少ないという声をお聴きします。これからは夜の観光も重要な視点でありますから,そのステージとして,立地に恵まれた梅小路公園を活用し,夜のにぎわいを創り出すことも必要と考えます。是非とも,来年度予算等を編成される際にはこうした観点もお持ちいただきながら審査いただき,京都を代表する公園として改善していただくよう強く要望いたします。 以上をもちまして,私の質問を終わります。御清聴,誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(津田大三) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 下村あきら議員の御質問にお答えいたします。 京都市における観光に関わる関係者が一体となった組織,京都市版DMOについてでございます。観光振興を強力に進めていくためには,市民,社寺,観光事業者,文化団体,地元企業,大学などの多様な関係者の皆様と共に一体となって明確なビジョンを持ち戦略的に取り組むことが重要であります。そのため,本市では,これまで観光振興計画及び国際会議等を誘致する日本初のMICE戦略を策定し,京都市観光協会や京都文化交流コンベンションビューローをはじめ文化,経済,市民団体等の様々な方々との密接な連携の下に,先進的に観光振興に取り組んでまいりました。この結果が今日の世界的な高い評価につながったものと認識いたしております。しかし,観光を取り巻く目まぐるしい変化にしなやかに対応するためには,世界を見据えた戦略と実行体制の更なる進化が重要であると考えております。 こうしたことから,下村議員御指摘のとおり,約1,400の会員を有する京都市観光協会を中心に関連団体との緊密な連携の下に,日本の観光立国を牽引し未来の京都観光をリードする京都市版DMOを早期に構築するとともに,これを核としながら幅広い関係者が参画するプラットフォームを築くことにより,総合的な観光振興に取り組んでまいります。今後とも観光振興を通じて京都の更なる魅力の創出を図り,交流人口の増大,京都経済の活性化,そして安定した雇用の創出など市民生活の向上にしっかりとつなげてまいります。 次に,中央卸売市場の整備における災害対応についてでございます。中央市場の整備に当たりましては,大規模災害発生時においても他市場との連携を含めた広域的な食料調達,供給拠点としての機能を維持できるよう,施設の耐震性の向上と共に冷蔵庫等の非常電源設備や雨水,地下水取水設備の導入,通信システムの向上等を図ってまいります。また,このような施設,設備面の強化に加えまして,京都市と場内事業者,市場と地域が連携する仕組が非常に重要であることは,下村議員御指摘のとおりでございます。そのため,災害発生時に有効に機能する仕組みを構築するため,現在,場内事業者との調整を進めるとともに,中央市場が下京区防災会議に新たに参画し,地域の皆様との意思疎通を図っているところでございます。今後とも,災害に強い施設の整備を進めるとともに,場内事業者との災害時連携協定の締結を含めました事業継続計画の策定や,地域と協働するための具体的な行動マニュアルの策定等,災害対応機能の一層の強化を図ってまいります。 次に,空き家の活用についてでございます。本市では,空き家をまちづくりの資源と捉え,地域と一体となり活用促進を大きな柱とする総合的な空き家対策を推進しており,空き家改修の補助金を利用して,この1年半で100軒を超える空き家が,住まいのみならず地域の交流スペース,芸術家の制作発表の場など様々な形で活用されてきております。こうした活用事例を,本年10月の市民しんぶんで劇画風に紹介したほか,京町家の魅力を伝える映像作品を広く募集し,今月には市民参加の公開審査会で選考することとしているなど,これまでにない手法を用いて発信しており,引き続き,あらゆる機会,媒体を活用して,空き家所有者に強く訴えてまいります。さらに,空き家活用の機運を一層高めていくため,市内全ての家屋の所有者に対し啓発チラシを送付するとともに,交通利便性が高い地域などを重点地区に設定したうえで,空き家所有者に具体的な活用手法を御紹介するなど,待ちの姿勢ではなく,積極的に働き掛けてまいります。また,不動産事業者の中から,ボランティアで相談に応じていただける200名を超える地域の空き家相談員を更に増員し,相談体制を強化するとともに,町内会等の皆様の御協力もいただきながら,京都ならではの地域力をいかした空き家対策を進めてまいります。 次に,伊藤若冲生誕300年を記念した取組についてでございます。今年,オール京都で進めている琳派400年記念祭は,大変多くの方々の感動を呼び,京都に息づく文化芸術の奥深さ,伝統産業へ及ぼした大きな影響,その魅力を再認識するすばらしい機会となっております。本市では,この盛り上がりをいかして,来年は伊藤若冲が錦市場で生まれられて300年の節目を迎えることから,若冲にゆかりのある多くの関係者に呼び掛け,多彩な事業に取り組んでまいりたいと考えております。そのため,キックオフとして来年1月には,京都市美術館を中心に,若冲の作品を数多く所蔵しておられる細見美術館,さらには錦市場や若冲ゆかりの寺院などと連携し,若冲の魅力を語り合い,記念事業のアイデア,構想を意見交換する懇談会を開催すべく準備を進めております。来年度にはその成果をいかしまして,錦市場や細見美術館などが若冲に関わるイベントや展覧会を開催されることを予定されており,本市でも,若冲のユニークな魅力に迫る京都市美術館での記念展覧会や市内各所で実施する講演会,ワークショップなどを通じまして,若冲の魅力を広く発信してまいります。さらに,錦市場をはじめとする商店街のイベントや,伝統産業事業者の商品開発,販売促進を支援するなど,民間事業者としっかりと連携し,京都経済の活性化にもつなげてまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(津田大三) 藤田副市長。 〔藤田副市長登壇〕 ◎副市長(藤田裕之) 地域社会におけるホームレス支援についてでございます。本市では,ホームレスの方が日々生活されております場所を直接訪問し丁寧な相談を行うとともに,中央保護所等の支援施設において,社会生活への復帰や就労に向けた訓練を行うなどきめ細かな自立支援施策を進めてきました結果,平成26年度は,支援対象者の約3割に当たります262名の方が居宅生活に移行されました。同時に,居宅生活に移行されたホームレスの方が,地域社会の中で自らの力で安定した生活を続けていくためには,下村議員御指摘のとおり様々な課題があると認識しております。このため,現在見直しを進めております第3期京都市ホームレス自立支援等実施計画におきましては,地域社会における居宅生活の安定に向けた支援を柱としまして,居宅生活の継続に向けた寄り添い支援を集中的に行う支援者の配置や,居宅生活の安定に資する支援施設の在り方等につきまして鋭意検討しております。今後とも,ホームレスの方が自立し,地域社会の中で安定した居宅生活を送れますよう,福祉事務所や支援団体等がしっかりと連携し取組を進めてまいります。以上でございます。 ○議長(津田大三) 杉本消防局長。 〔杉本消防局長登壇〕 ◎消防局長(杉本栄一) 応急手当実施者に対する心のケアについてでございます。本市では,平成6年度から救命講習を開始し,受講者数は年々増加傾向にあり,市民による応急手当の実施率も全国平均を上回る状況となっております。一方,心臓マッサージやAEDによる応急手当を実施した市民が,その効果について不安を抱かれ消防署に相談されることがあり,その場合は十分に話をお聞きして不安の解消に努めております。また,救命講習の際には,結果を恐れず迅速に応急手当を行うことの大切さを説明しております。今後は,市民が応急手当を実施された結果,不安や責任を感じたり精神的ショックを受けた場合に相談できる窓口を消防局に設置し,その連絡先を記載したカードを救急現場で手渡して,市民からの相談を積極的にお伺いするとともに,症状に応じて専門のカウンセラーとの連携を図るなど応急手当実施者の心のケアに十分配慮した対応を進めてまいります。 ○議長(津田大三) 次に,市政一般について,田中たかのり議員に発言を許します。田中議員。 〔田中たかのり議員登壇(拍手)〕 ◆(田中たかのり議員) 私は,右京区選出の田中たかのりでございます。自由民主党京都市会議員団を代表いたしまして,山本恵一,下村あきら両先輩議員に続き質問させていただきます。4月の統一地方選挙に初当選したばかりの新人でございます。まずもってこの機会を与えてくださった先輩各位並びに右京区の皆様に深く感謝いたします。 私のキャッチフレーズは,「未来(あす)をつくるのは住民(ひと)と地域(まち),今日より明日はよりよい日に!」です。この中には「あす」という言葉がキーワードであり,「あす」は一歩でも前に進めたいという気持ちを込め,そのためには,「ひと」と「まちづくり」が重要であるという意味を込めております。そのことを踏まえて,京都市民として,また右京区民として,門川市長並びに関係理事者の方々には,京都市の明日の明るい展望がひらける御答弁をお願いいたします。 京都市の人口は減少すると言われています。111万人,これは平成72年の京都の将来人口推計です。ここ5年間の推移を見ると,必ずしもそうなるわけではないように思えますが,日本全体が少子高齢化に向かう中,今より人口が増えるというのは考えにくい状況です。少子高齢化は,人口減少と共に生産年齢人口,つまり実際に働くことができる人を減少させることにつながります。それが意味するものは,すなわちGDPの低下です。GDPは,生産者,生産時間,生産性の三つの組合せで決まるものですが,そのうち一つの低下をほかでカバーするのは並大抵のことではありません。また,生産者は同時に消費者でもあると考えると,消費の低迷も経済への悪影響を与えます。 かつて京都は危機を迎えていました。明治2年,政治の中心が京都から東京へ移った際,人口が35万人から20万人へと大幅に減少したわけです。この人口の減少は,消費の落込みを伴い,京都経済を大きく衰退させることとなりました。しかしながら,京都の先人たちは,まちづくりは人づくりであると番組小学校を創設するとともに,先ほど山本恵一議員の質問にあった琵琶湖疏水の建設といった,いわゆる京都策という,50年後,100年後を見据えた取組によって危機を乗り越えてきたわけです。 門川市長は,平成22年に策定した「はばたけ未来へ!京プラン」の下,取組を進めてこられ,また,本年9月にはまち・ひと・しごと・こころ京都創生総合戦略を策定されています。この総合戦略の中で,京都が取り組むべき地方創生は,人口減少克服レースで生き残り地方創生の勝ち組を目指すことではなく,国全体の地方創生の推進を志すという高い理念が示されているとおり,現在に生きる者としても,先人たちの京都への思いと同じ思いを感じます。しかしながら,現実の人口減少に立ち向かうのは並大抵のことではありません。そのためには,京都市民の生活をしっかりと守る好循環社会の構築が必要であります。私は,その一つの大切な考え方が稼ぐということを意識することではないかと考えます。この場合の稼ぐとは,単なるお金を稼ぐという意味だけではなく,自らの生活を豊かにするために今ある資源を有効に使うことだと考えています。 京都市では,これまでの歴史に培われてきた伝統技術という大きな資産をいかしたベンチャー企業や独自の技術や製品で世界をリードする企業が誕生し活躍しています。こうした京都にしかできない特有の資源をいかした新たな京都策として,今後の成長分野として期待される環境やライフサイエンス分野などに競争力の高い企業を増やし稼いでいく,経済を牽引していくということも,京都経済全体の底上げとして大変重要だと思いますがいかがですか。お考えをお聞かせください。 次に,14万7,000人,京都市の人口の10分の1に匹敵します。この数字は,京都市で学ぶ大学生の数であります。京都市内には,まちのあちこちに38の大学,短期大学が集積する大学のまち,学生のまちでもあります。近年,大学生は,学内で学ぶだけでなく,まちの中でも学ぶ機会が増えています。ある意味,まち全体が学びの場であるとも言えます。また,大学の枠を超え,学生同士が連携し,あらゆるところで,大学生パワーをいかす施策に取り組まれています。その連携は,行政,産業,地域のあらゆる分野にわたっています。特に,大学や学生も地域の一員であり,地域との連携についても,平成16年に学まちコラボ事業,また,区役所の支援事業など広がってきています。こうした取組は,学生が社会に出て,地域でのまちづくりに携わることの重要性や教室では得ることのできない学びの成果をもたらしていると同時に,地域にとっても,学生のパワーを地域に取り込むことにより,そのまちづくりの躍動性にいかされていると思っております。さらに,大学の中には,学びの場として地域連携を推進する組織ができている学校もあり,学生が地域に出ていくことを推進しているとお聞きしました。また,一方では,先ほど質問させていただきました,まち・ひと・しごと・こころ京都創生総合戦略においては,京都の強みをいかした交流人口増加という施策のリーディング事業として,大学を核とした地域連携の推進に,より積極的に取り組む姿勢がうたわれています。ただ,現実としては,地域との連携ができている学生数はまだまだ限られ,より一層の連携を進める必要があります。そのことを踏まえて,現状認識と課題について,また,今後どのように進めていかれるのか御所見をお伺いいたします。 三つ目の質問に移ります。COP21パリ会議が始まり,京都議定書に代わる新たな気候変動対策の国際的な枠組みが構築されようとしています。今こそ,更なる日々の暮らしの中での地球温暖化対策が重要です。環境に対する意識啓発については,本年7月の各区民しんぶんに保存版としてエコとエネルギー関連支援制度のお知らせを入れていただき,更なるエネルギー環境対策に力を入れていただいているところであります。とりわけ京都市内では,8,538件の家庭用太陽光発電を設置されており,東日本大震災以降,全量買取りを含む固定価格買取制度等や国や京都市の助成もあり,この5年間で6倍になりました。しかしながら,約70万世帯の京都市民の省エネ,創エネに対する意識はまだまだであると感じています。まるで省エネというと,快適な暮らしを諦め,電気を使うのを我慢するという,負担感をイメージしてしまうのが市民の率直な気持ちではないでしょうか。また,太陽光発電事業での風評被害等もあり,創エネに関しても,実際,助成しますよと声を掛けても,自己負担もあり,負担感が払拭されなければ前に進まないのが現状ではないでしょうか。 省エネ,創エネの取組は,まず,環境に優しい生活は不便ではないということを理解していただくとともに,経済的に,我々の生活にもお得であるということをはっきりと示す必要があります。自分たちのエネルギー需要を削減することによる生活固定費の減少,また,京都市の資源を原材料にしたエネルギー創出による京都経済への波及などメリットも十二分に考えられます。また,災害時における非常用電源としての活用など,お得感と安心感を分かりやすく周知する必要があるのではないでしょうか。本市においては,様々な助成制度で省エネ,創エネを進めようとしている点は評価するものですが,ただ,一息をついている感のする現状を見ると,もう一押しの施策が必要であるとも思えますが,現状認識はいかがお考えでしょうか。現状に対する分析と課題,そして考えられる改善策についてお伺いしたいと思います。 また,京都市内には多くのマンションがあり,そこに住む市民に対しても利用促進を促すべきであると思いますが,マンションに特化した形での意識啓発,利用促進策はどのようにお考えでしょうか。あわせて,お答えください。 四つ目は,定時制単独高校の具体化についてです。京都府では99パーセント,これは高校への進学率です。中学校卒業生のほぼ全員が高校に進学する中,公立高校は,多様化する社会の中で新たな試みに挑戦しています。京都市においては,新たに定時制単独高校を検討されているとお聞きしており,教育委員会では,各種方面からの意見を踏まえ,今年8月に京都市立定時制単独高等学校の創設に係る基本構想を策定されました。現在の伏見工業高校,西京高校の定時制においては,特別な支援を要する生徒の在籍率が10パーセントから20パーセント,不登校経験者が50パーセントから60パーセントに及ぶという現状にある中,生徒一人一人の状況を踏まえた教育が求められています。とりわけ全国的にも定時制,通信制へ進学する生徒の割合が多くなっており,京都府においても,生徒の生活スタイルに合わせて午前,午後の授業を選択できる単位制高校である府立清明高校が開校,平成27年度の入学希望者が定員120名の3倍近くなるなど注目度が高い状況にあります。 こうした中,現在,伏見工業高校と西京高校の2校で定時制高校を設置している本市においても,生徒の多様な実態を踏まえて,よりきめ細かな指導と専門性のある支援体制を確保するため,これまで培ってきた教育力を結集し,再編,統合したうえで,単独高校として定時制高校を設置されるものだと認識しております。今後,具体的な教育課程の在り方や生徒一人一人への支援体制,学びの環境づくりに当たっては,単に清明高校の昼間部へのニーズが高いのでといった理由では,二重行政ではないのかのそしりを免れません。現在の定時制の現状を十分に踏まえていただき,新たな定時制単独高校をなぜ京都市が設置する必要があるのか,また,目指すべき教育コンセプトや生徒像を明確にして,市民,生徒への説明責任を尽くし,それをしっかりと中学校現場にも伝えながら,生徒や中学校のニーズを踏まえたものにする必要があると考えますが,定時制単独高校の具体化に向けた市長のお考えをお聞かせください。 五つ目は,1,245人,これは,この10年間の京北地域での人口予測減少数です。この人口減少は,京北地域だけではなく,すばらしい自然と風景,数々の歴史,文化が残る北部山間地域,左京区の大原百井,花脊,別所,広河原,久多,北区の小野郷,中川,雲ケ畑,右京区の水尾,宕陰でも人口減少は同様です。本市は,これまでも山間地域振興の取組を進めていただき,特に,平成17年4月の京北町との合併を契機として,過疎計画や合併計画に基づき,京北トンネルや,また,二ノ瀬トンネルをはじめ,上下水道などのインフラ整備,農林業の振興など北部山間地域全体の振興に取り組まれてきました。しかしながら,少子高齢化,人口減少,農林業の低迷により過疎化が進行,すばらしい地域を守る担い手が減少しており,その集落の存続が危ぶまれているのが現状です。 このような状況の下,昨年9月には京北地域活性化企画本部を設置し,本年8月には京都京北未来かがやきビジョンが策定され,翌9月には京北を含む北部山間地域全体へ施策を広げるため北部山間振興本部も設置されました。今後,実質的な動きが期待されるところではありますが,喜んでばかりはおられず,早急な対応が求められるのが現状です。自由民主党京都市会議員団も,来年度の予算要望として,新たに北部山間地域における過疎問題にしっかりと取り組むよう求めたところでもあります。今後の北部山間地域の振興策を進めていくに当たり,しっかりと地元の皆さんと協議し,守るべきものはしっかりと守り,新たな風も受け入れる土壌づくりと共に,しっかりと財源を確保していく必要があります。あらためて,今後の北部山間地域の振興を推進するに当たっての門川市長の決意をお聞かせいただきたい。いかがですか。 六つ目は,約19.1ヘクタール,これは,西京極総合運動公園の総面積です。西京極総合運動公園は,昭和5年に京都市運動場として建設されました。第1回の国体会場として,また,昭和63年に2回目の第43回国体の会場として京都のスポーツの発信拠点として整備されたものです。丹波自然運動公園の約52.7ヘクタール,山城総合運動公園の約108ヘクタールに比べると総面積こそ及ばないものの,内容は両運動公園には決して負けないものとなっており,陸上競技場兼球技場は,京都府内では唯一の日本陸上競技連盟第一種公認の施設であり,京都サンガの本拠地として設立当時から使用されているグラウンドでもあります。また,野球場についても,かつては阪急ブレーブスの準本拠地としても使用され,本年もプロ野球の公式戦も行われています。ラグビーの2019年ワールドカップ日本大会の試合会場の選考では,残念な結果になりました。また今後,亀岡市での新スタジアムの完成後,京都サンガの本拠地としての役割も変わっていくと考えられる一方,関西ワールドマスターズゲームズの会場として手を挙げていかれるともお聞きしております。西京極総合運動公園は,平成30年度を目途に,国・府と連携し再整備を進められるとお聞きしておりますが,地元選出の議員としては,京都市の掲げる,するスポーツ,見るスポーツ,支えるスポーツにとってますます魅力ある施設になるよう取組を進めていただきたいと思います。 また,京都市内でも,一堂に多くの人が集まることができる場所は限られている現状にあって,この施設をスポーツにとらわれず,幅広い分野に開放していく必要があるのではないでしょうか。全国的にも大きな施設の大改修による2016年問題も叫ばれる中,文化的なイベント誘致を広げるチャンスでもあり,そのことで西京極総合運動公園の知名度を広めていくことが,わかさスタジアムやハンナリーズアリーナのようなネーミングライツ等での収益確保につながるのではないでしょうか。その収益を,他都市に類を見ない魅力的な施設づくりに再活用し,新たな需要につなげるといった好循環を生み出していくべきと考えますがいかがですか。 結びに,「未来(あす)をつくるのは住民(ひと)と地域(まち),今日より明日はよりよい日に!」,私の質問は,本日はここまでとさせていただきます。御清聴ありがとうございます。(拍手) ○議長(津田大三) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
    ◎市長(門川大作) 田中たかのり議員の御質問にお答えいたします。 京都ならではの資源を活用した経済の活性化についてでございます。本市には,伝統産業から先端産業まで幅広い分野で活躍する企業と世界最先端の研究を行う大学が集積し,行政も含めた活発な連携,交流が深められ,産学公連携の聖地とも評価いただいております。こうした強みをしっかりといかし,目利き委員会による優れたベンチャー企業の発掘,経営改革に取り組む中小企業のオスカー認定,京大桂イノベーションパークなどでの企業育成,らくなん進都における大学の研究成果を中小企業へ橋渡しする拠点,京都市成長産業創造センターの創設など産業界,大学,行政が一体となって成長段階に応じた新しい産業の創出に積極的に取り組んできました。このような強みを更にいかし,今後は,優れた研究成果を有する大学や独自の技術,ノウハウを持つ関連企業が多く,将来に向けて成長が大きく期待できる環境,エネルギー,そして健康,医療,さらにマンガ,アニメなどのコンテンツを本市の新たな重点産業として集中的に支援を行い,世界で活躍する中小企業を創出することによりまして,京都の中小企業の支援,京都経済の底上げを図ってまいります。 次に,新たな定時制単独高校についてでございます。現在,全国的に夜間定時制では勤労青少年の学習の場としての役割が薄れまして,一方で,特別な支援を要する生徒や不登校経験者など様々な課題を抱える生徒の学習の場としての役割が高まってまいっております。そうした状況を踏まえまして,教育委員会において,少人数教育による基礎学力の定着や社会的自立につながる資格取得の促進などと共に中学校現場からの意見も踏まえまして,府立清明高校にはない,昼間,夜間2部制の設置,引きこもり傾向の生徒へのICTによる遠隔授業,さらには入学後の不適応を防ぐためのきめ細かな事前の入学相談などを検討しております。また,田中たかのり議員の御指摘も踏まえまして,既に実施した市民意見募集に加え,様々な機会を捉えまして説明会の開催など,生徒や保護者の意見を教育構想に十分反映する取組を進めております。今後とも,多様な学びの場の確保を通して一人一人の子供を徹底的に大切にする本市の教育の伝統,理念をいかしまして,新たな定時制単独高校の早期実現に努めてまいります。 次に,北部山間地域の振興についてでございます。京都市の北部山間地域は,豊かな自然や伝統文化,そして人とのつながりを大切にする暮らしが受け継がれており,京都ならではの魅力に溢れた地域であります。これまでから少子高齢化,人口減少に歯止めを掛け,将来にわたって住み続けられるよう,農林業振興,二ノ瀬バイパスや京北トンネル,地域水道等のインフラ整備などを強力に進めてまいりましたが,取組を更に加速させるため本年8月には京都京北未来かがやきビジョンを策定するとともに,北部山間地域全体を視野に入れまして全庁横断的な取組を推進するため,北部山間振興本部を立ち上げ,超高速インターネット環境の整備促進,子育て,教育環境の充実,就業支援などの事業化について検討を深めております。同時に,各地域においても主体的に空き家の活用や農家民宿の開設などの取組が行政とも連携してなされており,移住,定住の問合せがこの間増えるなど明るい兆しも見え始めております。 今後更にまち・ひと・しごと・こころ京都創生総合戦略のときに,京都お宝バンクにいただいた地域からの具体的な御提案も踏まえまして,地域力を最大限にいかしながら全国のモデルとなる山間地域の振興策をしっかりと実現させてまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(津田大三) 塚本副市長。 〔塚本副市長登壇〕 ◎副市長(塚本稔) 大学を核とした地域連携の推進でございます。地域の活性化や課題の解決に大学の知の集積や学生のエネルギーをいかすとともに,まち全体をキャンパスとして地域社会との関わりの中で豊かな学びの機会を創出するため,京都市では,これまでから学生と地域との連携を応援する学まちコラボ事業などを積極的に推進してまいりました。こうした取組によりまして,市営住宅の活性化,山間地域のまちづくり,商店街の振興など様々な分野で学生が生き生きと活躍する姿が見られるようになっております。人口減少社会の克服が国を挙げて取り組まなければならない喫緊の課題である今日におきまして,38の大学,短期大学が集積し,人口の1割に相当する約15万人の学生が学ぶ大学のまち,学生のまちであることは,本市にとってこの上のない強みでございます。このため,現状ではゼミ単位や学生のグループ単位での活動が中心になっている地域連携活動を,今後大学を挙げた取組に発展させていくなど,大学と行政,そして地域がしっかりと連携することにより,福祉,経済,文化,防災などあらゆる面で大学が地域活性化の核になる取組を,大学コンソーシアム京都や各大学と一丸となって積極的に推進してまいります。 次に,省エネ,創エネの推進についてであります。本市では,エネルギー政策推進のための戦略を策定いたしまして,10年間で省エネ15パーセント以上,再エネ導入3倍以上の目標を掲げまして,創エネと省エネ,そして耐震改修を同時に施工した場合は,助成額を割増しにするなど様々な取組を推進してきた結果,省エネは3年間で9.5パーセントまで進みました。また,再エネは4年間で1.5倍に増加しております。しかしながら,例えば国の固定価格買取制度の価格の引下げや昨年夏以降の九州電力等での接続保留の影響を受けまして,住宅用太陽光発電設備の助成件数は減少傾向にございます。そのため,今後,設置費用が12年から13年で回収できることや,非常用電源として活用できることなど,田中たかのり議員御指摘のように,家計面や防災面でお得感と安心感の更なる周知を図るとともに,助成額の充実につきましても検討してまいります。また,マンションでの省エネ,創エネ設備の設置につきましては,竣工後におきましては住民の合意形成が難しいことから,新築時での設置拡大に向けた方策に取り組んでいくほか,マンション建設事業者,管理組合等への重点的な周知を図ってまいります。以上であります。 ○議長(津田大三) 藤田副市長。 〔藤田副市長登壇〕 ◎副市長(藤田裕之) 西京極総合運動公園についてでございます。西京極総合運動公園の整備につきましては,府市協調で進めております陸上競技場兼球技場の計画的改修をはじめ,今後も府内随一の規模と内容を誇る施設として必要な整備,改修に精力的に取り組んでまいります。また,スポーツの一大拠点として,公園内の陸上競技場兼球技場,補助競技場,わかさスタジアム,いずれも既に多くの皆様のスポーツ活動に利用していただいており,稼働率も非常に高い状況でありますが,田中たかのり議員御指摘のとおり,施設の知名度を高めることにより,ネーミングライツ等を含め,施設充実の好循環へつなげていく取組の推進は非常に大事な支援であると認識しております。今後,御指摘を踏まえまして,スポーツと文化を連動させたイベントの開催や施設の活用など西京極総合運動公園の更なるにぎわい,魅力づくりの方策につきまして様々な角度から工夫,研究してまいります。 ○議長(津田大三) 次に,市政一般について,西野さち子議員に発言を許します。西野議員。 〔西野さち子議員登壇(拍手)〕 ◆(西野さち子議員) 伏見区選出の西野さち子です。日本共産党市会議員団を代表して,市政一般について市長に質問します。 まず,市長の政治姿勢についてお聞きします。門川市政2期8年間で京都市がどのように変わってきたのかを幾つかの視点で検証したいと思います。 京都市は,2012年度から4年間の「京プラン」実施計画の中で,資産有効活用等による財源確保として年間50億円を確保するとしてきました。市民の財産である全市1,450の公共施設を経営資源として,学校跡地や市有地の民間への貸付け,売却を積極的に進めてきました。国が地方自治体の公共施設の縮減を強く求め,集約化,複合化で床面積が減少する場合は交付税を措置し,これまで地方債の発行を認めてこなかった公共施設の除去に対して地方債の特別措置を認めて誘導しています。人口減少に対応して,人口分散を集約し自治体の財政効率を上げるコンパクトシティの国の方針と一体化して,「京プラン」後期実施計画骨子では,役割を終えた土地等の貸付けや売却の推進を更に進めるとして,学校跡地や市営住宅跡地など市有地の民間活用の更なる拡大が示されています。民間投資の更なる拡大として,柔軟な都市計画手法の活用や市有地,民有地の産業用地としての積極的な活用と企業には規制緩和と市民財産の開放を打ち出すなど,現実施計画からも大きく変質しています。企業のもうけのために邪魔になる規制はどんどん緩和し,市民の財産さえも差し出し,まち壊しを進めるというのです。住民に知らせることなく,住民の声さえも聴かずに進められ,地域からは市民の声を聴き,市民のための活用を求める声が上がっています。国の地方創生戦略と一体となって,市民の財産を企業のもうけのために差し出す計画は許されません。市民の財産は市民の声を聴き市民のための活用をすべきです。「京プラン」後期実施計画骨子の撤回を求めます。 この方向が端的に表れているのがまちづくりです。まちづくりというのは,現在だけでなく50年後100年後の京都の景観に責任を持つことではないでしょうか。だからこそ2007年に施行された新景観政策では,高さや容積率を地域ごとに制限し,周辺環境を壊さないための規制を進めてきたのではなかったのでしょうか。ところが市長は,地区計画の手法で岡崎地区と島津製作所の高さ規制を緩和し,京都市自らが新景観政策に穴を開ける提案を行うという重大なまち壊しを進めてきました。さらには京都駅周辺地域では20メートルの高さ規制を31メートルに緩和し,容積率も200パーセントを3倍の600パーセントに緩和しました。そして新景観政策導入後初めてという都市計画による高さ規制の緩和にまで加速度的にまち壊しを進めています。そのうえ,京都駅西部を都市再生緊急整備地域に申請し,大手企業が自由に提案できる地域を12ヘクタールから162ヘクタールに拡大するなど京都市自らの手で新景観政策の精神とは逆の施策を進めているのです。 そして市内に多くある世界遺産に関わっても,下鴨神社の世界遺産登録エリアであるコアゾーンへの倉庫建設や糺の森の緩衝地帯であるバッファゾーンへのマンション建設計画では,森林の生態に詳しい大学院教授からは,「群生するニレ科の樹木はかつての森の姿を知る貴重な手がかりとなる存在。特に大木は環境指標としても重要。撤去は残念であり,京都の宝として未来に向けて残してほしい」と指摘されています。さらには,9月11日の建築審査会で,倉庫の建築確認の執行停止の方向が確認されていたにもかかわらず,10月1日の代表質問では,副市長が,「全ての手続を完了している」と無責任な答弁をされました。その後も事業者は糺の森の風致変更の許可申請で,工事開始日が12月1日であるにもかかわらず違法に工事を始めたことに対し,現状復帰を指導することなく変更申請を受け付け,業者が工事を再開する事態にまでなりました。この違法行為に対して何度も住民による工事中止の申入れがされて工事が止まり,反対署名は7,934筆にもなっています。バッファゾーンに関して京都市は国に財政支援策などを求めていますが,国に求めるだけではなく,京都市独自の規制条例の制定などで世界遺産を守る立場に立つべきです。いかがですか。 また,二条城の第二駐車場建設計画は,京都市が自らの手で世界遺産の景観壊しを進めるという重大な事態になっています。仁和寺では,民間事業者が景観に配慮したとしてガソリンスタンドなどの計画の白紙撤回を決断したにもかかわらず,京都市は,計画を半分に見直しただけで,「仁和寺は土地利用の問題,二条城は観光バスをどこにどう収容するのかの問題」とくらし環境委員会で答弁がありました。世界遺産の景観を守るより,観光客の収容を重要視している市の姿勢が明らかになりました。ここでも約3,700筆の反対署名が届けられているのです。どちらも住民団体がイコモスに直訴をする事態にまでなり文化都市としての京都市の認識が問われています。世界遺産を守る立場に立ち返り,白紙撤回の決断をすべきです。そして,規制緩和や世界遺産の景観壊しなど,一度壊してしまえば元に戻すことは不可能ですから,市民の共通の財産であり,50年後,100年後の人々に引き継ぐべき景観の破壊はやめるべきです。 次に原発問題について質問します。9月市会の代表質問で我が党議員が,原子力災害対策指針のSPEEDIの活用や30キロメートル圏外の住民の安全対策を除外するという改悪についての認識をお聞きしました。副市長は,「改正内容は福島第一原発事故の教訓やIAEA(国際原子力機関)の安全基準を踏まえたもの」と答弁され,指針の改悪を容認する立場を示されました。しかし規制委員会の委員長は「新規制基準に適合しても安全とは言えない。適合イコール事故ゼロではない」と発言されています。また,住民の避難計画も避難者の受入れも不明確なままです。ましてや避難先に指定されている元小学校を学校跡地活用で民間に差し出すというのですから,真剣な検討がされているとは到底思えません。改悪された原子力災害対策指針を容認するのではなく,SPEEDIの活用,30キロ圏外の住民の安全対策を直接国に強く求めるべきです。また,京都市はこれまでから原発ゼロの立場ではなく,「やむを得ず原発を再稼働する場合は,その必要性を明らかにし,地域住民の理解を得るよう」との答弁を繰り返し安全神話から抜け出せていません。更に,原発を再稼働すれば必ず核の廃棄物が出ますが,今でも保管場所は満杯に近い状態です。京都府知事や原発立地県は,「核のごみの最終処分場は一切受け入れる考えはない」と表明しているではありませんか。そもそも原発は一度事故が起これば異質の取り返しのつかない被害を及ぼします。新規制基準に100パーセントの安全だという保障はないのですから,原発ゼロの立場に立ち再稼働に反対すべきです。いかがですか。 次に,敬老乗車証制度の問題です。1973年に始まったこの制度は,敬老と高齢者の社会参加の促進と生きがいを目的とされました。当初は市民負担はありませんでしたが,多くの市民の反対の声にもかかわらず2005年に負担金制度が導入されました。負担金制度導入前の2004年に70.7パーセントだった交付率が,2005年には58パーセントにまで激減しました。昨年度は49.6パーセントと5割を切ってしまいました。しかし,それでも高齢者にとってはなくてはならない制度として喜ばれています。ところが2013年度に公表された敬老乗車証制度の在り方に関する基本的考え方では,これまでの所得に応じた応能負担制度から,利用頻度に応じた応益負担への改悪案が示されました。負担金制度をなくし,一定回数分の無料券を配り,使い終われば後は1回100円程度の負担をお願いするというものです。決算特別委員会では「高齢者が増える中,安定的な運営をしていくために見直す。応益負担を基本とする」と答弁がありましたが,まだ何も決まっていません。高齢者の負担を増やすことは,敬老乗車証制度の本来の目的である敬老や高齢者の生きがい,社会参加の精神に反するではありませんか。市民からは2万2,000筆以上の請願署名が届けられています。安定的な運営のためを口実に市民の声を聴かず,市民の宝物と言われる敬老乗車証制度の改悪は絶対に許せません。いかがですか。 以上の答弁を求めまして,午前中の質問といたします。(拍手) ○議長(津田大三) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 西野さち子議員の御質問にお答えします。 「京プラン」後期実施計画についてでございます。本市では,徹底した市民参加の下に市会の議決を経て策定させていただきました京都市基本計画が目指す京都の未来像の実現に向け,着実に施策を進め,大きな成果を上げております。そのうえで,現在,来年度以降5年間の後期実施計画の策定に取り組んでおります。この度取りまとめた後期実施計画骨子にお示しておりますように,将来にわたって全国トップレベルの福祉,教育,子育て支援,そして市民生活の安心安全をしっかりと守っていく必要がございます。そのために基金の取崩しなど特別の財源対策に頼らない足腰の強い財政基盤の確立が不可欠であり,行財政改革の取組を加速させるとともに,経済の活性化により市民所得の向上や中小企業の活性化につなげ,ひいては税収増にもつなげていくことが重要であります。そのためには,大学の知,地域の歴史文化,伝統産業,中小企業など京都の知恵と強みを総動員した産業政策,文化政策を一層強力に推進するとともに,民間の創造性あふれる発想や活力を最大限に活用していくことが必要であります。本市が保有する使われていない資産等の有効活用についても,こうした考えの下,例えば山ノ内浄水場跡地において具体化が進んでいるように,民間の発想などもいかしながら,大学のまち,地域のまちづくりの推進,経済の活性化や安定した雇用の創出,市民サービスの向上を目指すものであります。大企業のもうけのために差し出すとの御指摘は全く当を得ないものであり,とりわけ学校跡地におきましては,他都市のように売却することなく地域の代表の方々にもしっかりと御参画いただきながら,長年にわたり避難所や自治活動の拠点としての機能を十分に維持しつつ活用を進めているところであります。 「京プラン」後期実施計画につきましては,市民や議会の皆様の声をお聴きしながら,更に検討を深めまして,今年度内に策定し,未来の京都への責任をしっかりと果たしてまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(津田大三) 藤田副市長。 〔藤田副市長登壇〕 ◎副市長(藤田裕之) 原発の安全対策と再稼働についてでございます。本市は,平成24年の市会決議を重く受け止め,原発のできる限り早期の全廃に向けたエネルギー政策の抜本的な転換を国に求め,中長期的には脱原発依存を強く主張し続けております。そのうえで,原発に依存しない電力供給体制が構築されるまでの間,やむを得ず原発を再稼働する場合には,その必要性を明らかにし,世界最高水準とされる新規制基準を厳格に適用して万全の安全性を確保するとともに,基準に適合した原発はどの程度の安全が保証できるのか,分かりやすく地域住民に説明し理解を得るよう国に求めております。また,今年4月の原子力災害対策指針の改正内容は,福島第一原発事故の教訓やIAEA(国際原子力機関)の安全基準を踏まえたものと承知しておりますが,UPZ外も対象とした防護対策をより確実なものとするための緊急時モニタリング体制の整備などを国に求めているところであります。以上でございます。 ○議長(津田大三) 小笠原副市長。 〔小笠原副市長登壇〕 ◎副市長(小笠原憲一) 下鴨神社のマンション等建設と二条城第二駐車場についてでございます。 本市では,平成19年の新景観政策において建物の高さ,あるいはデザインの規制を強化するほか世界遺産からの眺望の保全を図るため本市独自の眺望景観創生条例を制定し,国内外から高い評価を得ております。下鴨神社の集合住宅は,世界遺産である糺の森から道を隔てて,かつてはゴルフ練習場,近年ではアスファルトの駐車場であった場所において,本市の厳しい規制の下,外観を和風にし樹木を適切に保存,移植する等,糺の森と調和した整備がなされるものであり,新景観政策に適合していることは,第三者から成る審議会においても確認がされております。葵祭等の祭事に必要な祭礼道具を収める祭事庫も,史跡に関するものをはじめ,本市の規制に適合した整備が行われることとなっています。 次に,二条城における北西角のバス駐車場などの整備につきましては,東大手門や東南隅櫓の前で過密に駐車しているバスが景観を阻害し安全上も課題がある現状をマイカーの駐車台数を大きく減らすこと等により改善し,世界遺産にふさわしい威厳ある姿に生まれ変わらせるために実施するものでございます。現在,住民の皆様や市会からの御意見を踏まえ,規模の縮小に向けて具体的な検討を行っておるところでございます。これらにつきましては,世界遺産の監視活動を行っております日本イコモス国内委員会へは,これまでから任意で情報提供を行い説明を行っておりますが,整備に関する懸念等の御指摘はなく,御理解いただいているものと考えております。 また,昨年度からは世界遺産を含め景観上重要な寺社等と周辺におきまして良好な景観保全に必要な規制等の再検証を図る取組として,歴史的景観の保全に関する検証事業を開始し,市内61エリアで詳細調査を行うとともに有識者による検討会を開催し課題の整理や対応策の検討を行っております。これらの取組を通じまして,今後とも,50年後,100年後を見据えた京都の景観づくりにしっかりと取り組んでまいります。 ○議長(津田大三) 高木保健福祉局長。 〔高木保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(高木博司) 敬老乗車証制度についてでございます。本制度につきましては,今後更に高齢化が進展する中にあっても,社会参加を一層促進しつつ,将来にわたって持続可能なものとしていく必要がございます。このため,本市では,京都市社会福祉審議会での真摯な御議論を経て取りまとめられた答申及び市民意見募集の結果等を踏まえまして,制度本来の目的に沿って,より多くの方々に御利用いただけるものとなるよう,一定回数の乗車までは無料,その後は利用ごとに相応の負担をお願いする仕組みへと転換を図るとともに,低所得者対策を講じるという,本市としての基本的な考え方を取りまとめたところでございます。制度の具体的な内容につきましては,現役世代を含む市民や交通事業者等,多くの関係者の理解はもとより,ICカード化に伴う大きなシステム開発等も必要となることから,引き続き十分時間を掛けて検討を進めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(津田大三) 西野さち子議員の一般質問の途中ですが,暫時休憩いたします。午後1時に再開いたします。 〔午前11時51分休憩〕 〔午後1時1分再開〕 ○議長(津田大三) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(津田大三) 休憩前の一般質問を継続し,西野さち子議員に発言の継続を許します。西野議員。 〔西野さち子議員登壇(拍手)〕 ◆(西野さち子議員) 午前中の答弁では,アベノミクスと一体となって市民の財産を企業に差し出すという余りにも無責任な姿勢が明らかとなりました。「京プラン」後期実施計画骨子の撤回を再度求めて質問に入ります。 介護保険制度について質問します。安倍内閣は新3本の矢で介護離職者ゼロを打ち出しました。そのために介護施設の整備や人材の育成を進めることで在宅介護の負担を減らし,仕事と介護が両立できる社会をつくるというものです。しかし,介護報酬の大幅引下げで介護現場は大打撃を受けています。一つは介護士不足に拍車を掛けている問題です。希望者の激減で介護士養成校が相次ぎ募集停止になっていますが,京都市内も例外ではありません。厚生労働省は2025年に介護労働者が37万7,000人不足すると推計していますが,更に増える可能性があります。介護士確保のために地方自治体も努力をされています。例えば綾部市では介護士養成校の新卒者に市内で働く場合は家賃の一部を2年間補助する,就学資金として最大120万円を貸し付け,市内で3年働くと返済免除するなどの努力がされています。現状は深刻です。介護士不足の問題解決のために,介護報酬の引上げや配置基準の低さ,低賃金の改善などを国に強く求めると同時に早急に京都市独自の支援策が必要です。いかがですか。 もう一点は,介護の基本報酬を引き下げたことによる事業所への影響です。中でも小規模デイサービスは要介護者で平均9.2パーセント以上の事業所報酬の大幅減で,要支援1,2の人は平均21パーセント以上の引下げです。さらに2017年度には要支援1,2の人が保険給付から外され市町村事業に移されますから,一層の収入減になる可能性があります。京都市内の,ある小規模事業所にお聞きすると「1割の収入減になり経営者の報酬はゼロ」と言っておられました。ボランティアで辛うじて支えられている状況ですから,京都市内でも倒産の心配があります。民間信用調査会社によると,今年9月までに介護事業所の倒産が全国で57件と過去最高となっています。これでは介護離職ゼロどころか逆の方向ではありませんか。放置すれば施設の倒産が京都市内でも出る可能性があります。早急に実態調査し対応策を打つべきです。 次に,国民健康保険料についてお聞きします。9月議会の市長総括質疑で副市長は,「国保制度は命と健康を守るために社会保障の一環として位置付けられている。国の責任で行われるのは言うまでもない」としながら「支えあい助け合うことが基本的な理念」と答弁されました。そして,国民健康保険法には,助け合いとは書かれていないことも認めながら,「通達や審議会では運用されている」と,法に基づかない運用を認められました。助け合いでは国や地方自治体が市民の暮らしに責任を持つ考え方が全くありませんから,この立場は許されるものではありません。撤回すべきです。そして,法に基づき社会保障としての立場に立つべきです。いかがですか。 今年度は国保会計始まって以来初めて全ての料率の引下げが行われました。一人平均2,352円の引下げで市民に大変喜ばれています。しかし,所得300万円の4人世帯で50万円を超える保険料ですから依然として高止まりです。所得の2割近くの負担では,所得が減り続ける中ですから,払い続けるのは並大抵のことではありません。だからこそ滞納世帯は4万件を超え続けているのではないでしょうか。差押え件数は2007年度に比べて2013年度は4倍,2014年度は4.84倍と5倍近くに膨れ上がっています。差押えの中には,たった4万円の預金が違法に差し押さえられたケースもあります。市民の生活より徴収率の向上が重要なのでしょうか。払えないから滞納になるのですから,払える保険料にすべきです。負担の限界を超えているという認識はないのでしょうか。市民の命を守るために今,最も必要なことは払える保険料への引下げ以外にありません。市長の決断を求めます。 次に市営住宅の問題です。1点目は市営住宅の空き家対策についてお聞きします。昨年7月現在で空き家は全市で4,116戸ですが,今年度の空き家整備の目標は約810戸しかなく,全く足りません。例えば伏見区の大受団地の空き家は224戸で,空き家率は約20パーセントとなっています。向島市営住宅の空き家は527戸で,空き家率は約12パーセントです。公募倍率が170倍以上の団地もある中で,現状は空き家戸数の増加が目立っています。また,単身者用の住居が不足しています。例えば今年6月の公募を見ると,石田東と西団地の一般住戸は応募ゼロですが,単身者用は東が2.6倍,西が10.6倍です。小栗栖団地は一般が0.7倍ですが単身者用は20.5倍となっています。山科団地の単身者用は76.6倍にもなっています。このように同じ団地でも一般公募では応募が少なくても,単身者用で公募すれば倍率が高くなります。広さの問題もあるでしょうが空き家で置いておくよりも活用をすべきではないでしょうか。改修戸数を増やすことと同時に各市営住宅を平均的に改修していくこと,また,単身者用の公募を増やすことなど市営住宅の改修計画の改善を求めます。いかがですか。 中でも旧改良住宅の空き家は深刻です。管理戸数の30パーセントから40パーセントの空き家率になっている所もあり,最もひどい所は58パーセントで6割近くが空き家という所もあります。市営住宅ストック総合活用計画で用途廃止や集約の対象になっていて公募不可能となっている所もあります。しかし,住民にとって,対策や見通しが示されることもなく,空き家だけが増えていく状況の中での生活は,不安と同時に防犯やコミュニティなど様々な問題が出てきます。改修もせず放置し,ストック総合活用計画で跡地を意図的に作り出す市の姿勢が現れています。旧改良住宅は立地条件のいい団地が多いのですから,放置するのではなく早急な対応が求められます。いかがですか。 2点目は共益費の徴収についてお聞きします。どこの団地もほとんどの自治会が共益費の徴収に難儀をされています。特に自治会に入っておられない方は,なぜ自治会に払わなければならないのかと支払いを拒む人もあると聞きます。確かに入居時に誓約書を交わしている相手は住宅供給公社ですから,家賃と共に公社に支払われるのなら筋は通りますが,公社は家賃分しか受け取りません。自治会が入居者を訴えて裁判になった事例もあります。この間,住宅供給公社の協力を得て対策を採られて一定の効果が見られた団地もあります。しかし,根本的な解決にはなっていません。市営住宅共益費徴収等事務処理要綱には,自治組織による共益費の徴収及び管理ができない場合のみということではありますが,市長が入居者に代わって徴収するために必要な事項が定められています。自治会から徴収,管理が無理だとの申請があれば,要綱に従って市が徴収すべきです。自治会支援の意味でも,共益費の京都市徴収を進めるための改善をすべきです。いかがですか。 市営住宅の最後に浴槽,風呂の扉,畳の公私負担区分の見直しについて質問します。市営住宅にお住まいの皆さんからよくお聞きする話ですが,「30年近く住んでいる。畳はぼろぼろで敷物を敷いてごまかしている,浴槽のホーローが減ってさびでざらざら。周りに触らないように入っている,浴槽の高さが60センチくらいあるので高くてまたげない。台を置いているが滑らないか怖い」など多く聞かれます。この現状を放置してきたことは市長の責任です。憲法25条にうたわれている健康で文化的な生活とは言えない状況が市営住宅で起こっているのです。浴槽のさびなどは衛生面からも問題ではないでしょうか。風呂釜(バーナー)については公費負担になりましたが浴槽,畳などはまだ自己負担です。多額の費用が掛かり改修は大変です。公私負担区分の見直しで,公費での改修をすべきです。 また,浴室の扉が内側に開きます。向島団地では浴室で家族が倒れられて救助をしようと思うが倒れた人が妨げになって戸が開けられない事態が起こりました。救急隊が救助に来られても扉が開かず救助に時間が掛かったとのことです。高齢者世帯からでも順次計画的に改善することが必要です。折り畳み式の扉への改善をすべきです。いかがですか。 最後は,東部クリーンセンターの跡地活用について質問します。伏見区石田にある旧東部クリーンセンターは老朽化とごみの減量によって2013年3月末に休止されました。事実上の廃止です。約4万4,000平方メートルの広大な広さがあり,地下鉄の石田駅にも近い所にあります。醍醐地域を走っているコミュニティバスもすぐ近くにバス停があり,地域住民のアクセスもいい場所です。日本共産党がアンケート調査をした結果,例えば,「子供たちが自由に遊べる広場にしてほしい」,「特別養護老人ホームや障害者のための施設が欲しい」など様々な要望が出されました。また,醍醐地域の保育園長会,保育士会との懇談の中では,「こども未来館のような施設を京都市南部にも欲しい」,「ボール遊びのできる公園が欲しい」と強い要望をお聞きしました。この場所は売却を視野に入れた活用を検討するとされていますが,長年にわたってクリーンセンターを受け入れてきた地域住民の声に耳を貸さずに売却することは許されません。市民の財産ですから地域住民の声を十分に聴き,住民のための活用をすべきです。 売却しないことを再度強く求めまして私の代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(津田大三) 塚本副市長。 〔塚本副市長登壇〕 ◎副市長(塚本稔) 東部クリーンセンターの跡地活用についてでございます。東部クリーンセンター跡地は,市民や事業者の皆様の御理解と御協力によりまして,ごみの減量,再資源化が進捗している状況を踏まえ,ごみ処理コストの大幅な削減を図るため,老朽化した東部クリーンセンターを休止し,それまでの4工場体制から3工場体制への移行により生み出されました市民の皆様の貴重な財産でございます。また,この跡地は約4万4,000平米もの広大な敷地であり,地下鉄東西線石田駅から約300メートルの距離に位置してしているため利便性も高く,非常に大きなポテンシャルを有しております。その一方で,土地の形状が不整形であることや,22億円以上もの高額な既存施設の撤去費用等,活用を進めるに当たっての課題も多くございます。これまでから,地域の皆様には,東部クリーンセンターの運営に当たり多大な貢献をいただいておりまして,地域の皆様の御理解を得る中で,東部クリーンセンターの跡地活用が地域の活性化はもとより,地下鉄増客や京都の未来の大きな飛躍に資するよう,民間の知恵の活用も含めまして英知を結集して取り組んでまいります。以上であります。 ○議長(津田大三) 藤田副市長。 〔藤田副市長登壇〕 ◎副市長(藤田裕之) 私から2点お答えします。まず,介護保険制度についてでございます。介護保険制度は全国一律の社会保険制度であることから,これまでから国の責任において事業者の経営実態を把握しつつ,介護ニーズへの対応や質の高いサービスの提供体制確保の観点から改定され,今年度介護報酬全体といたしましては引き下げられました。こうした中,介護職員の処遇改善につきましては,今年度で月額1万2,000円,平成21年度以降合計では4万2,000円の改善が図られております。本市といたしましても,引き続き人材確保をはじめ介護サービスの一層の充実が図られるよう国へ要望するとともに,関係機関とも連携し福祉職場就職フェアへの参画や福祉職場の採用担当者を対象といたしました研修などの本市独自の人材確保の取組を進めてまいります。なお,業績不振による事業所の廃止については,本市では,前年度と比較して高い状況にはありませんが,今後とも,国の経営実態調査等の動向を注視しつつ,利用者が必要なサービスを受けることができるよう,事業者に対して相談や指導等適切に対応してまいります。 次に,国民健康保険についてでございます。国民健康保険は,被保険者の皆様の所得に応じた保険料と国民の税金を財源とする国庫負担等によって運営されており,医療に対するリスクを正に国民全体で支え合い助け合っていくという社会保険制度であります。保険料の負担軽減につきましては,本市では,これまでから多額の一般会計からの繰入れを行い,今年度は昨年度から10億円の増額となる166億円を確保しております。さらに,政令市トップ水準となります保険料徴収率や後発医薬品差額通知等による医療費の適正化により,制度創設以来初めて平等割,均等割,所得割の全ての保険料率を引き下げ,一人当たり保険料を2,532円軽減いたしました。厳しい財政状況の下ではありますが,今後とも一般会計繰入金を最大限確保して負担軽減に努めるとともに,丁寧できめ細かな納付相談を行うことにより本市の責任を果たし,市民の命と暮らしをしっかりと守ってまいります。以上でございます。 ○議長(津田大三) 黒田都市計画局長。 〔黒田都市計画局長登壇〕 ◎都市計画局長(黒田芳秀) 市営住宅についてでございます。まず,入居募集につきましては,過去の応募倍率や市内の地域間のバランスに加えて単身者用などの住戸の数も考慮しながら,改良住宅も含め計画的に行っており,近年では年間平均約740戸という従来を大幅に上回る募集戸数を確保しております。次期募集に向けた退去後の空き家の改修につきましては,この募集計画に基づき実施しております。次に,共益費につきましては,各団地の自治会に自治会費と合わせて徴収いただいており,地域コミュニティの維持にも密接につながっていることから,徴収に苦慮されている場合は京都市住宅供給公社が自治会と一緒に滞納世帯への督促に取り組むなど寄り添った支援に努めております。最後に,浴槽や浴室扉などの修繕を本市の負担で行うことにつきましては,厳しい財政状況の中,現状では困難であり,まずは浴室のない住戸への浴室設置を優先的に進めるとともに,安心安全やバリアフリーの観点から,耐震改修やエレベーター設置などに重点的に取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(津田大三) 次に,市政一般について,平井良人議員に発言を許します。平井議員。 〔平井良人議員登壇(拍手)〕 ◆(平井良人議員) 中京区選出市会議員の平井良人です。日本共産党市会議員団を代表して質問します。 私は,これまで中小企業の経理や決算の仕事を通して,中小企業の業者の皆さんの苦境を共に乗り越え,営業と暮らしを守る仕事をしてきました。そのうえで,最初に,京都経済の活性化と小規模事業者への支援について質問します。 京都市では,門川市政8年間で事業所減少率,政令市ワースト2であり,2009年から2014年の6年間で7,640軒の京都の中小企業が倒産,廃業へと追い込まれています。市内総生産は減少し,製造,繊維関係ではマイナス33パーセント,機械金属ではマイナス37.8パーセントと第二次産業で落ち込み続けています。さらにひどい状況なのが繊維工業で,マイナス44.2パーセント,染色工業,マイナス42.4パーセントと事実上生産機能停止の危機に瀕しています。一方,観光都市といいながら,巨大資本と外国資本で塗り固められたホテル建設の増大に対して,旅館業の減少は1986年には414軒から2012年には121軒に減少するなど,中小零細企業者が減少し,京都経済が疲弊し続けている状況です。これでは京都市として,中小企業対策が的確に打てていないと私は考えます。そこでお聞きしますが,門川市長の2期8年で京都経済が落ち込んでいるという認識はありますか。 落ち込んでいる経済状況の中で今の小規模事業者がおかれている実態は,消費税増税後,更に深刻になっています。ある飲食業者の方からは,「消費税を価格に転嫁できない。1年目はなんとか払えるが,2年目以降,資金繰りが厳しくなり滞納をせざるを得ない。この間は,税務署でも担当者が代わり,分納相談ではなく,一方的な取立てがある」という声や,ある電気店の方は「納税のために貯金をしているが,自分の生活を切り詰めるところまで切り詰めて蓄えている。このままでは廃業も考えざるを得ない」と,こういった事例が幾つもあり,消費税の増税が廃業を生み出すものとなっているのは明らかです。私は,度重なる消費税の増税が京都の中小零細企業を倒産,廃業へと追い込んだ大きな要因と認識していますが,市長は消費税が京都の経済を落ち込ませているという認識をお持ちですか。 こういう経済状況の下,国で小規模企業振興基本法が制定されました。この基本法の法第2条の2項には,小企業者とは,おおむね常時使用する従業員の数が5人以下の小事業者と書かれています。第3条には,個人事業者をはじめ自己の知識及び技能を活用して多様な事業を創出する小企業者が多数を占める我が国の小規模企業について,多様な主体との連携及び協働を推進することにより,その事業の持続的な発展が図られることを旨として行われなければならない。また第7条には,地方自治体の責務の規定があり,地方公共団体は,基本原則にのっとり,小規模企業の振興に関し,国との適切な役割分担を踏まえて,その地方公共団体の区域の自然的,経済的,社会的条件に応じた施策を策定し,及び実施する責務を有するとされています。中小企業が99.7パーセントを占める京都経済を活性化させるためには,小規模事業者の持続的な発展や京都の条件に応じた施策を考慮し,小規模事業者のための特別の対策が責務とされたのです。 私は,そのために,次の5点が必要だと考えます。一つ目に,小規模事業者の声を聞き取りし,その実態をつかむべきです。二つ目に,平常時でも窓口を置き,区役所などで身近な企業の困り事についてワンストップで相談に乗ることや気軽に相談に行けることが必要です。三つ目に,中京区の地元商店街も含め,この間の大型店の出店ラッシュ,スーパーの乱立など体力を失っている商店街等の団体への振興予算の増額,商店街の実態を前向きに打開する補助金の創設。四つ目に,学校等の修繕や備品の購入などの発注を大資本への一括発注にするのではなく,京都のものづくりや伝統産業,商店などへ分割で発注し,地元企業を応援する形に戻すべきです。地元事業者は学校等地域に根差しており,機敏に対応できることなどの利点があり,宇治市では既に行っています。五つ目に,経済効果の大きい商店リフォーム助成制度や住宅改修助成制度など,小規模事業者が生き生きと活躍できる仕組みづくりです。これらの対策について,市長の考えをお聞きします。 これら一つ一つの対策を日常的に進めるために力になるのが中小企業振興基本条例です。横浜市や札幌市でも条例の創設によって中小企業の振興状況の検討や検証が行われ,自治体自らが中小企業振興を正面に掲げて支援しています。特に横浜市では,取組状況報告書の中で,中小企業対策の年度内の具体的な実績,成果,市内企業の声等を記載し,来年度への課題と対応を年度ごとにまとめ,次の中小企業の行く先をみつめ続けています。京都市はなぜ条例化し,具体化を図ろうとしないのか。お答えください。 次に,学校跡地について質問をします。先ほど,西野議員が指摘したように,学校跡地については,企業に対し,規制緩和と市民財産の開放を打ち出していることは重大な問題です。市長は,2015年5月19日の教育再生実行会議第三分科会で「学校統廃合を徹底して実行し,68校から17校に統合しました。財政効果は,年間学校運営費が22億円も減っている。そして,学校施設の改築経費は441億円削減されている。教職員が358人減り,人件費は年間32億円減っている。これが,いかに財政効果が大きいか」と言われました。市長のこの発言にもあるように学校統廃合は,子供たちの発達のためではなく,人員も施設も縮小し,人件費や設備費など経費削減が目的であり,子供の教育よりも財政効率を優先させてきたのです。こういった財政効率優先の考え方は自治体の役割を投げ捨てるものであり,断じて容認できません。 さらに9月議会の質疑で,市長は,「跡地活用の考え方は変わっていない」と答弁されましたが,活用は原則市の事業とし,営利目的には活用しないとしてきたのを,2011年度以降,民間業者についても対象とするという方針に変えたわけですから大転換としか言いようがありません。しかも,中京区の元立誠小学校の跡地活用問題については,その担い手となる事業者に対し,5,000万円から1億円の売上げは必要といったことが出されています。市民等提案制度とされていますが,これでは,一定の規模,資本力を持つ営利企業以外,提案できないではありませんか。 その元立誠小学校では,年間300日以上の催しや文化行事を開催し,地元を愛してやまないことを表しています。市長が目指す観光客滞在で現在の183万人から300万人まで増やす構想の下,次々とホテルの建設やその計画が立てられています。サカエ跡地や京劇ボウルの跡地にもホテル建設が計画され,地元の自治連合会役員の中では,「ホテルでは,いつ観光客の減少が起こるか分からず,地元が潤わない。歴史で育まれた文化の発祥地として学校跡地を残してほしい」という声が起こっています。この自治連合会では,地元で跡地検討委員会を作り,京都市とも連携をし,長年地域の活性化のために尽力されています。ところが,その立誠の跡地には,ホテル業者が複数の問合せをしてきているということにより,地元からは不安の声が出されています。 中京区のもう一つの跡地活用に関わっている元教業小学校では,今年中に新たな活用に踏み出すとしています。これまで区の社会福祉協議会が会議室を地域の住民のコミュニティの場として貸し出してきました。市の関係者に状況を聞くと,この地域では,自治会館がなく,地域の自治連合会の会議は区社協の会議室でやってきたとのことでした。会議室を借りている団体は,「地域の福祉活動の一環として5年間パソコン教室を行ってきたが,今後使えなくなることになれば,安価で教えてきたことができなくなる」と不安の声を漏らしておられます。地域住民やコミュニティを担ってきた団体が,今までどおり,活動できる権利を保障すべきであり,学校跡地で活動を続けられるよう要望しておきます。 また,東山の元貞教小学校跡地をめぐっては,地元自治会が要望してきたこと,例えば運動場についてはプール撤去前の広さと同程度を確保する,現在の区民体育祭,貞教夏祭りに必要な広さを確保するといった確認とは違い,グラウンド面積が縮小された図面が出されています。体育館は現状のまま使用できるとしていましたが,10月に,工事の期間は利用できないと突如話が出され,自治連の方々が粘り強く交渉し利用できることになるなど,本当に住民の声が伝わっているのか,住民の要望は二の次ではないかと疑問を持たざるを得ない事態です。そこでお聞きしますが,跡地活用をめぐって,こうした施設に対する要望はどのようにいかされるのでしょうか。民間業者に活用してもらうのだから,住民の要望は我慢しろということなのでしょうか。また,1年以上にわたる工事期間中に災害が起きた場合の避難場所の確保はどうなるのでしょうか。工事中の避難場所の確保の問題を含めて明確な答弁を求めます。 この問題の最後に,原発事故の避難場所に元小学校跡地が指定されている問題についてお聞きします。先日舞鶴市で行われた高浜原発の説明会で,内閣府から配られた資料に,舞鶴市のPAZ圏内の住民の避難場所として,東山の元清水小学校をはじめ四つの元小学校が指定されていますが,それは事実ですか。これは,京都市の責任で避難場所として出したものですか。国の法律では,避難を受け入れる側が条件整備の義務を負うと受入れ自治体の責務が明記されていますが,条件整備や地元への説明などはどうなっているのですか。しかも元小学校跡地は現在民間活用の対象となっており,とりわけ元清水小学校は,ホテルあるいはブライダル施設が活用するとされており,期限の目途のない原発事故避難者をホテルなどが長期に受け入れることが可能なのでしょうか。このような,整備もされていない施設を,京都市が避難所として申請したこと自身が重大です。それこそ,事故は起こらないという安全神話ではありませんか。原発防災の避難所として元小学校を考えるならば,跡地活用は公共的な役割に限るという立場に立つべきです。改めて学校跡地活用の民間活用計画は撤回すべきと考えますが,いかがですか。市長の答弁を求めます。 次に,大学生の学費,奨学金,若者の働き方について質問します。学費,奨学金に関わる方々の声は,どの世代も深刻な状態です。日本共産党市会議員団は,大学前や駅頭,繁華街で調査を行ってきました。私が直接お聞きしたある大学2回生は,「学費のために月8万円の奨学金を借りている。貸与総額は384万円だが,利子が付くので返済総額は516万円にもなり,利子だけでも132万円にもなる」と語っています。現在,奨学金を返済中の25歳の製造業で働いている方からは「利子付きの奨学金を毎月1万5,000円も返済しています。40歳を過ぎても奨学金の残額が残る。将来結婚できるか,子育てできるか不安。本当に何とかししてほしい」との声。親世代の方からは「息子が大学に指定校推薦で進学したが,成績が維持できずに中退。それまで借りていた奨学金を返済しないといけないが,派遣社員の息子の収入では返せないために,代わりに返済している」など,全世代で苦しんでおられます。そういった実態の中でLDA-KYOTOという団体が立ち上げられました。高学費や異常な働き方を解決するために立ち上げられたのがLDAです。すなわち,生きやすい京都をつくる全世代行動です。11月27日現在で19箇所353人からアンケート調査が寄せられ,請願署名は合計2,023筆集まっており,この11月議会にも請願が出されています。 こういった運動が広がる中で,財務省は,国立大学,毎年2万5,000円もの値上げをし,16年後の授業料は,40万円増の93万円とする方向を打ち出しました。また,私立大学の学費は,2012年度の初年度大学の学費の全国平均は131万5,882円で,今でも学費が高すぎて支払いが困難になっている世帯に追い討ちを掛け,未来ある学生のそのスタートから格差と貧困を作り出すものとなっています。今や世界の流れは,学費無償化へ向かっています。2012年に日本も国際人権規約の中等,高等教育の段階的無償化を批准しましたが,無償化にはほど遠い状態です。 9月市会の決算委員会において,我が党のくらた議員が,「根本的に学費の高さを考える上でも京都市として実態把握が重要です。京都市として学費の実態調査を行うことはしないのか」と質問したことに対して,総合企画局は,「実態を把握することは重要だ」とされたものの,「調査ではなく,経常的に相談を受けている」と答弁されましたが,この認識を変え,高学費の実態調査を行うこと,また,育英会の奨学金制度を引き継いだ日本学生支援機構の下で奨学金が支払えず滞納している方の実態調査を行うことを求めますが,いかがでしょうか。 政令市である札幌市では,1年間という限定ではありますが,市独自の入学支度金で2万1,000円,奨学金を月額で9,000円支給しています。京都府内でも,舞鶴市,亀岡市,京丹後市,京丹波町などで,人数制限や所得制限,生活困窮世帯向けであるものの,独自の奨学金制度や支度金を創設しています。綾部市では,大学進学する際に入学支度金を30万円給付しています。自治体がやる気になれば,独自で給付制奨学金の創設は可能です。京都市が独自に給付制奨学金制度や支度金制度を創設すること,国へ給付制奨学金の充実や奨学金の利子補給制度の創設,私学助成の充実,国立大学の授業料の引下げなどを要望し,学生とその親御さんの声に応えるべきです。お答えください。 学費,奨学金の重い負担の下,働きながらバイト代を学費や奨学金に充てている学生も少なくありません。厚生労働省の11月9日の大学生等に対するアルバイトに関する意識等調査結果では,学生1,000人が経験したアルバイト延べ1,961件のうち58.7パーセントが,労働条件等の通知書を交付されていないと答え,労働条件について,口頭でも具体的な説明を受けた記憶がない学生が19.1パーセントです。加えて,48.2パーセントが労働条件等で何らかのトラブルがあったと回答しています。厚生労働省は,シフトに関するトラブルや賃金不払い,労働時間が6時間を超えても休憩時間がなかったなど法律違反のおそれがあると発表しています。学費や奨学金の負担の高さから,違法実態におかれているバイト先であっても,学費や生活費のために働き続けなければならない状況があることを,この調査結果が物語っています。いわゆるブラック企業で働く若者の実態はどうかといいますと,労働者への違法な罰則や罰金が広がっています。バーで働く男性は,「アルバイトで働いているが,遅刻すると1回につき3万円の罰金がある」,以前イタリアンレストランで働いていた女性は,「お皿を割るごとに,実費で弁償し続けてきた」と述べておられました。加えて,「長時間労働の下でほとんど休みが取れない。休みの日は寝ている」と話してくれた男性は,IT関連のエンジニアです。職種によって,違法性の質が変わりますが,どの分野でも違法,無法がまかり通り,これが当たり前だと言わんばかりに,その働く意欲さえ失わせる状況が,少し話を聞くだけでもたくさん出てきます。 そこで私は,京都市も川崎市や横浜市のように窓口を作り,独自の相談活動を行うこと。その際,弁護士や専門家と連携を取ること。若者の働き方の実態調査を行い,その調査に基づき,違法,無法を根絶するためにブラック企業,ブラックバイトを規制する条例を作るべきだと考えますがいかがでしょうか。 若者の働き方も依然として深刻です。厚生労働省が11月4日発表した2014年実態調査では,非正規雇用の割合は,各種調査の中で初めて4割に達しています。2010年調査より1.3パーセント上昇しています。事業所が非正規雇用を使う理由は一番が経費節減でそれに続いて,忙しいときに使える労働者という順番で挙がっています。また,非正社員の中では月給20万円未満が78.2パーセントに上るなど,国会での派遣法の改悪が連続的に続けられてきたことにより,使い捨て労働が広がっているのが現状です。京都市でも,非正規雇用率政令市ワースト1です。大学を卒業して一歩目で非正規雇用に就き低賃金で将来が不安な状態が続く,こんな生活を強いられている方々が京都市でも広がり青年の未来を閉ざしています。私がお話を聞いた大学の契約事務員の方は,3年契約で今年度が3年目。「これまでも色々な職種についてきたが,ぶつ切りの働き方をしていると年齢が上がるごとに不安が増大する。正社員の道を増やしてほしい」と切実な声を上げておられます。 こうした深刻な実態がある中で京都市では,雇用の問題は後景に置かれ,雇用担当部長をなくした責任は重いものです。私は,京都市に雇用に特化した雇用担当部署を新設し,若者の働き方の改善や非正規雇用者を減らす対策を行うべきだと考えますが,いかがですか。(拍手) ○議長(津田大三) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 平井良人議員の御質問にお答えいたします。 京都経済に対する認識についてでございます。本市経済は,私が市長に就任した直後,リーマンショックに端を発する深刻な景気後退を経験しましたが,この間,国の経済政策と軌を一にし,本市の強みをいかした中小企業対策,成長戦略を展開してまいりました。また,社会保障の,子育て支援の充実,安定化を実現するために実施された消費税率引上げについても,国や府と歩調を合わせ,いち早く中小企業経営体質強化支援をはじめとした影響緩和策や様々な消費喚起策を講じたところであります。こうした取組により,平成24年度の一人当たりの市民所得は平成20年度より5パーセント増加して,政令市で10位から4位に上昇,市内総生産も5パーセント増加したほか,昨年度の倒産件数は過去10年で最少になりました。また,直近10月の京都の府内有効求人倍率は1.24倍と昭和49年1月以来の高水準にあるなど,京都市経済は全体として回復基調にあると認識しております。 一方で,中小企業では回復に遅れが見られ,また,人手不足の問題,業種によってばらつきがあること,非正規雇用の増加や市民生活の場面で景気回復を実感できていない方がおられるなど課題も多く,景気回復の動きを京都の隅々まで行き渡らせるよう,引き続き京都市経済を支える中小企業の下支えと成長支援の両面からきめ細かな対応を図り,安定した雇用の創出など京都経済の活性化と市民生活の向上に取り組んでまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(津田大三) 塚本副市長。 〔塚本副市長登壇〕 ◎副市長(塚本稔) 中小企業の振興についてであります。本市では,小規模事業者をはじめとする中小企業を,経済の活性化や雇用の創出はもちろんのこと,市民の豊かな暮らしや安心安全,地域コミュニティを支える重要な存在と位置付け,様々な施策を実施してまいりました。事業者の実態把握や経営相談につきましては,中小企業800社を対象とした四半期ごとの景況調査や経済団体を通じた情報収集,業界,個別企業からの聞き取りによって現状把握に取り組んでおります。また,京都商工会議所等と一体的に運営する市内5箇所の相談窓口において,様々なニーズにワンストップで答える経営相談や,年間1万3,000件に上る企業への個別訪問を実施しているほか,業界診断事業において業界の状況を調査し改善策を提示するなど,きめ細やかに対応しております。さらに,商店街等の魅力を高めるため,これまでから,ソフト,ハード両面の幅広い支援を実施しているほか,今年度は京都市プレミアム商品・サービス券事業において,小規模店舗の利用を促す商品券の導入や商店街の販売促進キャンペーンを実施し,大変御好評を頂いているところでございます。本市の工事等の発注につきましては,受注者のみならず下請業者も市内中小企業とすることを努力義務とする公契約基本条例を施行するなど,全庁を挙げて地域循環を念頭に置いた中小企業振興に取り組んでおります。商店や住宅のリフォームにおきましては,耐震化,省エネ化など,政策上,重要度,緊急度が高いものへ重点的に助成し,大工さん,左官屋さん,板金屋さんなど,いわゆるまちの匠の皆さんの仕事興しにもつながるなど,小規模企業の持続的発展を支援する様々な施策を展開しております。今後とも,中小企業の現場の具体的なニーズに沿った御意見や御要望をしっかりと聴く中で,中小企業振興基本条例につきましても検討を進めてまいります。以上であります。 ○議長(津田大三) 小笠原副市長。 〔小笠原副市長登壇〕 ◎副市長(小笠原憲一) 学校跡地の活用についてでございます。市民の貴重な財産である学校跡地の活用に当たりましては,本市が直接活用する場合はもとより,民間等事業者による活用を行う場合でも,例えば用途の決定,事業者の決定,あるいは実際の運用の在り方の決定などで,多段階において地元との協議を重ねることにより,地域の皆様の要望を十分に酌み取り,避難所や自治活動拠点としての機能を維持することとしております。また,長期間にわたる工事期間中の避難場所の確保についても,あらかじめ周辺の本市施設等を活用するなど万全を尽くします。さらに,原子力災害時の広域避難者の京都市における避難所については,平成27年2月に京都府が策定した広域避難要領において,施設の管理者や地元自治会等の御理解を得て主に災害時に市民の避難所となっている施設など121施設を選定しました。これらの施設の中には,御指摘の学校跡地も含まれておりますが,舞鶴市からの受入れ容量約6万5,000人に対して,本市では約7万9,000人分の避難所が確保できており,広域避難の受入れにいささかも支障は生じません。今後,学校跡地の活用に伴い施設の管理者が変更となる場合にも,施設管理者や地元の御理解を得て,広域避難要領で約2箇月間とされる広域避難者の受入れが可能となるよう取り組んでまいります。議員からの「跡地活用は公共的な役割に限る」との御指摘でございますが,公共的な施設の配置につきましては中心部に偏在する学校統合による跡地への立地に偏ることなく,厳しい経済状況の中では,全市的な観点から地域のバランスを勘案した検討を行っていくべきものと考えております。近年,地域の活性化に対する機運が高まっており,跡地を民間での活用も含め,にぎわいの創出や交流人口の増加などにつなげてほしいとの声を多くお聞きしており,地域からの御要望も頂いております。今後とも地域の皆様方の声をしっかりと聞きながら,公共,民間にかかわらず,あらゆる可能性を追求し,活力ある未来の京都を切りひらいてまいります。以上でございます。 ○議長(津田大三) 岡田総合企画局長。 〔岡田総合企画局長登壇〕 ◎総合企画局長(岡田憲和) 大学生の学費等に係る実態調査と奨学金についてでございます。本市では,学生が安心して学べる環境づくりが非常に重要であると認識しており,学生を取り巻く実態について,学生に最も身近な各大学と密に情報交換を行い,学生が置かれている経済的状況の把握等に努めております。国や日本学生支援機構などにおきましても,学費も含めた学生生活調査や,奨学金返還の延滞者に関する属性調査などが実施されており,これらによれば,近年の社会情勢により,何らかの奨学金を活用している学生が年々増加し,半数を超えて利用されている一方で,学費の負担感と奨学金返還の負担感が大きいという状況にございます。こうした状況を踏まえ,本市におきましては,これまでから,国に対して貸与型の無利子奨学金の大幅な拡大及び授業料減免の充実を要望してまいりました。こうした中,国の平成28年度予算の概算要求におきましては,無利子奨学金の貸与者数を3万8,000人増やすとともに,国立大学,私立大学等の授業料減免の対象者数を拡充するための予算が要求されております。今後とも,学生を取り巻く実態の把握に努めるとともに,給付型をはじめとした奨学金事業の拡充など,学生の学びの環境が充実するよう国に積極的に要望してまいります。以上でございます。 ○議長(津田大三) 村上産業観光局長。 〔村上産業観光局長登壇〕 ◎産業観光局長(村上圭子) ブラック企業,ブラックバイトについてでございます。賃金不払い残業や過重労働などの不法行為は許されるものではありません。先頃開催された京都雇用創出活力会議では,門川市長が,大学のまち京都として,ブラック企業・ブラックバイトの根絶が重要であることを強く訴え,オール京都の確認事項とされたところです。ブラック企業,ブラックバイトの規制については,法令に基づき,京都労働局が立入調査による厳しい監督,指導を行っており,11月には過重労働解消キャンペーンとして重点監督が実施されました。さらに来年3月から規制が強化され,一定の労働関係法令違反のある事業所からの求人はハローワークで受理しないこととされております。一方,京都市では,これまでから企業経営者向けセミナーの開催や中学,高校における労働に関する学習の実施,さらに先月からは,ブラックバイト防止に向けた啓発動画を大学生と共同で作成し市のホームページに掲載するなど,啓発活動を強化しております。引き続き,被害を防ぐため,京都労働局や京都府が市内9箇所に設置する相談窓口と連携し,取組を進めてまいります。今後とも,ブラック企業,ブラックバイトの根絶に向け,規制と啓発の両面から,本市,京都府,京都労働局がそれぞれの役割を果たし,オール京都で取り組んでまいります。 次に,雇用対策についてでございます。若い世代が,生き生きと京都で働き暮らすためには,安定した雇用の創出が必要でございます。このため,京都雇用創出活力会議において,平成26年度からの4年間で正規雇用3万人の創出を目標とし,昨年度は約9,000人の正規雇用を生み出したところであり,今年度には,雇用情勢の回復に伴う中小企業の人手不足など新たな課題に対応するため,働き方改革を進め雇用の質を向上させていくことを確認しております。こうしたオール京都体制の取組の中で,本市では,望まざる非正規の解消に向け,フルカバー学生等就職支援事業において,カウンセリングやセミナーにより若者の職業観の醸成を図るとともに,産業振興を通じて正規雇用の創出を目指す京都次世代ものづくり産業雇用創出プロジェクトに取り組んでおります。このような,産業政策と雇用対策を有機的に連携させた総合的な取組をさらに推進するため,今年度,産業戦略部長の下に雇用担当の体制を一元化し充実を図ったところでございます。今後とも,京都の強みをいかしながら中小企業振興をはじめ産業政策と雇用対策を一体的に取り組むことにより,正規雇用の拡大と雇用の質の向上を実現してまいります。以上でございます。 ○議長(津田大三) 平井議員。 〔平井良人議員登壇(拍手)〕 ◆(平井良人議員) 市長及び副市長から答弁頂きましたが,師走を迎え,営業と暮らしが深刻になっているときに,京都市として,小規模振興基本法の自治体での具体化については,何ら触れられませんでした。中小企業振興基本条例を制定した横浜市では,先に紹介したように,年度ごとに中小企業の分析や課題を明らかにし,中小企業の活性化を市として焦点にしています。中小企業振興基本法や公契約条例の中で,中小企業の経営の安定と雇用の安定を図るべきです。 「京プラン」後期実施計画の骨子においても,「経済の活性化については,中小企業など隅々にまでは浸透しておらず」と述べられていますが,そうお感じならば,経済と地域の屋台骨である中小企業,小規模事業者を本格的に応援すべきです。その具体化を図るべきということを再度申し述べて私の質問とします。御清聴,御協力ありがとうございました。(拍手) ○議長(津田大三) 次に,市政一般について,曽我修議員に発言を許します。曽我議員。 〔曽我修議員登壇(拍手)〕 ◆(曽我修議員) 伏見区選出の曽我修でございます。公明党京都市会議員団を代表し,同僚の国本友利議員と共に一般質問をさせていただきます。市長,理事者におかれましては,誠意ある御答弁をよろしくお願いいたします。 さて,質問に入らせていただく前に,1点要望させていただきます。近年,青少年による薬物の蔓延が懸念される中,本市において,小学校6年生男児のほか高校生による大麻をめぐる事件が発生いたしました。私ども公明党京都市会議員団は,事の重大性に鑑み,11月20日,門川市長,在田教育長に緊急の申入れをさせていただきました。スマートフォンの普及で安易に薬物に近づく若者たちを取り巻く状況は誠に憂慮すべき事態であり,生活環境の改善や徹底した乱用防止教育が急がれます。 〔津田議長退席,大道副議長着席〕 ◆(曽我修議員) (続)特に,全国的に未成年者の大麻汚染をめぐる検挙数が増加傾向にある中,本市においては,本市教育委員会,京都府,京都府警など関係機関と連携を強化し,青少年を中心に広がりを見せる薬物乱用の実態把握に努め,全小中,高等学校での薬物乱用防止教室の早期実施,学校,保護者,地域,関係機関,団体とのネットワークを強化し,より一層の対策を講じていただきたいと強く要望いたします。 また,昨日は,28年度の予算編成に対する要望書を提出させていただきました。2期8年間の市政運営を評価し,市長におかれましては,今後重大な決意で取り組んでいただきますよう重ねて要望させていただきます。 それでは,質問に移らせていただきます。まず,クレジット納税の導入についてお尋ねいたします。本市では,軽自動車税において平成19年度からコンビニ納税をスタートさせました。導入後は納税者のうち5割近くの方が御利用していただいており,市民の皆様から好評を得ていると伺っております。現在,平成28年度当初のコンビニ納税の取扱い税目として,従来からの軽自動車税に追加して,個人市民税,固定資産税,都市計画税の拡大に向けたシステム改修作業を進めていただいております。市民の皆様の更なる利便性向上につながるものと大いに期待しております。 しかしながら,先行する他都市においては,例えば,ATMでの納税,携帯電話等のカメラとネットバンキングを利用した納税,そしてクレジットカードを利用した納税が行われております。中でも,クレジットカードを利用した納税については,インターネット環境があれば,いつでもどこでも納付が可能となります。自宅にいながらでも,海外からでも可能です。また,現金の持ち合わせがなくても可能であり,リボ払いやポイントの付与もあり,更なる市民サービスの向上にもつながり,あわせて本市にとっても納税手段の拡大により納付促進が期待できます。他都市では,25年3月から相模原市で,平成27年4月から神戸市で導入され,福岡市や千葉市でも導入が予定されております。このクレジット納税については,かねてから大道議員をはじめ,我が会派の議員が機会あるごとに訴えてまいりました。ライフスタイルの変化に合わせた,今後より一層の市民の納税環境を整備していくため,コンビニ納税とあわせてクレジット納税の導入を是非とも進めていただきたいと考えますがいかがでしょうか。市長の答弁をよろしくお願いいたします。 住宅マスタープランの中間見直しを踏まえた今後の活性化についてお尋ねします。京都市では,この9月に策定されたまち・ひと・しごと・こころ京都創生総合戦略において,行政のみならず市民,関係団体も一丸となって人口減少への挑戦に取り組むこととしています。私も,この人口減少は,高齢化の急速な進行と併せて,労働人口の減少,経済規模の縮小につながり,それが市民生活や地域の持続性,ひいては都市の持続性を危うくしかねない深刻な問題であると考えており,この課題への挑戦は全ての市民が自分ごととし取り組まなければなりません。この課題解決のためには,とりわけ,若い世代に移住,定住してもらう具体的な住宅施策が必要ではないかと考えます。 現在,住宅マスタープランの中間見直し(案)の市民意見募集が行われておりますが,その中にも,人口減少の進行に歯止めを掛けるため,子育て,若者層世帯などの多様なニーズに応じた住宅の供給や住情報の提供に取り組むことが基本的な考え方に据えられています。そして,これを実現する新たな施策の一つとして,市営住宅を若者世代向けにリノベーションすることが挙げられています。この取組は,これまで,我が会派が強く求めてきた点であり,是非とも実現していただきたいものです。 加えて,住宅マスタープランの中間見直し(案)には,ニュータウンにおける団地再生に取り組むことも,今後新たに取り組む施策の方向性の柱として示されております。私の地元伏見区には向島ニュータウンがあり,この点についても期待しております。向島ニュータウンは,全国各地のニュータウン同様,昭和50年代前半に形成されており,既に40年が経過しようとしています。この間,そこに住まれる方の入れ替わりも少なく,結果として市内平均を上回る高齢化,少子化が進んでいます。特に向島ニュータウンは,市営住宅の割合が非常に高く,入居されている方々の高齢化と相まって,地域の活力の低下にもつながっております。 こういった状況の下,ニュータウンの活性化について,今年度に新たな庁内組織を発足させ取組を進めていただいていると伺っております。私は,地元は地元として,自分たちが日々生活するまちの活性化のために,これまでから秋の祭典や防犯,防災活動など精力的に取り組んできておられます。そのうえで,より一層,世代や街区,学区の垣根を超えてニュータウン全体として,しっかりとまとまっていく必要があり,そのことが課題であると認識しております。地元の声もしっかり聞いていただきながら活性化の取組を進めていただきたいと思います。 そこで,子育て世帯などの若者世代の居住促進に向けて,市営住宅のリノベーションについて,現時点でどのような検討をされているのか,また,向島ニュータウンの取組については緒に就いたばかりだと思いますけれども,住宅マスタープランの中間見直し(案)を踏まえて,今後の活性化に向けてどのような取り組みをされるのかお答えください。 次に,パークアンドライドの今後の取組についてお尋ねいたします。先日,四条通歩道拡幅工事の完成式が行われ,私も,まちづくり委員として参加させていただきました。平成17年に地元関係者の皆様から御要望をいただき,約10年という長い年月を掛けて市民の皆様と共に取り組まれた歩くまち・京都としてのシンボル的事業です。人口100万人を超える大都市の中心市街地において,幹線道路の車線数を減らして歩道幅を拡幅し,歩行者や公共交通優先のまちづくりの実現に対し,地元の皆様をはじめ多くの関係者の皆様に対し心から敬意を表します。 さて,国においては,外国人観光客2,000万人構想に目途が立ち,2020年,東京オリンピックの開催に向け,更なる観光客の増加を関係各省で検討されていると伺っております。こうした中,京都市は,富裕層を対象とするアメリカ旅行雑誌「トラベル・アンド・レジャー」誌において2年連続で人気都市世界一に選ばれ,京都を訪れる観光客は国内,国外を問わず急増する一方,公共交通の利便性向上など歩くまち・京都の取組により,観光客のマイカー利用は,総体として平成6年の41.7パーセントから平成26年には9.9パーセントと大幅に減少しております。しかしながら,観光地周辺に目を向けますと,観光客の受入体制が整っているとは言い難く,他府県から来るマイカーや観光バスなどによる混雑によって,地域にお住いの方に多大な御負担をお掛けしている現状は,もはや見過ごすことはできない課題であり,更なる自動車の流入抑制の取組は喫緊の課題だと思います。 そこで,自家用車の流入抑制策の一つパークアンドライドについては,通年型の駐車場が平成19年度の1,521台から平成26年度には6,364台を上回るまでに拡充されました。これを広く伝え,何よりも御利用されることが重要であると考えます。今,事業者の取組として鉄道を利用した場合や百貨店で一定額の買物をした場合には駐車場料金の割引が行われております。私は,こうした事業者の取組が一層進むような仕掛けを京都市が中心となって作り上げることで,利用者に,「京都観光はパークアンドライドがお得で速い」と言っていただけるようになると思います。例えば,1日の利用上限額がある駐車場や満車,空車情報がリアルタイムで発信されている駐車場,利用促進のインセンティブにもつながる鉄道利用や買物による割引がある駐車場の情報を分かりやすく発信することにより,利用者にとっても便利で,事業者の創意工夫を後押しすることにつながります。こうした分かりやすいホームページを作って,関係団体と共に御協力を頂き広く発信していただきたいと思います。あわせて,こうした事業者の方々の創意工夫をいかしながら,インセンティブを高める取組をしっかりと進めていただきたいと思いますがいかがでしょうか。 最後に,平成31年開校の向島地域での小中一貫校についてお尋ねいたします。向島ニュータウンは,昭和46年に都市計画決定され,昭和52年に入居が始まりました。それに伴い児童数が急増したことから,昭和54年に向島南小,昭和55年に向島二の丸小,昭和61年に二の丸北小学校が順次開校しました。昭和61年当時の児童数は,向島南小が876人,向島二の丸小が1,177人,二の丸北小が605人にと。その後は徐々に減少し,平成26年現在は,向島南小学校が400人,向島二の丸小学校が202人,二の丸北小が76人と激減しております。二の丸北小においては全学年が1学級しかない状態となっております。さらに向島中学校では,ピーク時の昭和57年度から,現在では350名ほどに減少しております。 こうした各校の小規模校化を踏まえて,保護者や地元で,よりよい教育環境の在り方について議論され,平成26年6月に,3小学校を統合し,向島中学校と合わせた施設一体型の小中一貫校の早期創設を目指して取組を推進することに合意され,7月に教育委員会へ要望書を提出されました。要望書では,平成31年度に小中一貫校の新校舎を,現在の二の丸北小学校跡地に整備することや,整備に伴い平成29年度には向島二の丸小学校と二の丸北小学校を1次統合することが要望されておりました。統合時には,3小学校19学級と中学10学級の29学級,約950人の規模となります。こうした要望事項を踏まえ,地元では,平成26年8月に各校の地域や保護者の代表から成る向島中学校区小中一貫校教育校創設協議会を設置され,教育委員会からもオブザーバーとして参加されながら,校舎整備や新設学校の校名,また標準服などについて議論されているとお聞きいたしております。私も,要望書にあるように,地域のシンボルとなる夢と希望にあふれた学校の創設が,向島地域全体の活性化に大きく寄与すると期待しております。現在進められている,向島中学校小中一貫教育校創設協議会での議論が,地元の様々な思いを聴き,大いに実りあるものになってほしいと願っております。 特に,地域内における少子化の進行や地域コミュニティの弱体化,核家族化の進行により児童生徒の人間関係が固定化しやすい中,一貫教育の実施により,児童生徒が多様な教職員,児童生徒と関わる機会を増やすことで,中1ギャップと言われる小学生の中学校進学に対する不安感を軽減させ,また,中学生が小学生との触れ合いを通じ,上級生である自らに自覚的となることで自尊感情を高め,生徒の暴力行為や不登校,いじめの解消につなげていくことも期待されております。是非とも,新しい学校では校舎整備のハード面のみならず,国の中央教育審議会でも,次期学習指導要領の改訂に向けた柱として議論されているアクティブラーニングを導入していただきたいと考えます。これは,生徒が主体的に課題に取り組むことを通じて,何を教わったかではなく,何ができるようになったのかという観点で教育成果を評価できる教育手法であります。是非とも,小学校英語の教科化と共に施設一体型の利点をいかし,9年間を通じて子供たちに学力を身に付けさせるための取組など最先端の教育手法や教育内容といったソフト面でも全国をリードする取組を期待いたします。教育長の答弁を求めます。 以上をもちまして,会派を代表しての質問とさせていただきます。御清聴,誠にありがとうございました。(拍手) ○副議長(大道義知) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 曽我修議員の御質問にお答えします。 クレジットカードを利用した納税についてでございます。本市の市税の納付につきましては,納税者の皆様に銀行,郵便局の窓口や口座振替で納付していただいているところでありますが,来年度からは,現行の軽自動車税に加えまして,新たな税目についてもコンビニエンスストアでの納付ができるようにいたします。昨今のインターネットの通信インフラの発展と,それに伴う社会環境やライフスタイルの変化に合わせ,市税の納付方法を整えることは極めて重要であります。また,本市としても,納付促進が図れるとともに事務の効率化にもつながるため,納税環境の整備を進めていく必要があると考えております。曽我議員から御提案をいただきましたクレジットカードを利用した納税についてでありますが,パソコンやスマートフォンを操作すれば,自宅や,また出先から,いつでも納付できることから,市民の皆様の利便性の向上に大きく寄与するものと考えており,本市においてもふるさと納税,だいすきっ!京都。寄付金等でクレジットカードでの納付を導入し,多くの方々に御利用いただいております。市税の納付におきましても,来年度から,個人市・府民税,固定資産税,都市計画税,軽自動車税の納付について,クレジットカードを利用した納税を導入し,納税者の利便性の更なる向上を図ってまいります。 次に,住宅マスタープランの見直しによる活性化策についてでございます。現在,市民意見の募集を行っております住宅マスタープランの中間見直し(案)の中では,人口減少社会の進行に歯止めを掛け,克服するために,子育て,若年層世帯などの多様なニーズに応じた住宅の供給,住宅情報の提供やニュータウンの再生などの取組を掲げております。これらの取組の柱の一つとして,市営住宅におきまして,大学生など若い世代の発想や感性も取り入れつつ,親と子が同じ部屋で家事や遊び,勉強することができるよう,リビング,ダイニング,キッチンを一体的な間取りへと変更するなど子供の学び,育ち,家族のきずななど教育的な考慮も重視し,リノベーションを行った住宅の供給を進めてまいります。 また,曽我議員御指摘の向島ニュータウンにつきましては,住民の皆様のまちづくりに関する御意見やニーズ把握のためのアンケート調査を,京都文教大学や自治会等の御協力を得て実施したところであります。近日中にその結果を取りまとめまして住民の皆様にお知らせし,まずは,街区や学区の違いを越え,ニュータウン全体として活性化の取組を進める機運を醸成してまいります。向島ニュータウンは,本市や住宅供給公社の所有している施設,敷地が多く存在し,今後小中一貫教育校創設による広大な跡地活用も期待できるなど大いに可能性を秘めた団地であります。若者世代の定住促進に向けた市営住宅のリノベーションにとどまらず民間の先進的な視点も活用しながら,ニュータウン全体の土地利用の在り方も見直し,魅力あるまちづくりを積極的に進めてまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○副議長(大道義知) 小笠原副市長。 〔小笠原副市長登壇〕 ◎副市長(小笠原憲一) 今後のパークアンドライドの取組についてでございます。本市では,平成14年秋に1,700台規模で取組を始め,平成21年に高速道路事業者や駐車場事業者,近隣自治体などの関係機関によりパークアンドライド協議会を設置し,パークアンドライド駐車場の更なる拡充に努めてまいりました。今年の秋には,当初の規模の約4倍となる約7,400台分の駐車場を確保しております。しかしながら,京都に観光で来られた方のパークアンドライドの認知度は,約2割と非常に低いレベルにとどまっていることから,パークアンドライドを利用した方が市内をスムーズに移動でき,多くの観光地を巡ることができるといったメリットを御理解いただけるよう,交通事業者や観光業者のホームページとの連携を図るとともに,分かりやすい情報発信を行ってまいります。更に,曽我議員から御提案いただきました,鉄道駅に近く安価な定額料金である,あるいは鉄道利用等による割引があるといったパークアンドライドを活用することによるお得な情報を分かりやすく発信するホームページの改善についても,来年度早期に実施できるよう取り組んでまいります。今後も,駐車場事業者や鉄道事業者と連携して,利用者のインセンティブを高める方策を検討するとともに,利用者にとって便利でお得な取組を行う駐車場については,本市が積極的に情報発信することにより,事業者の創意工夫を促し,更なるパークアンドライドの利便性向上と利用促進を図ってまいります。以上でございます。 ○副議長(大道義知) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 向島地域の小中一貫教育校についてでございます。現在,伏見区で初めての学校統合による施設一体型小中一貫教育校の平成31年度の創設に向け,地域やPTAの皆様が参画される協議会の場で熱心に御議論いただき,鋭意準備を進めてきております。曽我修議員御指摘のとおり,小中一貫教育校の特色をいかし,義務教育9年間を通した系統的なカリキュラム設定の下に,教育内容や指導体制を構築することが極めて重要であります。そのため昨年度から,向島中学校と校下の3小学校,そして教育委員会関係各課から成るプロジェクトにおきまして,9学年を4年,3年,2年に区分することや,中学校の教科担任制を小学校5,6年生に導入することなどを検討しております。また,英語教育につきましては,現在,中学校教員による小学生への指導やタブレット端末を活用した授業に取り組むなど,全市の英語教育推進研究拠点校の一つとして小中連携による研究,実践を進めております。平成32年度の新学習指導要領の全面実施に先駆けまして教科としての英語を小学校5・6年生で実施することや,より低学年からの英語活動の導入を検討してまいります。 今後,同じ伏見区で来年4月に開校いたします京都市立京都工学院高校が,アクティブラーニングの先進的な研究で全国から注目を集めます産業能率大学等と連携協定を締結して進めます実践の成果もいかしまして,様々な教育活動の中で,子供たちが自ら課題を発見し,主体的に学び合う協働的な学習の導入を図るなど全国のモデルとなる教育を展開し,向島地域全体の活性化に寄与する学校を目指して全力で取り組んでまいります。以上でございます。 ○副議長(大道義知) 次に,市政一般について,国本友利議員に発言を許します。国本議員。 〔国本友利議員登壇(拍手)〕 ◆(国本友利議員) 左京区選出の国本友利です。曽我修議員に続き公明党京都市会議員団を代表し,市長並びに関係理事者に4点にわたり質問をいたします。明快な御答弁をいただきますようお願いいたします。 まず初めに,マイナンバーを活用した各種証明書のコンビニ交付についてお伺いいたします。本年10月5日より,マイナンバー制度が施行され,本市においても市民の皆様にマイナンバー通知が送付されています。このマイナンバー通知を基に来年の1月より希望者に個人番号カードが無料で交付されることとなります。この制度については,行政手続の簡素化をはじめ住民サービスの向上に資するものであると考えます。マイナンバーを用いることによる各種申請手続に必要な添付書類の省略や行政サービスが受けられる方にお知らせをすることなど様々な用途での利用ができることになります。 その中でも,今後期待されるのはコンビニでの各種証明書の発行であります。今までも他都市において,住民基本台帳カードを用いてコンビニでの各種証明書の発行が行われてきましたが,本市ではシステム改修に合わせ住民基本台帳カードにコンビニ交付の機能を付属させなければならないなどの課題もあり,今まで見送られてきました。しかしながら,個人番号カードにおいては,申請時に電子証明書が標準搭載されており,自治体が新たにコンビニ交付を開始したタイミングで,特段の手続なしに電子証明書の暗証番号だけで利用できるため比較的導入しやすくなっています。このことから,個人番号カードを利用してのコンビニ交付を導入する自治体が増えてきております。 コンビニ交付は,個人番号カードを利用して,住民票の写し,印鑑登録証明書などをコンビニで取得できるサービスであり,区役所窓口の閉庁時である土日祝日も含め早朝6時30分から深夜23時まで証明書の取得が可能となり,更には居住地の行政区や自治体にかかわらず,全国で約4万7,000店舗ある最寄りのコンビニのマルチコピー機を利用して証明書を取得できます。交付される証明書としては,住民票の写しのほか印鑑登録証明書,課税・非課税証明書,戸籍謄本,抄本があり,自動車免許の取得,車の購入,住宅ローンなどの様々な申請に必要なものが取得できます。区役所に足を運ばなくても,住民票をはじめとする各種証明書を全国のコンビニで取得できることは,市民にとって利便性向上につながります。特に,近年,共働き世帯が増加しており,平日,区役所に足を運べない市民の皆様にとって便利なサービスであることは間違いありません。また,コンビニ交付が普及すれば区役所窓口の混雑緩和につながり,行政サービスの効率化にも寄与するものと考えます。 マイナンバー制度の本来の趣旨である住民サービスの向上につながる施策の一環として,各種証明書のコンビニ交付を本市でも導入すべきと考えますがいかがでしょうか。御所見をお伺いいたします。 次に,建築物の耐震化についてお伺いいたします。建築物の耐震化については平成7年の阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ,平成18年,改正耐震改修促進法の施行に伴い,耐震改修促進計画の策定が都道府県に義務付けされ,市町村においても,より地域の実情に即した計画の策定が努力義務として規定されました。同法における基本方針として,建築物の耐震化率を目標設定として平成27年度末に全国で90パーセントを目指すこととされています。本市においても大地震発生の可能性が高まり,地震対策の重要性が増す中,平成19年7月に京都市建築物耐震改修促進計画を策定,平成27年度末を目標として様々な取組が展開されてきました。住宅の耐震化率の推移を見ますと平成19年7月の計画策定段階では住宅の耐震化率は69.3パーセントであり,中間点検の平成23年8月段階では75.7パーセント,そして最新の推計では約80パーセントと聞き及んでおり,現行の耐震改修促進計画に掲げる住宅の耐震化率90パーセントの目標については達成が厳しい状況でありますが,本市では耐震化重点期間の最終年度である今年度,耐震診断の無料化や,まちの匠事業の制度充実にも取り組んでいただき大いに利用が伸びたと聞いております。耐震化を進めるうえで重要なことは,都市特性を十分に考慮することが必要であります。本市は,京町家をはじめ木造住宅が数多く残り,京都らしい町並みを形成しており,他都市と比べ景観にも配慮したまちづくりが進められています。 このような中で,来年度からの次期耐震改修促進計画においては,大地震の際に市民の命と暮らしを守ることに主眼を置き,まちの匠事業をはじめとする取組成果を踏まえ,京都市の都市特性をいかした耐震化の計画を掲げるべきであると考えます。建築物耐震化の本来の目的は,どこまでも地震災害から人の命を守ることにあると私は考えています。耐震化率90パーセントの早期達成に向けた取組を強力に進めるとともに,何より地震から人の命を守るという視点に立った実効性ある耐震化促進を図ることが重要であります。 そのうえで,耐震化の更なる促進に向けては,耐震化に取り組む市民の裾野をもっと広げていくことが重要であり,地域でのPRを中心とした更なる啓発や制度を使いやすくする工夫など,市民の取組の拡大に向けた仕掛けを更に行うべきであります。現在,策定検討会において検討を進めていただいている次期耐震改修促進計画では,こうした観点を踏まえて,この勢いをしっかりと次につなげられるよう,今後も対策に手を緩めることなくしっかりと取り組んでいただくことが必要と考えますがいかがでしょうか。 まず,以上の2点について答弁を求めます。 ○副議長(大道義知) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 国本友利議員の御質問にお答えします。 建築物の耐震化の促進についてでございます。本市では,市民の皆さんの命と暮らしを守るため,地元の大工さんや左官屋さん,瓦屋さん,板金屋さんといった身近なまちの匠の知恵をいかしながら耐震工事を支援する,京都ならではのまちの匠事業を推進しております。この事業につきましては,市民目線でより活用していただきやすい支援制度となるよう,まちの匠をはじめ,京都市耐震改修促進ネットワーク会議に御参画の事業者の皆さん,また議会の御意見も頂きながら,昨年度の後半以降2回にわたり制度改善を重ねるとともに,自主防災会,自治会などで精力的に活動されている地域の皆さんの御協力を得まして,これまで啓発に積極的に取り組んでまいりました。正にこうした京都ならではの地域力が背景にあるからこそ,耐震化重点期間の最終年度となる今年度は,まちの匠事業が例年の2倍近い盛況ぶりとなっております。今後も,市民の皆さんの取組の裾野を一層広げるべく,引き続き,耐震ネットワークや地域の皆さんと連携しながら地域力を結集し,より輪を広げて更なる啓発に努めてまいります。 また,現在,策定作業を進めております来年度からの次期耐震改修促進計画につきましては,策定検討会での学識者の方々の議論のみならず,作り手である耐震ネットワークや住まい手である市民の皆さんからの幅広い御意見も踏まえまして,市民の命と暮らしを守る観点から,木造住宅が数多く残る本市の特性を踏まえた目標を掲げ,耐震化に向けた勢いをより力強いものとなるようまちの匠事業をしっかりと推進し,国本議員御指摘のとおり人の命を守る耐震化対策にしっかりと進めてまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○副議長(大道義知) 藤田副市長。 〔藤田副市長登壇〕 ◎副市長(藤田裕之) 各種証明書等のコンビニ交付についてでございます。国本議員御指摘のとおり,住民票の写しなど各種証明書のコンビニエンスストアでの交付につきましては,御自宅や勤務先の最寄りのコンビニにおいて,区役所,支所が閉庁している土日,祝日や早朝,深夜でも証明書の取得が可能となるなど多くの市民の皆様にメリットを実感していただけるサービスであると考えております。今般マイナンバー制度の導入により,コンビニ交付に係る経費の一部について国による財政措置が一定整備されるとともに,来年1月から希望者に無料で交付されます個人番号カードにコンビニ交付に必要な電子証明書が標準搭載されることなどから導入に向けた環境が整いつつあります。本市におきましては,現行システムでコンビニ交付を行う際に必要な住民基本台帳カードの普及率が約5パーセントと低調であることに加え,コンビニ交付の対象となります現在戸籍のコンピューター化,戸籍のコンピューター化が平成28年秋を目途に完了する予定であること,さらには,導入に多額の経費を要することなどを勘案し,コンビニ交付は実施してきておりませんが,今後個人番号カードの普及状況など費用対効果をしっかりと見きわめながら,引き続き導入に向けて検討を進めてまいりたいと考えております。以上でございます。 ○副議長(大道義知) 国本議員。 〔国本友利議員登壇〕 ◆(国本友利議員) 次に,青少年を犯罪から守る取組についてお伺いいたします。近年,児童生徒が犯罪に巻き込まれる事件が多発しております。とりわけ深夜徘徊を起因として犯罪に巻き込まれ命を落とすといった大変に痛ましい事件が起こっているのが現状であります。本年2月には神奈川県川崎市において,深夜に中学1年生の少年が高校生を含む複数名からの暴行により殺害されました。また,本年7月にも寝屋川市において中学1年生2名が連れ去りにより殺害されました。両事件に限らず,中学生,高校生の深夜徘徊に係る事件,事故が多く起こっています。警察白書によると平成26年中に全国で補導をされた19歳以下の少年は約73万人,その内6割近い約43万人が深夜徘徊で補導をされています。また,京都府では,補導された少年は2万7,959人で,深夜徘徊では中高生を中心として1万8,431人が補導されており,このうち小学生以下については43人となっています。この数字はあくまでも補導数を示したものであり,潜在的な深夜徘徊の人数はこれ以上に多くあるものと推測されます。今の小中学校とも児童生徒が置かれている環境は塾や習い事などの増加に加え,24時間営業のコンビニやファミリーレストランも定着していることから,児童生徒の帰宅時間が遅くなる傾向があります。また,家庭状況として共働きの増加に加え,携帯電話の普及により友人同士で連絡を取り合い,子供が夜に外出しやすい環境にあると考えます。こうした家庭環境や青少年を取り巻く環境の変化により深夜徘徊は大変憂慮すべき状況であり,このことから犯罪に巻き込まれる可能性が高くなるものと考えます。こうした,深夜徘徊を起因とする犯罪から児童生徒を守る取組を強化していくことが重要であります。 現在,本市では,各小学校で通学時間に地域ボランティアによる見守り活動を行っていただいております。また,少年補導委員会をはじめとする関係機関が積極的にパトロールを行っていただいており,犯罪から青少年を守ろうとする機運が高まってきているものと考えます。その中で,本年9月15日に京都市南区では区役所,南警察署,南区内の小中学校や各PTAなどの関係機関をはじめ,コンビニやホテル団体などの深夜営業事業者と共に,こどもの安全・みなみ力共同宣言が行われました。この取組は正に小中学校の子供たちの深夜徘徊による痛ましい事件,事故に巻き込まれることを防ぐため,地域による深夜徘徊する子供たちへの声掛け活動,オール南による子供たちの見守り運動の推進を目的とした関係機関,団体による共同宣言を行い,子供の安全対策の強化を図るとされています。 この南区のような先駆的な取組をモデルとして,京都市内において警察署と連携を図り,コンビニなどの深夜営業事業者と協定を結ぶことなども視野に入れ,深夜徘徊をする子供たちへの声掛け活動や通報などの取組を強化し,犯罪から子供たちを守る対策を図るべきと考えますがいかがでしょうか,御所見をお伺いいたします。 次に,家庭教育支援についてお伺いいたします。現在,全国で不登校児童数は,小中学校において毎年約12万人で推移しています。そのうち約3万8,000人が本人,家族,学校など支援機関の努力で何らかの形で復学していますが,新たに約6万4,500人が新規の不登校になっています。不登校対策としては,既に不登校に陥っている児童生徒に対する支援と共に,毎年発生する新たな不登校の未然防止の取組の一環として家庭教育支援の充実が求められていると考えます。家庭教育は,教育の最小単位である家庭において,子供が基本的な生活習慣,豊かな情操,他人に対する思いやりや善悪の判断などの基本的倫理観,社会的なマナーなどを身に付けるうえで重要な役割を担っています。しかしながら,核家族化が進み,保護者が身近な人から子育てを学ぶ機会の減少や,都市化による地域とのつながりの希薄化など家庭教育の環境が大きく変化しており,子育て家庭を社会全体で支える必要性は,ますます高まっています。子供たちの健やかな成長のためには,こうした社会動向を踏まえた効果的な家庭教育に対する施策が一層求められている状況にあります。 そうした中,本市においても,平成20年度に,保健,福祉,教育などの各分野の民間団体や行政機関の連携による子どもを共に育む親支援プログラムプロジェクト会議を設置し,平成22年度から親支援プログラムを実施,さらに,25年度からは,これから親になる主に中学生世代を対象とした青少年のための親学習プログラムを策定するなど様々な取組が展開されています。しかしながら,これらの取組については自発的に参加される保護者が対象となりがちであり,子育てに対して意識の高い方への場の提供とならざるを得ません。中には共働き世帯や独り親家庭の保護者については,親学習のセミナーなどに参加したくてもできない状況もあります。家庭教育支援については,このような場に参加できない方々に対してのアプローチが重要であります。地域特性や人材をいかし,家庭訪問などにより直接家庭に働き掛け,家庭教育の情報を共有しながら,学びの場や地域社会への参加を促すことにより人間関係が形成され,保護者の子育てに関する不安,悩みなどについて共有,共感を図ることで保護者の精神的な負担軽減にもつながると考えます。そして,こうした取組の積み重ねの中で,保護者が,子供の変化などで気になったときに,その悩みを一人で抱え込むことなく,少しでも気持ちのゆとりを持って子供と向き合うことが可能となることで,子供自身の精神的な安定にもつながると考えます。そうした点からも,この訪問型の家庭教育支援は不登校などの未然防止に大きな効果が期待できるのではないでしょうか。 そこで,これまでもスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなど心理や社会福祉の専門家との連携により,不登校対策に積極的に取り組んでこられた教育委員会として,今後,より一層の取組を進め,子供の健全な育成のための家庭教育を支えるため,特に,地域社会から孤立しがちな家庭に対する訪問型の家庭教育支援を充実させる取組を進めるべきと考えますがいかがでしょうか。教育長の御所見をお伺いいたします。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(大道義知) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 青少年を犯罪から守る取組についてでございます。未来を担う青少年の健全育成は,子育て環境日本一を目指す本市の最重要課題の一つであり,青少年が被害者にも加害者にもならない安心安全な環境づくりを地域ぐるみで進めることが喫緊の課題でございます。本市では,地域,学校,行政,警察等が一体となって児童生徒の問題行動に関する情報共有を図り,非行防止対策チームによる少年補導や非行防止教室などの取組を強力に進めてまいりました。その結果もありまして,平成23年以降,深夜俳徊での少年補導件数は2万89件から1万587件と半減しております。また,昨年京都府警察と協定を締結した世界一安心安全・優しさあふれるおもてなしのまち京都市民ぐるみ推進運動におきましても,子供の安心安全の確保を大きな柱の一つに掲げており,こども110番の家などの協力も得まして,安心安全な防犯環境の構築,家庭や地域,学校と一体となった子供の居場所づくり,さらには,子供が自らの身を守る力を育む取組などを進めております。来年度からは,地域の特性や課題に応じ,犯罪防止等の取組を全ての行政区において地域ごとの組織を作って実施していく,そのために現在安心安全なまちの推進組織を各区において順次立ち上げていただいているところであります。この推進組織には,自治連合会などの地域団体はもとよりPTA,商店連盟,あらゆる事業者など地域の様々な組織の方々に御参画いただくよう働き掛けをしており,国本議員御指摘のように少年が立ち寄る可能性が高いコンビニなど深夜営業事業者とも協力した南区の先駆的な取組,これはすばらしいものと感じており,これを一つのモデルとしながら,地域,学校,PTA,京都府警察とも更に連携を密にしまして,子供たち自身が育ってよかった,また,京都で市民の皆さんが子育てしてよかった,そう実感していただける犯罪のないまちづくりを市民ぐるみで,強力に推進してまいります。 私からは以上でございます。以下,関係理事者が御答弁申し上げます。 ○副議長(大道義知) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 家庭教育支援の充実についてでございます。国本友利議員御指摘のとおり,不登校対策のみならず,子供の健全育成を図る上で,全ての教育の原点である家庭教育の充実,特に地域社会から孤立しがちな家庭への支援は極めて重要であります。本市では,子供たちの基本的な生活習慣の定着や不登校の未然防止を図るため,子供の困り課題や家庭環境を常に把握している教職員によるきめ細かな家庭訪問を行い,全校に配置しておりますスクールカウンセラーや,毎年増員しておりますスクールソーシャルワーカーの知見やアドバイスをいかしながら,家庭の支援に取り組んでいるところであり,引き続き教職員の専門性の更なる向上と家庭訪問の充実を図ってまいります。さらに,地域や関係機関等と協働して,家庭訪問などを行い,子育ての悩み相談や家庭での教育支援を行う国の訪問型家庭教育支援事業の検証結果もいかしながら,多くの地域団体に参画いただいております学校運営協議会の取組,さらには,経験豊かな校長を登用し,全行政区に配置しております子ども育みサポーターの活動を通して,学校と地域や区役所,支所,保健,福祉の関係者等との連携を強化することで,孤立しがちな家庭へのきめ細かな働き掛けや相談対応など,家庭支援の更なる充実に努めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(大道義知) 暫時休憩いたします。午後3時12分に再開いたします。 〔午後2時51分休憩〕 〔午後3時13分再開〕 ○議長(津田大三) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(津田大三) 休憩前の一般質問を継続いたします。市政一般について,鈴木マサホ議員に発言を許します。鈴木議員。 〔鈴木マサホ議員登壇(拍手)〕 ◆(鈴木マサホ議員) 民主・都みらい京都市会議員団を代表して質問をします。左京区選出の鈴木マサホです。8期目最初の代表質問になりますが,よろしくお願いします。 門川市長,あなたとは,長い付き合いになりました。私が初当選したのが昭和62年,お互いまだ30代,当時あなたは教育委員会の係長でしたか,あれから30年近く,ともに昭和の終わりから平成時代を京都市の教育の充実,市民の福祉の向上など市政の発展のために駆け抜けてきました。 平成20年桝本市長の退任を受けて,当時教育長だったあなたに白羽の矢が立ち,薄氷の勝利でしたが見事当選されました。1期目は,職員の不祥事,同和行政の終結後の在り方,リーマンショック,O‐157問題,地下鉄の膨大な赤字問題,財政の健全化など行財政改革に果敢に立ち向かわれ,現地現場主義を掲げて,市民との共汗,政策の融合をして1期目で成果を上げ,2期目も当選を果たされました。今年は2期目最後の仕上げの年であります。この4年間については,先の9月市会の決算特別委員会の総括質疑で,民主・都みらい議員団として安井勉団長がこの4年間のマニフェストの実現の評価と課題を述べました。この間,「はばたけ未来へ!京プラン」実施計画の総仕上げを行うため,積極的に取り組まれてまいりました。財政事情が大変厳しい中,保育所待機児童ゼロの2年連続達成,過去最高となる観光客誘致,市バス・地下鉄の利便性向上と経営健全化,歩くまち・京都,新景観政策,ごみ減量や空き家,ごみ屋敷対策,さらに京都動物愛護センターなど府市協調の推進,ロームシアター京都,動物園の再整備など,岡崎地域の活性化など様々な取組が力強く推進されました。 しかし,様々な課題があることも事実であります。本市経済は,外国人観光客の大幅増などから明るい兆しはあるものの,中小零細企業は収益が改善せず,非正規雇用は拡大するなど,なお厳しい状況が続いています。一方で少子高齢化社会はますます進展し,さらに,自然災害への対策が急がれるなど,本市の財政需要は増すばかりです。また,市民理解が十分に得られていない政策もあり,市民評価につながっていないものがあるのも事実でしょう。そのため,市民とより真摯に向き合うとともに,行財政改革をなお一層積極的に推し進めることが求められています。 私たち議員団は,以上のように,門川市政の取組を評価するとともに課題があると考えています。まずは,2期8年間の総括をお聞きします。何ができて,何ができなかったのか,反省すべきことは何かです。いかがでしょうか,お答えください。 そして年が明ければ,すぐに市長選挙が控えています。以上のような現状認識を踏まえ,私たちが目指す京都市像を策定しました。私たちが支援する京都市長候補には,今後4年間に取り組むべき以下の八つの政策方針を理解のうえ,実現に向けた努力を求めるものです。1,安定した雇用と,誰もが住みやすさを実感できるまちづくり,2,都市格を高め,人・もの・情報が集まる活気あるまちづくり,3,地産地消・循環型のまちづくり,4,真の共汗により市民力が発揮できるまちづくり,5,一人一人の命と心が大事にされるまちづくり,6,どんな災害にも強いまちづくり,7,誰もが歩くまち・京都を楽しめるまちづくり,8,行財政改革による将来負担の少ない京都市づくり,以上でございます。この私たちが目指す京都市像の政策方針をベースに,今朝の朝刊にも載りましたけれども,重点18項目,要望82の合計100項目の予算要望を取りまとめ,昨日12月1日に市長に提出したところでございます。私たちの思いを最大限尊重し,平成28年度予算に反映されることを望むものであります。 そこでお尋ねします。未来の京都のために課題は何か,どういう政策が必要と考えられておられるのか,お答えください。 さて,平成22年2月の本会議で私の質問に答えて,岡崎地域活性化プロジェクトの立ち上げを表明され,以降岡崎地域活性化ビジョンの策定,京都岡崎魅力づくり推進協議会が設立,地元岡崎自治連の協力などで,京都岡崎レッドカーペット,ハレ舞台など多彩な事業が進められてまいりました。そしてこの1年,岡崎は更に変わりました。動物園には4頭の象がラオスから搬入されました。関西ラオス友好協会など御尽力された方々に敬意を表します。21年度から順次整備が進み,この11月グランドオープン。神宮道の歩行空間も9月に供用が開始されました。10月には,青空の下,ダウン症の子供たちのお母さんや子供たちがバディウォークをいたしました。感動的でありました。小型のループバスも走り始め,この12月には懐かしい市電が総合案内所としてオープンします。また岡崎一帯が国の重要文化的景観に選定,地元の議員としてうれしい限りです。そして,ロームシアター京都がいよいよ正月1月10日にこけら落としを迎えます。私も運営委員の経糸の会では,来年5月22日にロームシアターで,障害のある人もない人も楽しんでいただけるヒューマンふれあいコンサートを開催する予定ですが,市長も是非お越しください。今後は美術館の再整備計画が進みますが,世界に名だたる一大文化ゾーンになることを期待しています。 岡崎地域の今後の課題は何か,またロームシアターを市民に親しまれると同時に,世界に誇れる音楽の殿堂,また劇場としてどのように運営していくのか,発信していくのかお答えください。 そして,琵琶湖疏水通船復活試行事業が実施され始めました。課題もあるかと思いますが,疏水の歴史を学ぶとともに,新たな観光資源として大津京と平安京を結ぶロマンが実現しました。評価するものです。今後,疏水の歴史を振り返り,また,今後の活用を語る疏水サミットを開催されてはいかがでしょうか。要望しておきます。 以上,ここまでで第一質問を終わります。御答弁のほどよろしくお願いします。 ○議長(津田大三) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 鈴木マサホ議員の御質問にお答えします。 まず,2期8年の市政の総括と今後の課題についてでございます。私の2期8年の市政運営を高く評価いただき誠に光栄に存じます。同時に,市民の皆様への理解が十分に得られておらず,評価につながっていない政策があるとの御指摘については,説明が不十分であった点等について率直に反省し,今後の市政運営にいかしてまいります。この8年間,現地現場主義に徹し,全身全霊で市政を推進してまいりました。御紹介いただきましたように,様々な政策が大きく前進したのは,市会の先生方をはじめ市民の皆様や事業者の皆様と課題,目標,使命感,何よりも行動を共有できたからこそであると実感しており,心から感謝申し上げます。 この間,徹底した行財政改革を断行する一方,縮小一辺倒に陥ることなく,未来の京都への先行投資も積極的に行ってまいりました。子育て支援の充実,教育,福祉の前進,市バス・地下鉄の利便性向上と経営健全化など,これまでに生じた様々な成果は正に市民の皆様と共に汗する共汗の賜物であります。同時に,社会経済情勢の変化に伴い,更なる経済対策をはじめ,なお様々な課題が山積しております。こうした課題を踏まえ,現在,「京プラン」後半期の28年度から5年間に取り組む後期実施計画の策定を進めており,この度取りまとめました計画骨子にも示しておりますように,今後特に市民や事業者の皆様に豊かさを実感いただくための更なる経済の活性化と安定した雇用の創出,たゆみのない防災,減災対策,人口減少社会の克服と東京一極集中の是正を重要かつ横断的な視点に据えまして,更なる政策推進を図ることが必要不可欠と考えております。そのためにも,京都府との更なる政策の融合により二重行政の解消を進めるとともに,財政構造改革を一層推進し,特別の財源対策に頼らない持続可能な足腰の強い財政の確立が重要であります。私は,全国随一の市民力,地域力を誇る京都であれば,どんな困難も乗り越えられると確信いたしております。市民の皆様と共にあらゆる課題を克服し,京都の未来を切りひらくため,引き続き全力を尽くしてまいります。 次に,岡崎地域の活性化とロームシアター京都の運営についてでございます。本市では,岡崎地域の魅力を更に磨きを掛け,京都が未来に大きく飛躍する力とするために,神宮道と公園や動物園の再整備などを進め,その結果年間500万人を大きく越える人々が訪れる,にぎわいと創造性のあるまちづくりが着実に進んでまいりました。そして,文化の殿堂として市民の皆様に愛されてきました京都会館が,いよいよ来年1月10日にロームシアター京都として新たな門出を迎えます。小澤征爾音楽塾オペラ公演や世界レベルの国内外のバレエなど,これまでかなわなかった舞台芸術公演を実現するとともに,新たな三つのホールにおいて,市民の多彩な文化芸術活動をしっかりと支え,劇場文化の創造,発信拠点として,市民の皆様と共に大きく育ててまいりたいと考えております。今後京都市美術館の再整備も予定しており,岡崎の魅力を最大限にいかすためには,回遊性の向上や,施設の一体的な活用,民間施設とも連携したにぎわい創出等に一層取り組んでいく必要がございます。そのため,ロームシアター京都とみやこめっせなどの文化,交流施設をはじめ,社寺,庭園群,飲食店,料理屋さんなどとの一体的活用,また,大型イベントの同時開催や民間施設との連携企画により相乗効果を発揮させ,エリア一体が新たなにぎわいを創出し京都の活性化に役立つようにしてまいります。あわせて,総合案内拠点,岡崎・市電コンシェルジュ等の活用による回遊性の一層の向上などに取り組みまして,国内外の人々が集い,にぎわいあふれる地域として,京都全体の活性化を牽引していくように全力を傾注してまいります。以上でございます。 ○議長(津田大三) 鈴木議員。 〔鈴木マサホ議員登壇〕 ◆(鈴木マサホ議員) それでは,第二質問に入ります。12月は人権月間でもあります。この4年間,人権擁護委員をさせていただきました。「人権」をキーワードに,幾つかの課題について質疑をしたいと思います。 平成23年5月市会で同意を得て,同年10月から青木よしか議員ら各会派の議員七人の皆さんと共に法務省から委嘱されて人権擁護委員を拝命,今年9月末まで啓発活動や電話相談など皆さんと一緒に取り組んでまいりました。この10月から京都市会から8人の委員が新たに委嘱されて活動を始められると思いますけれども,参考になればと思います。お聞きください。 人権擁護委員とは,人権の侵害がないか見守り,相談相手になり,適切な処置を講ずることによって救済を図り,また,人権思想の普及高揚にも努めるのが役割で,広く社会の実情に通じ,人権擁護に理解のある人を市町村長が推薦し,法務大臣が委嘱した方々で,ボランティアです。活動の一つに,人権の花運動があります。秋に小学校や保育園に水仙の球根を持って行って,花が咲く頃,感謝状をお持ちします。そして園児や生徒たちに,お友達と仲良くしましょうと人権の話をします。生命の尊さを実感し,豊かな心を育み,優しさと思いやりの心を持ってもらおうということでございます。 電話相談では,常設の相談と子どもの人権110番や女性の人権ホットライン,高齢者・障害者の人権あんしん相談があります。電話が鳴ると緊張します。お年寄りや子供たち,女性,障害のある人,家族や御近所とのトラブルやパワハラ,セクハラなど電話の向こうの人の悩み事を電話でお聞きし,電話でお話を聞くだけのこともあれば,弁護士会などほかの機関を紹介したり,ときに人権侵犯事案であれば,問題の解決を図ります。お話を聞いてアドバイスをして感謝されるとほっとすることもあります。 街頭での啓発活動では,人KENまもる君と人KENあゆみちゃんのゆるキャラにも入ったことがあります。子供たちが寄ってきて握手をしてくれたり修学旅行生が記念撮影してくれたりで,楽しかったこともあります。 さてこれらの取組をして思ったことは,人権擁護委員と法務局,各行政の連携であります。京都市としてどう連携を深めるのかお尋ねします。 また京都市では,人権文化推進計画を策定,様々な課題に取り組んでいます。この後,ヘイトスピーチ,障害者の人権,犯罪被害者の人権について触れますが,まずは人権思想の啓発について,市長のお考えをお尋ねいたします。 次に,人権に関わることで由々しき事案が発生しています。ヘイトスピーチであります。法務大臣をして,ヘイトスピーチが議論になっており,その中には「殺せ」などといった過激な内容が含まれる場合もあります。こうした行為は人々に不安感や嫌悪感を与えるだけではなくて,差別意識を生じさせることにもつながりかねない,一人一人の人権が尊重される社会を実現するという観点からは,甚だ残念なことです。今後とも,こういった差別のない社会の実現に向けた啓発活動に一層積極的に取り組んでいきたいと発言をして「ヘイトスピーチを許さない」というポスターも作られています。 京都市会でも,平成26年12月22日の市会で,ヘイトスピーチ(憎悪表現)被害に対する意見書を採択しています。その趣旨は,「近年,日本ではヘイトスピーチが大きな社会問題となっている。国連人種差別撤廃委員会では,日本政府に対し毅然と対処する勧告など国際社会からも厳しい指摘がなされている。2009年の京都朝鮮第一初級学校に対する襲撃事件では,最高裁決定により,高額の損害賠償を認めた大阪高裁判決が確定した。ヘイトスピーチは,在日韓国,朝鮮の人々に対する社会的排除と暴力であり,決して許されるものではない。途中少し略しますが,今後,更に人権,文化を尊重し,人々が対等で平等に安心して生活することができる環境を充実させ,及び発展させることが望まれる。よって国におかれては,ヘイトスピーチ被害に対し,有効な調査及び対策を検討するよう求める」というものであります。京都府議会でもほぼ同様の意見書が今年3月に採択をされています。遭遇したことがありますが,怒りを覚えます。 今年10月には,京都府・京都市に有効なヘイトスピーチ対策の推進を求める会から提案がされています。その趣旨は,被害を受けた生徒たちへの支援,救済を強く求め,その後もヘイトスピーチが繰り返されていて,外国人や民族的マイノリティを排除しようとする動きを看過することはできない。多文化共生都市としての誇りを持って排外的な動きに対処を求めて,次のような提案がされています。 子供たちの精神,身体のケアを充実するための公的な施策,民族教育に関する理念や施策を改めて確立されること,相談機関の設置と学校など教育の場における実態調査,京都市長が,ヘイトスピーチを許さない自治体宣言を行うこと,市民との対話を重ねながら,人種差別を撤廃するための条例を制定することなどが提案されています。 1978年に世界文化自由都市宣言を発している京都市の市長として,教育委員会時代から人権の大切さを訴えてこられた市長として,ヘイトスピーチをどう考えるのか,どう対処されるのか,またこれらの提案について,どう考えられますかお答えください。 次に,障害者の人権についてお尋ねします。去る2012年11月本会議で,総合支援教育やバリアフリーのまちづくりなど障害福祉に絞って質疑をし,共生のまちづくりを訴えてまいりました。今期も教育福祉委員会として,この秋には,ほほえみ広場や,白杖安全デーなどに皆さんと共に参加してきました。京都市は,ほほえみプランを推進していますが,国連の障害者の権利に関する条約の締結に向けた国内法制度の整備の一環として,全ての国民が,障害の有無によって分け隔てられることなく,相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け,障害者差別解消法が制定され,来年平成28年4月1日に施行されます。この法律は,差別を解消するための措置として,行政機関と事業者に,不当な差別的取扱いの禁止といささか難しい言葉でありますけれども,合理的配慮の提供を義務付け,各行政機関には,対応要領を定めること,また,事業者には,事業活動や採用等において,国が定める対応指針を守ることを,それぞれ求めています。社会的障壁をいかに取り払うかが大切でございます。行政機関としての京都市の取組も必要ですが,事業者や市民に対する啓発など課題は大きいと思います。 現在,京都市障害者施策推進審議会において議論もされていますが,障害を理由とする差別の解消に向けて,法の趣旨を踏まえて,共生社会の実現に向けて市民も京都市も一体となった積極的な取組を求めます。4月からの施行に向けて,京都市として取組をどう進められるのか,市長の決意と推進のための計画についてお答えください。 なお,平成26年5月市会で,手話言語法制定を求める意見書を採択していますが,今般,京都市視覚障害者協会の要望を受けて,津田議長からの提案で,西村教育福祉委員会委員長を中心に手話言語条例を制定しようと準備が始まったところでございます。今朝の朝刊にも載っておりましたけれども,政令指定都市では2番目になります。全会派一致して制定に向けて努力しようではありませんか。 次に,人権問題として犯罪被害者支援について述べます。先日,犯罪被害者週間ということで市役所玄関でパネル展も行われていたところです。京都では,大谷實同志社総長らの尽力により,平成10年に京都犯罪被害者支援センターが設立,平成16年,犯罪被害者等基本法が制定され,京都市では,23年の2月に犯罪被害者等支援条例を制定しました。この条例は,行政,市民,事業者,民間支援団体が協力して,社会全体で犯罪被害者の支援に取り組み,安心して暮らすことができる地域社会の実現を図っていくのが目的です。条例では,市民の責務として,被害者等が置かれている状況及び支援の必要性についての理解を深め,名誉又は生活の平穏を害することのないよう十分に配慮するとともに,犯罪被害者等を地域社会で孤立させないよう努めなければならないものとされています。京都市の相談窓口として,公益社団法人京都犯罪被害者支援センターが担い,相談,連絡,調整の一元化を図り,総合的に支援する仕組みになっています。また生活資金の給付等の日常生活への支援,一時的な住居の提供,また精神的被害からの回復に向けた心のケアの充実,さらに観光旅行者などへの支援も条例に書かれています。 そこでお尋ねします。条例制定以後,京都市としてどういう取組を進めてきたのかお答えください。被害に遭われた方を温かく支える地域社会にしなければなりません。ときには過剰なマスコミ報道も見受けられますが,人権問題として市民への啓発なども必要であります。今後の課題についてどう対処されるのかお聞かせください。 なお,この犯罪被害者支援センターの事務長として,長年頑張って御尽力されました宮井久美子さんという方がこの夏亡くなられました。心よりお悔やみ申し上げたいと思います。 さて,養護施設の施設長が女児に対する児童福祉法違反で逮捕されました。施設長の行為は断罪されるものです。この事案について,9月市会の決算特別委員会の総括質疑や教育福祉委員会で,児童相談所から当事者とのやり取りの資料が示されて,質疑がされました。資料の流出はゆゆしき問題であります。相談者の個人情報の守秘義務がまずは第一義に考えるべきなのに,公益通報の正当性を主張して質疑をされたのは,誠に遺憾なことだと断じざるを得ません。また,当施設の運営については,特別監査結果報告書が出されていますけれども,子供たちを守る視点で,施設に対する指導や支援等,当局には引き続き取組を求めるものでございます。それぞれ指摘し要望をしておきたいと思います。 「冬来たりなば春遠からじ」,間もなく冬を迎えますが,すぐまた春はやってきます。市長におかれては,健康に留意されて,任期全う頑張っていただきたいと思います。 以上で私の方からの代表質問を終わりたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(津田大三) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 人権思想の啓発についてでございます。人権擁護委員としての鈴木議員の地道な御活躍ありがとうございます。京都は,これまでから,一人一人の人権が尊重され生き生きと暮らせるまちを目指し,市民の皆様や幅広い方々と様々な人権課題について果敢に取り組んでまいりました。人権文化の伝統が歴史の中に脈々と息づくまちであり,それが京都の誇りであります。一方,近年,社会状況等の変化に伴い,インターネット上の差別的な書き込みやヘイトスピーチなど心が痛む許し難い行為が発生しておりますが,本年2月に策定した新たな人権文化推進計画に基づき,こうした新しい課題に対しても的確に対応できる意識啓発の取組を一層進めてまいります。 差別を許さない社会の実現のためには,市民参加の下,行政相互と関係機関,団体との連携が極めて重要であり,とりわけ,各界の高い見識を有する人権擁護委員との連携は重要であります。このため,鈴木議員の御提案により実現しました人権擁護委員の皆様との意見交換の場で頂いた様々な御意見や御要望に基づき,活動の周知や広報などの支援にも積極的に取り組むとともに,各行政区のふれあい事業や啓発事業など本市が実施する様々な事業においても,人権擁護委員の皆様に活動していただく機会を設けるなど更なる連携を深めてまいります。今後とも,市民,企業,関係機関,団体等との連携の下,あらゆる場面において人権文化の息づくまち京都の実現を目指し,市民一人一人が当事者意識を持っていただき行動していただけるよう人権啓発をより一層効果的に推進してまいります。 次に,ヘイトスピーチについてでございます。世界文化自由都市宣言を都市の理念とする京都市におきましては,これまでから民族教育の支援や様々な人権啓発などを行い,民族や国籍による差別を許さない多文化が息づくまちづくりに取り組んでまいりました。ヘイトスピーチは,特定の民族や国籍の外国人等を差別し排除しようとする著しい人権侵害であり,決して許すことのできないものであります。鈴木マサホ議員御紹介の有効なヘイトスピーチ対策推進のための提案は,4,000人を超える賛同署名と共に具体的な提案を頂いたものであり,私も,その思いを重く受け止めております。表現の自由を盾に取って行われるヘイトスピーチをさせないためには,法規制や,それを許さない仕組みづくりが何よりも重要であります。このため,国に対して法による対応を含む実効性のある対策を要望しているところであり,こうした働き掛けを多くの市民の皆様や関係団体とも連携して更に強めてまいります。今後ともヘイトスピーチは許さないという姿勢をしっかりと発信し続けるとともに,市民ぐるみの機運を高め,人権意識がまちの隅々まで息づく多文化共生のまちづくりに取り組んでまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(津田大三) 藤田副市長。 〔藤田副市長登壇〕 ◎副市長(藤田裕之) まず,障害者差別解消法についてでございます。障害を理由とする差別の解消は,鈴木議員御指摘のとおり,人権に関わる最も重要な課題の一つであります。本市では,「はばたけ未来へ!京プラン」に,障害のある人もない人も,全ての人が違いを認め合い,支え合うまちづくりを重要な柱として掲げており,法の施行を契機に,更に市民ぐるみで取組を進めてまいります。特に,法が定めます不当な差別的取扱いの禁止はもとより,新たに具体化されました社会的障壁を除去するための必要かつ合理的な配慮,すなわち,具体的に言いますと,障害のある方からの,「段差があって通れない」,「話が聞こえないので理解できない」といった申出に対して,例えば段差に簡易スロープを付ける,あるいは手話や筆談でコミュニケーションを図るといったできる限りの工夫を行う合理的配慮という考え方の普及と実現が重要となります。このため,まずは全ての本市職員が市民の皆様や事業者のモデルとなれるよう,障害のある皆様の御意見も踏まえ,不当な差別の禁止と合理的配慮の考え方を定めました対応要領を来年1月には策定し,率先して取り組んでまいります。さらに対応要領の策定を契機にいたしまして,あらゆる機会を捉え法の趣旨や精神を積極的に発信し,差別の解消と共生社会の実現に向け,市民の皆様と共に取り組んでまいります。 次に,犯罪被害者支援についてでございます。本市では,政令市の中でいち早く施行した犯罪被害者等支援条例に基づきまして,犯罪被害者やその御家族,御遺族が受けられた被害の回復,軽減のため,京都犯罪被害者支援センターにワンストップの総合相談窓口を設置し,生活困窮者に対する一時金の給付,こころの健康増進センターでの精神的ケアの実施,被害に遭われた留学生への通訳派遣を行うなど様々な支援に努めてまいりました。また,こうした直接の支援のほかにも,被害者御自身や御遺族の方が自らの体験や命の尊さを訴えるフォーラムや展示イベントを開催するなど,京都府警察や京都府,また教育関係者や大学等とも連携した啓発,教育を進めてまいりました。犯罪による直接的な被害や生活環境の著しい変化だけでなく,周囲の不用意な言動,さらには,被害者のプライバシーが守られないといったことによります精神的な苦痛など,被害者の方が置かれている状況や抱えておられる課題はそれぞれに異なり,当事者以外には伝えにくいことなど深刻さも様々であります。こうしたことから,今後,被害者の皆様の意向を調査し,今日的な課題を把握して,被害者の立場に寄り添った支援を一層進めるとともに,引き続き犯罪被害者を地域ぐるみで,また,社会全体で支えることのできる取組を広げてまいります。以上でございます。 ○議長(津田大三) 次に,市政一般について,村山祥栄員に発言を許します。村山議員。 〔村山祥栄議員登壇(拍手)〕 ◆(村山祥栄議員) 地域政党京都党市会議員団を代表して,市政一般について質疑をさせていただきます。京都党の村山祥栄でございます。 さて,今,目下,平成28年度の予算編成の準備が局の方では行われていると思いますけれども,本日は,平成28年度の予算編成に当たり,これまでの予算,決算をこれまでとは違った切り口で少し分析をしていきたいと思っております。通常は金額ベースで分析をするんでございますが,今回は,比率をベースにした分析を行っております。要は預かったお金をどの分野にどう分配をしていくかというような視点で,割合で分析をさせていただきました。これは,総務省の平成25年度決算・市町村別決算状況調というものをベースにしまして,歳出割合を出して,全国の政令指定都市と比較して京都市の予算の特徴を分析したものであります。 私たちが今回抽出させていただきましたものは,本来入っております中小企業預託金につきましては除いて分析をしております。と言いますのも,中小企業預託金については皆さんも御存じのとおり,予算の性質上,使ったというべきものではございませんので,これを除いてどういうものになるかということで分析をさせていただいております。 できるだけ分かりやすく御説明をさせていただきたいと思いますので,京都市の予算が1万円だったとしたら幾らになるかと,こういうことで分析をさせていただきました。(パネルを示す)これが京都市の予算が1万円だったらという形で作らせていただいたものでございますが,見ていただきますとよく分かるんですが,福祉と生活保護のいわゆる民生費が全体で約4,410円,それから借金の返済に使っている公債費が1,446円,そして土木,建設費が1,141円ということで,大体この時点で全体の約7割になります。一方,総務費であるとか教育費であるとかずっとあるんですが,商工費,いわゆる商業,工業,観光というのに使われているのは,1万円の予算でいいますと92円,農業や林業でいいますと,全体の27円にしか満たないと,こういうのが全体を見渡しますと出てくるわけであります。京都市の特徴は,福祉関係を示す民生費が突出して高く,約全体の半分近くを占め,また,今申し上げましたように,市長が肝入りで進めてこられてきた観光や商業振興は,実は全体の1パーセントに満たないわけであります。意外,とお感じになる方も多いのではないかと思いますが,その理由は中小企業預託金が入っていないからであります。この中小企業預託金を含めますと,商工費は実は一気に増えて,福祉関係経費がぐっと減るわけでございますけれども,実は実態で捉えるとこういう数字になるというのが結果でございました。 福祉関係の民生費と借金の返済が迫られている公債費の比率がとりわけ高く,そしてそれ以外の分野はほぼ例外なく全国の平均を下回っているというのが京都市の予算の特徴であります。これは決していいとか悪いとかというのではなくて,全体を100と捉えておりますので,どこかが高ければどこかは必ず低いということで,これが都市の特色と言うべきものでありますが,問題はいかに効率よく予算を分配しているかということが問われるわけであります。 さて,京都市の民生費についてでございますけれども,4,410円ですが,実は全国の平均は3,791円,比率でいうと37.91パーセントなんですが,全国平均から比べると619円も高く,これは堺に次いで全国で2番目に高い全国屈指の高福祉都市という言い方ができます。そして一番予算を割いているのが,(発言する者あり)駄目とは言っておりませんよ,聞いてくださいね,一番予算を割いているのが,その中で生活保護費で市の予算全体の13パーセントを占めております。これは大阪,札幌,堺に次いで4番目,これは法定受託事務もございますので,やむを得ない部分も大きいわけでありますが,自立支援など複合的な対策を進めることで引下げをすることも可能でございます。 続きまして二つ目が,児童福祉費が,これまた13パーセント,これは全国平均が12.7パーセントでございますので,ちょうど平均的だということなんでございますが,他都市に比べまして京都の子供は人口比で言いますと少のうございますから,そういう意味で考えると決して少ないとは言えず,少子化対策を最重点に捉えていらっしゃる京都市としては概ねバランスの取れた数字なんだろうと思います。 一方,老人福祉費は,7.6パーセントでございまして,これ全国平均は5.9パーセントと,老人福祉費は全国政令指定都市の中で群を抜いて高いわけであります。高齢化比率が全国の中でも3番目に高いので,当然平均よりは高くなるんでございますけれども,京都市よりも高齢化が進んでおります静岡や北九州の老人福祉費は実は意外と低調でございまして,必ずしも高齢化に伴って比例しているというわけではなく,意図的に重点配分をしているわけです。 そして残るは社会福祉費が10.1パーセントでございますが,これも全国平均より少し高めで,全国が8.7パーセントでございまして,上から3番目ということになっております。 これらの配分を勘案しますと,京都市は,どこのまちに比べても福祉を最重点に置いており,とりわけ児童よりも高齢者に重きを置いた予算配分であるということが言えます。 さて,福祉に多額の予算が割かれているわけですが,その分の予算はどこから捻出しているのかということでありますが,実は,一番は,ここにございます土木費であります。土木費は,全体の11.4パーセントなんですが,全国平均は15.6パーセントでありまして,全国の中では突出して土木費が京都は低うございます。また,先ほど言いました農業林業予算も全国平均でいいますと0.92パーセントであるのに対して,京都市の予算は0.27パーセントと全国平均の4分の1程度の予算配分しかなされていません。これらはまちの開発や市内における山林面積の比などというのもございますので,一概に多い少ないと言うことはできないわけでありますが,総体的に見て少し少ないなという感があるわけであります。 また,先ほど申し上げた商工費につきましても,全国平均が1.4パーセントに対して京都は0.92パーセントと,全体の3分の2程度しか予算が割かれておりませんで,若者や高齢者の雇用問題なんかがクローズアップされている中,労働費も実は全国を下回っており,経済政策については少し手薄な感があります。 客観的に見ますと,福祉が最重要視され,その一方で,土木,建設,農林,そして商業,観光といったところが予算が手薄になっていると言えます。当然,福祉が一番多いのは当然なんでありますけれども,重要なのはバランスと,戦略をどう採っていくかということでありまして,その点につきまして,少し指摘をさせていただきたいと思います。 申し添えますが,今回使わせていただいたのは,平成25年度の決算でございまして,これが実は一番最新でございます。したがいまして,26年,27年と予算,決算と進んでおりますので,少し誤差が出ていることは御了承いただきたいと思います。 そのうえで指摘をさせていただきたいのは,まず一つ目でございますが,民生費についてであります。民生費の1パーセントは,農林予算と労働費を合わせた全額に匹敵するという大変大きなものでございます。そして今後ますます増えていくということが懸念されておりますから,とにかくここを見直さない限りは戦略的な予算を捻出することは当然できないだろうと,ここは弱者の切捨てにならないよう配慮をしたうえで,管理コストや自立支援の促進をしっかりして,とにかく質を下げずにコストを下げて民生費の見直しを優先的にやっていただきたいということが1点目であります。 2点目は,商工費,労働費に対して大幅な予算の加配を頂きたいということであります。まちの存立は,人がいることであると私は思っています。そのためには,そこに雇用があることだと思っています。そのためには,企業がそこにあって,経済活動をしっかり営めるということであります。人口減少社会を乗り越える根幹を支える,また税収の基盤になる経済活動を促進させるのは今日の行政の至上命題であり,若者の非正規雇用や生活保護世帯,また貧困世帯の増加に歯止めを掛けていくための労働政策や失業対策も待ったなしであります。またこれらに力を入れることで民生費を抑制することができるであろうということもございますので,少しずつ増額をされてきておりますけれども,27年度の予算編成では,市長も,最重点配分は経済政策なんだということをおっしゃっておりますので,意外と少ない経済対策に予算の加配をお願いするものであります。 それから三つ目は,総務費の加配であります。特に京都市は,文化首都,それから大学誘致など戦略的な課題が山積しております。総合企画局を中心に戦略的課題解決の解決に向けた予算の重点配分をお願いいたします。 そして4点目は,この予算按分を調査するに当たって,実はこれ行財政局が毎年総務省に提出するために,膨大な時間を割いてこの分析をやっております。非常に面倒くさい分析だと聞いておりますが,せっかく作っていただいておるんでございますから,私たちの予算,決算の参考資料に,是非こういう指標も使っていただきたいということで,出していただけるようにお願いをしたいと思います。 そして5点目は,前から申し上げておりますけれども,とにかくこういう全体を見渡して,どこにどう配分していくんだというような,これまでの積上げ型ではなくて,全体を見渡した分配をしていく,積上げ型から予算の割振り型の予算編成を是非お願いをしたいと思います。 さて次に,府市協調と言われる京都府と京都市の関係について質疑をさせていただきます。人口減少時代の到来は,都市の持続可能な発展の前に大きな壁となって立ちふさがっているわけでありますけれども,都市の持続可能性は,私は経済的持続可能性に置き換えることができると思っております。つまり経済的な自立が可能かどうかということが都市の将来を握っていると言っても過言ではありません。今,全国の都市で人口が減り疲弊しているわけでございますが,そのまちは例外なく,自分のまちよりも大きいまちが必ずそばにあります。それは政令指定都市でも例外ではありません。北九州,浜松,神戸,京都と。結局,一極集中といいますが,これ東京だけの問題ではございませんで,地方は地方でやっぱり一極集中がどんどんと進んでいるのです。 そうなりますと,京都がいかに大阪に引きずられずに,このまちが経済が成り立っていくようにするか,答えは二つだと思っております。一つは,大阪経済圏の傘に入って,大阪と共に共生していくというのが一つ,もう一つは,大阪経済圏とは一線を画して,京都経済圏を確立できるかどうかということが一つ。私の私見でありますが,神戸は,阪神間という連綿と連なる中核市を抱えておりますから,多分大阪経済圏の一角として生き残る,阪神圏として生き残ることが多分できるんでありましょう。しかしながら,地理的にも中途半端に距離のある京都は,大阪経済圏に参画をしていくことは難しいのではなかろうかと思っております。そういう意味で,京都の持続的発展の達成のためには,東京一極集中だけでなく,大阪,阪神経済圏から自立した広域京都経済圏を確立し,京都市を機軸とした大きな京都を,京都府,また隣接自治体と共に作り上げていく必要が私はあるのではないかと思っております。そういう意味で,京都府と京都市は強固な連携を取って進めていくべきであります。 さて,現在,京都府の歳入の中核を担う府民税の約6割は京都市民が負担しております。しかしながら,必ずしも京都市にその還元がなされているわけではありません。なぜなら,京都府の施策は,京都市を除く府下を軸に組み立てられているからであります。京都市の生命線とも言えるリニア,文化首都,副首都,こういった国家規模的な誘致活動が進んでいるわけでございますけれども,これに対しても京都府はまだまだ熱心だとは言えません。皇室を京都にお迎えする双京構想についても,府警の協力はもとより,国への発信についても府の協力が不可欠であります。 今,京都市長は,京都府から独立する特別自治市を提唱していらっしゃいます。それは京都府の事実上の分断と破綻を意味します。私どもも,元々特別自治市がいいんだということで一緒にやってきたわけでありますけれども,やはり,そうではなくて,京都市経済圏を確保していくためには,もっと周辺の自治体や京都府と一緒になって作っていく,この京都経済圏を作っていくことこそが,何よりも京都が生き残る大切な鍵ではないだろうかということで,私たちは,こういった特別自治市構想を一旦白紙に戻して,京都府と一緒になって広域経済圏の実現に向けて取り組むべきだと思っております。 そしてもう一つは,隣接自治体との連携であります。東京,大阪経済圏に対抗する経済圏を作るには,そういった形で京都府との連携も重要だということを申し上げましたが,隣接自治体との連携も重要であります。京都市の企業集積,また府南部の開発は,久御山,宇治,長岡京をはじめとした府下の自治体と合作で進めたら,もっと大きな力になります。また,水道や交通や保育といった多くの行政分野で相互乗入れをする中で,お互い連携をしっかりとすることができれば,今の枠組みの中でももっともっと強いしなやかな経済圏を作っていくことができるのではないかと考えています。 そこで改めて御質問をさせていただきます。特別自治市に対する市長の御見解,そして大京都経済圏の構築についての御所見を伺いたいと存じます。 次に,既に成果を上げられている政策の促進について御質疑をさせていただきます。まず,コトキン・ライナーの実施についてでありますが,この問題については,かねてから委員会でお願いをしていた課題でございまして,この度晴れて実施していただきましたことには関係各位の皆様の御労苦と御英断に心より感謝するところであります。また当初の想像を超えて,多くのお客様に乗っていただきまして,私の周りでも大変たくさんの反響を頂いております。どうか,この市民の声に後押しされ,金曜日のみならず全日の終電延長がなされるべきだと考えますがいかがでしょうか。お答えをいただきたいと思います。 それからもう一つ,客引き禁止条例についてですが,条例施行から早半年たちまして,目に見えて悪質な客引きは減少しております。これは明確に政策効果が表れており,高く評価したいと思います。しかしながら,一方で禁止エリアに指定されていない京都駅烏丸口界わいでは,これまで以上に客引きが増加しているということも伺っております。当該エリアも含め,更なるエリアの指定拡大を進め,市民生活の安心安全の向上に寄与していただきますよう,これはお願いをしておきたいと思います。 それから最後に,行政広報についてでございますが,昨今,広島県の取組に端を発しまして,行政の広報力は,全国で急激に進化を遂げております。市民に対して伝える努力は,京都市はこれまでもやってまいりましたが,必ずしも十分であったとは言えません。しかしながら,ここ最近の市民しんぶんを拝見しておりますと,冒険的と言いましょうか,非常に分かりやすくて見やすい紙面になってまいりました。市民に周知をするという行為は,市民と行政をつなぐ大変重要な行為の一つでございます。幾らいい取組をしていただきましても,市民に御理解をいただけないのであれば,何の意味もありません。そういう意味では,今回の取組を高く評価し,引き続き広報力の向上に向け取り組んでいただきたいと思います。 以上,私からの質問と要望を終わらせていただきます。御清聴,誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(津田大三) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 村山祥栄議員の御質問にお答えします。 大都市制度及び近隣自治体との連携の強化についてでございます。各都市が個性豊かで活力に満ちたまちづくりを自主的,総合的に推進し,持続的に発展していくためには,市民の皆様に最も身近な基礎自治体に対して権限と財源を大幅に移譲し,地域のことは地域で決め,実行できる仕組みを構築していくことが必要であります。とりわけ,先駆的かつ先導的な役割を果たしている政令指定都市においては様々な課題があり,すぐに実現できるものではございませんが,将来の在るべき姿として,市域内の地方の事務全てを担う特別自治市がふさわしいと私は考えております。しかしながら,人口減少社会の克服,東京一極集中の打破など待ったなしの課題を解決していくためには,現行制度の下で府市協調を基盤に本市自らの課題解決だけに終始することなく,近隣自治体をはじめ全国の自治体と水平連携することによって相互の発展につなげていくことが必要不可欠であります。このため,私は,大津市,奈良市とのみやこサミットの定例的な開催や向日市との相互交流宣言などにより都市間連携を強化するとともに,京都市を中心に,京都府,滋賀県,大阪府の30の近隣自治体で組織しております京都都市圏自治体ネットワークにおいて,今年度,国の新たな広域連携促進事業を活用し,観光を切り口とした近隣自治体間の水平連携の在り方を検討するなど地域の活性化,安心安全にもつながる水平連携を更に強化していこうとしております。今後,観光はもとより,伝統産業の振興など日本の文化の中軸としての特性をいかした京都ならではの実効ある水平連携を更に強化してまいります。 あわせて,京都府とは,これまでから基礎自治体重視を大原則に政策の企画構想段階から徹底して議論を重ね,全国で唯一の中小企業への融資制度の一本化,動物愛ランドや衛生研究所の共同化など全国に例のない成果を上げており,引き続き,消防学校の一体化など府市協調による二重行政の解消と政策の融合を強力に進めてまいります。今後とも,府内唯一の政令指定都市として,京都府をはじめ近隣自治体との連携を一層推進し,経済をはじめとする京都圏域全体の活性化,発展につながるよう,その役割を積極的に果たしてまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(津田大三) 小笠原副市長。 〔小笠原副市長登壇〕 ◎副市長(小笠原憲一) 予算の配分割合についてでございます。予算は,それぞれの都市の規模,住民の特性やニーズ,それから行政が地域で果たす役割など,それぞれの地域の状況に応じて編成されているものでございまして,単純な比較に注意を要することは申し上げるまでもございません。そのうえで申し上げますが,全国共通の傾向として,民生費が予算の中で最大の割合を占めると同時に,少子高齢化の進展により年々増加しておりますが,とりわけ,本市は,独自の保育料軽減や保育士加配といった全国トップレベルの福祉,子育て支援を推進しており,その割合が政令市の中でも最も高い水準となっております。一方で持続可能な市政運営を確立するためには,福祉施策についても社会の変化に応じた見直しが必要であり,市民の生活への影響に配慮しつつ不断の見直しに取り組んでいます。具体的には,生活保護の自立支援と不正受給対策の積極的な推進のほか,施設運営の民間委託等の推進,健康長寿のまちづくりによる医療費の適正化などの幅広い改革を展開しており,今後もしっかりと取り組んでまいります。 次に,経済対策については,これまでから京都経済の活性化と安定した雇用の確保を予算の重点方針の第一として,京都府,経済界とも連携したオール京都で効果的な施策展開に努めております。商工費についても近年その増額に努めるとともに,これに限らず,例えば文化,景観,歩くまちの推進など,総合的な取組により観光振興を図るなど,あらゆる政策を通じて経済の活性化に取り組んでいるところでございます。このほか,戦略的に取り組むべき市政の重要課題についても,これまでから縦割りを徹底して排した政策の融合,分野横断的なプロジェクトチームの活用など市政運営の根幹として取り組んでおります。予算,決算の際の資料の提供についてのお尋ねがございましたが,分野ごとの比較を行う際には,冒頭申し上げたとおり,各都市の特殊事情に加えまして,大規模な施設整備がある期間はその分野が一時的に増加することなどから,経年の推移や内訳等に留意を要することから,資料の提供についても十分な検討が必要と考えております。予算編成方式についてでございますが,本市の予算は市長が示した重点方針に基づき,現場のことを最もよく知る各局区等の長が予算要求し,最終,局横断的な判断を市長が行うことにより,政策の優先順位を重視した予算編成となっております。今後も引き続き,徹底した行財政改革を進めると同時に,重点分野には思い切った投資をするなど,京都の未来を切りひらく効果的な予算の編成に努めてまいります。以上です。 ○議長(津田大三) 西村公営企業管理者。 〔西村公営企業管理者登壇〕 ◎公営企業管理者(西村隆) 地下鉄の終電延長の拡大についてでございます。本年10月から,休日前の金曜日に終電を30分延長する地下鉄深夜便コトキン・ライナーの運行を開始いたしました。現在までの御利用者数は,1日平均約1,400人で,多いときには1,650人の御利用となっております。採算ラインの2,100人には達しませんが,多くのお客様に好評を頂き,順調なスタートが切れたと考えております。終電延長の実施には,大きく二つの課題がございます。1点目は,終電後の夜間に,毎日安全運行のために実施する保守作業時間を確保すること,2点目は,需要見込みと費用対効果の問題です。こうした課題がある中で,十分検討を重ねた結果,3年間の試行として現在の形態で実施することといたしました。議員御提案の毎日30分終電延長を行う場合の試算も行いましたが,保守作業の体制強化,また乗務員の増員などで年間およそ2億円の経費を要し,これに見合う採算ラインの1日2,700人の御利用を見込むことは難しく,現在の地下鉄の厳しい経営状況の下での実施は困難と判断いたしました。これに対し,現在の週1回実施の場合では,創意工夫により乗務員を増員することなく,年間2,000万円の経費で実施できることから,終電の御利用が際立って多い金曜日に実施することといたしました。今後,更なるPRを行い,まずはこのコトキン・ライナーの利用促進に努め,試行期間3年間の利用状況,他の曜日の終電の利用実態,また,地下鉄事業の経営健全化の進捗状況を踏まえまして,その後の実施形態を検討いたしたいと考えております。以上でございます。 ○議長(津田大三) 次に,市政一般について,豊田貴志議員に発言を許します。豊田議員。 〔豊田貴志議員登壇(拍手)〕 ◆(豊田貴志議員) 京都維新の会・無所属京都市会議員団,山科区選出の豊田貴志でございます。私は会派を代表し,先に通告しております数点について質問をさせていただきます。 質問に入ります前に一言申し述べます。先般行われました大阪ダブル選挙では我々と連携する大阪維新の会が知事選,市長選共に勝利を収めさせていただきました。これは自民党が推薦する候補を共産党や大阪でも壊滅した民主党が一緒になって支援するという理念も大義もない選挙戦に大阪の方があきれ返った事も一つの要因ではありますが,この間の維新改革の実績や東京一極集中の打破を目指すとともに,地方のことは地方で決める,そして二重行政の解消を含めた税金の使い道を変えてほしいという思いが反映された結果だと思います。今般,我々は新たに京都維新の会・無所属京都市会議員団としてスタートを切らせていただきました。大阪での改革の成功例を受け止め,今後も変わりなく維新・京都八策の実現に向けて邁進してまいります。 それでは質問に移らせていただきます。まず,市長の政治姿勢についてお伺いします。門川市政が誕生し,2期8年が経過しようとしています。市長部局による自己評価によれば,先の市長選で掲げた未来の京都まちづくりマニフェスト全121項目のうち9割に当たる110項目は達成済み,一部達成項目が8項目,達成の目途が立っていない項目は3項目と,正に自画自賛と言える高い評価をされています。ところが,門川市長に対する市民の評価は必ずしも高くない現状もあると感じます。 その一つが四条通歩道拡幅事業であります。四条通歩道拡幅事業は平成13年に策定された京都市基本計画に掲げた歩くまち・京都の実現に向けて取組を進める中で,平成17年に地元要望が上げられ社会実験等を経て,10年の年月を掛けて本事業が完成しました。大都市の中心市街地の車線数を減らし,歩道を拡幅する取組は全国初となるもので,11月15日には完成式典が催され,当の市長はもとより多くの方が本事業に対して美辞麗句を述べておられました。ところが,本事業は市民生活に多大な影響を及ぼしており,市民の共感が必ずしも得られていないのが現状です。9月市会代表質問では,京都党が実施した独自アンケートの結果を基に本事業に対して質問を行われました。様々なデータの見方はあると思いますが,このアンケートを見ると「元に戻してほしい」という声が4割程度占めているのと同時に,我慢しながらでも「このままでよい」が5割程度であり,市民の評価が分かれている事業であることが改めて立証されるデータの一つであると言え,脱クルマ社会や人と公共交通優先のまちづくりという本市の理念と市民の考え方が乖離していることを表していると思います。 歩くまち・京都の理念は確かに立派だと感じます。しかしながら,私の地元山科区も含めた市内周辺部は公共交通網の整備もできていない地域が数多くあり,そもそも歩くまちには程遠い状況にあります。更に本市は,人口が147万人程度で,東京,大阪,そして横浜などの巨大都市に及ばないだけでなく,人口密度も低いため,公共交通の魅力である,早い,便利といった基本的な面が不十分であり,脱クルマ社会を標榜するには難しい面もあります。 昨年11月に本事業が着工されましたが,今春には大渋滞が発生し,渋滞は起きないとの当初の見通しの甘さが浮き彫りになりました。その打開策として,一部のバス系統を四条通から迂回することを決めましたが歩くまちの趣旨からすれば本末転倒と言わざるを得ません。更に,河原町通の高島屋駐車場の南側に新たに信号機を設置し,駐車場から車が右折し南進できるようにするとともに,全国初となるバス停改札と呼ばれるバス停に移動式の運賃箱を置き,車外で運賃精算を行う取組もするなど,なりふり構わず施策を推し進める姿勢にはあきれ返るばかりです。そして,他府県ナンバーの車の流入を防ぐ観点から,看板や横断幕,標識等を市内幹線道路約300箇所に設置を行いました。昨年に本格施行された屋外広告物条例で事業者の看板等を規制しておきながら,一方でこうした対策で景観を阻害することは理解に苦しみます。京都のメインストリートとはいえ,たかだか1,100メートル程度の道路改修事業に対して,これだけ多くの対策を行わなければならないのならば,そもそも本事業の実施をしなくてもよかったのではないかとの声も上がる現実も受け止めなければならないと思います。 そこで,市長にお伺いします。本事業は門川市政の象徴の一つであると言えますが,本事業も含めて,市民と共汗が政治信条の市長に対して市民の多様な声は聞き届けられているのでしょうか。あわせて,2期目の終わりを迎えるに当たって,8年間の市政運営についての御自身の評価をお聞かせください。 さて,我々は政治家自らがまず身を切る改革を実行しなければ,真の行財政改革や公務員制度改革は実行できないと訴えてまいりました。隣の大阪府では,議員報酬は3割削減し,知事の給与も3割削減するとともに退職金は85パーセント減額しました。また,大阪市でも議員報酬は1割以上削減し,市長の給与4割削減と退職金は8割削減を実現しました。更に,次の任期からは知事,市長共に全国初となる退職金制度の廃止を決定しました。これは,民間企業では慢性的な赤字企業の役員である各自治体の首長や議員が,率先して自分たちの給与,報酬をカットする身を切る改革を実行することにより,現行の身分制とも呼べる公務員制度の抜本的改革に向け,総人件費2割カットを含めた厳しい改革に当たる覚悟と決意の取組であります。「役人栄えて国滅ぶ」とは田中角栄元総理の金言ですが,今こそ自治体支出の大きな割合を占める公務員の在り方を検討すべきだと考えます。 本市においては,市長自らの給与2割削減を行うとともに各特別職も含めた給与カットを実施していることは一定評価したいと思いますが,4年間の退職金約3,500万円については手付かずになっています。先ほど申し上げた大阪府知事は630万円,大阪市長は750万円と比較して非常に高額な退職金であると言えます。市長は常々,全国の自治体で最も脆弱な財政基盤と,この京都市のことを言われていますが,現状の財政状況も踏まえた市長退職金制度の在り方を示す必要があると考えます。 そこで,市長にお伺いします。市長退職金制度についてどのようにお考えでしょうか,ここで一旦,質問を切らせていただきます。 ○議長(津田大三) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 豊田貴志議員の御質問にお答えします。 2期8年間の市政運営についてでございます。私は,市長就任以来,現地現場主義に徹し,市政の第一線や市民の皆様の活動の場をできるだけ訪ねて,多くの市民の皆様と直接お会いし,様々な御意見を伺うことに努め,頂いた貴重な御意見を積極的に市政の推進と改革にいかしてまいりました。また,徹底した市民参加の下に作成した基本計画を市民の皆様と共に実現してまいりました。10月末に完成しました四条通の歩道拡幅につきましても,基本計画に基づき,地元や幅広い関係者と約8年にわたり議論を重ね,丁寧に合意形成を図ったうえで工事に着手しました。春の観光シーズンには交通集中により大変な渋滞が発生し,皆様には大変御迷惑,御心配をお掛けしましたが,頂いた厳しい御意見も真摯に受け止め,あらゆる対策を講じた結果,今では多くの皆様から,歩道が広がり歩きやすくなった,ベビーカーで四条通を通りやすくなったなどのお声も頂いております。 市政を推進していく上で,市民の皆様から様々な御意見があることは当然のことであり,私はこれまでから,反対のお声も含めて積極的にお聴きし,率直に意見を交わし,それぞれの思いにしっかりと向き合い,政策に反映するよう努めてまいりました。このことにより市民や事業者の皆様と課題,夢や使命感,何よりも行動を共有することができ,その結果,市会の議決を得て策定いたしました「はばたけ未来へ!京プラン」に掲げる六つの未来像の実現に向け,厳しい財政状況の下,徹底した行財政改革の断行により財源を確保しつつ,福祉や教育,子育て支援を充実し,市民生活の安心安全を守り,中小企業を支えるとともに,未来への先行投資も積極的に行うなど市民の皆様にお約束した政策を着実に実行することができたと考えております。そして,2年連続の保育所待機児童ゼロの実現や,地下鉄・市バスの利便性向上と大幅な増客の実現,経営の改善,府市協調による二重行政の打破による政策の融合,施設の一体化による効率的な行政の実現など多くの成果を皆様と共有できたと実感いたしております。このことは,昨年度設置された第三者機関である京都市基本計画点検委員会からも,「基本計画は全体として順調に進捗し,京都の未来像が具現化し始めている」との評価を頂いているところであります。 しかし,経済対策や人口減少など,なお取り組むべき課題も多くございます。今後とも,これまでの成果と教訓をいかし,市会はもとより市民の皆様の御意見に常に率直に耳を傾けるとともに,政策の実行に際して皆様の御理解を得られるよう,より分かりやすく説明責任を果たし,ぶれることなく市民の皆様との共に汗する共汗と,あらゆる政策の融合により,京都の未来像の実現のために市政の推進に全力を尽くしてまいります。 以下,関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(津田大三) 田中人材育成政策監。 〔田中人材育成政策監登壇〕 ◎人材育成政策監(田中照人) 市長の退職手当制度についてでございます。公選職,すなわち公の選挙により選ばれます職であります市長の業務は,市会との二元代表制の下,市民生活の安心安全を守り,将来にわたって都市の発展を導いていくなど,広範かつ,ますます多様化,複雑化する自治体の舵取りという重要な役割を担っております。退職手当制度につきましては,そのような職責を担っている市長としてふさわしい水準であることが必要と考えておりますが,同時に,本市の財政状況や民間企業における支給状況,他都市との均衡など様々な事情を総合的に判断し,市会の御議決を経て定めました京都市特別職職員退職手当支給条例の規定に基づき支給しているところであります。本市におきましては,こうした認識の下,これまでから,適宜必要な見直しを行っており,その水準につきましては,一般職員の退職手当の引下げに合わせ,平成16年度から約6パーセント,25年度からは更に約13パーセント引き下げております。また,退職手当の見直しとは別に,議員御指摘のとおり,本市の財政状況に鑑み,他の政令指定都市に先駆け,平成13年3月からは15パーセント,21年1月からは20パーセントと,15年間にわたり市長の給与削減措置を実施しているところであります。今後とも,社会経済情勢等を踏まえつつ,常に適切なものであるよう,市長の退職手当や給与につきまして,必要な点検,検討を行ってまいります。以上でございます。 ○議長(津田大三) 豊田議員。 〔豊田貴志議員登壇〕 ◆(豊田貴志議員) 御答弁いただきました。まず,この四条通の問題というのは,私は,市長の政治姿勢の一例を表していると考えております。こういった市民の評価が分かれている施策は,このほかにもたくさんあるわけでありまして,まず,景観条例,ここへ広告物条例も含めて,市民は本当に納得し,理解しているとは言い難い施策の推進は,一体これは誰のための京都市なのか今一度私は明確にすべきではないかなと思います。 そしてこれは,今の市会の現状と重なっていると私は思います。この4月に統一地方選挙が行われ,議会構成が大きく変わりました。これまでは定数の7割を自民,公明,民主のいわゆる与党3会派が占めていましたが,民主党の退潮傾向が原因の一つではありますが,与党の議席占有率は6割を切っております。市長を支える与党の議席が減少したにもかかわらず,市長の市会に対する姿勢は一向に変わっていません。例えば我が会派が去る11月26日に予算要望のための面談を要請しても,いまだにお返事も頂けない状況や,代表質問及び総括質疑で与党以外の会派に対しては,市長自ら余り答弁されないのは遺憾であるとしか言いようがありません。また,決算特別委員会総括質疑で,委員長に対して,「この質問の通告の在り方や議会の運営の在り方を考えてほしい」との発言は,市長として二元代表制を余り理解されていない,私は資質が問われる一面をかいま見た気がしました。市長は,やはり枠組みにこだわるのではなく,反対意見も含めた市民のための市長として,与党会派以外の声を聴く姿勢が必要だと改めて感じます。毎晩のように宴会に出席したり,休日に学校のトイレ清掃をすることが必要かどうかは私には分かりませんが,そんなこと以上に我々市民の負託を受けた二元代表制の一翼を担う各会派の提言に耳を傾ける姿勢を求めたいと思います。 また,市長退職金制度ですが,これをそもそも市長が御答弁されないということ自体が,私はもうこれは問題だと思っています。自らの退職金をどのようにするのかというのが,他の理事者が答えるというのは,私はこれはいかがなものかなと思います。何事も,市長は,常に果敢にとか,そういった言葉を使われますが,やはりふさわしい水準が必要,そして重要な役割を担っている市長というのは,これは重々承知をしております。しかし御自身が「9割以上達成をしている,そしてこれだけの仕事をしているんだ」と言うのであるならば,これは私は,しっかりとこれは退職金制度というのは堅持すると,私は,御自身が答弁すべきだと考えております。 そして,それでは引き続いて,次の質問に移らせていただきたいと思います。次に,地方分権についてお伺いします。現在,地方分権論が加速する中で,従来の国主導の地方分権改革を待つのではなく,各地の地方自治体は,住民により身近なところで政策決定を行う分権社会への移行を懸命に模索しております。先ほども申し上げた大阪府知事選,大阪市長選で再度民意を得た大阪都構想は,これまでの府市の枠組みを抜本的に変える選択肢であり,二重行政の完全解消を行う一つの手法でもあります。大阪都構想以外にも,愛知県の中京都構想,新潟県での新潟州構想などこれまでの政令指定都市を解体し,特別区を設け,権限,財源を広域自治体である府県集権を行うことにより二重行政の解決を図る議論と,2009年の三大都市によるスーパー大都市・都市州構想や政令指定都市が府県と同等の権限,財源を持ち,府県から独立する特別自治市創設に向けた議論が,府県と政令指定都市の双方から発信されています。また,京都府では将来の道州制の先駆けともいえる府県の合併となる京滋合併について思いを巡らせていますが,現在は大阪の影響もあり,政令指定都市に関する地方分権論の方が活発に行われています。特段,本市は府内人口の55パーセントを占めており,全国の政令指定都市では最も占有率が高く,かつて特別市の議論が行われた際は特別市に最も近い都市と言われたこともありました。 以前,門川市長は特別自治市の研究といった曖昧な表現をしながらも,将来的な創設,移行を目指すような発言もされてきましたが,最近は鳴りを潜めているように見受けられます。私は以前,京都府議会において,山田知事に特別自治市に関して質問をした際に,山田知事が,京都市が京都府から抜けた際,京都府が南北に分断され行政として成り立たないと,特別自治市について否定をされました。確かに特別自治市については京都に府が二つ存在するような考え方ですが,本市や横浜市の様に府県内に占める人口割合が高い政令指定都市では,より多くの税源を確保できることも含め多くのメリットがあるのも事実です。 そこで市長にお伺いします。大阪都構想における,府県と政令指定都市の二重行政の完全解消に向けた取組についての御所見をお伺いします。また,特別自治市も含めた,本市の二重行政解消についての御見解をお聞かせください。(拍手) ○議長(津田大三) 塚本副市長。 〔塚本副市長登壇〕 ◎副市長(塚本稔) 副市長からお答えさせていただきます。二重行政の解消についてでございます。政令指定都市は,その規模や歴史,地域で果たす役割などの違いから,それぞれ都市特性を有しております。このため,二重行政の解消は,それぞれの地域の実情に応じた手段によって図るものと考えており,大阪市を廃止して五つの特別区を設置する大阪都構想も,大阪府と大阪市の間の二重行政を解消するための一つの手段であると認識しております。一方,千年を超える歴史や伝統,文化が市域全体で醸成されているという都市特性を持つ京都市におきましては,府との二重行政を解消する手段としては,市民の皆様に最も身近な基礎自治体である本市に対して権限と財源を大幅に移譲し,市域内の地方の事務全てを担う特別自治市が,様々な課題がございまして,すぐには実現できるものではございませんけれども,将来の在るべき姿としてふさわしいと考えております。同時に,現行制度の下でも,制度の限界に挑戦し,二重行政解消に向け,あらゆる可能性を追求することが極めて重要でございます。この認識の下,京都府とは,市長と知事との懇談会や,温暖化対策をはじめとする10のテーマの府市行政協働パネルを公開の下で実施するなど基礎自治体重視で企画構想段階から率直に議論を尽くす,いわば京都方式で,政策の融合や連携の強化を徹底して進めてまいりました。そしてこれまでの間,二元代表制の下で市会の先生方と車の両輪となって,聖域を設けず大胆に改革に挑戦した結果,全国で唯一の中小企業への融資制度の一本化や,動物愛ランドや衛生研究所の共同整備など全国に例のない大きな成果を上げてまいりました。また,改革を加速させるため,昨年度から,市府の類似施設の総点検に着手し,今年9月から開始した公営住宅の入居相談の共同実施のほか来年度からは計量検査所の共同化,再来年度には消防学校の本格的な共同化を行うなど,山田知事と門川市長がしっかりとスクラムを組む中で,二重行政解消の取組が更に大きく前進してまいりました。今後も引き続き,市府の施設の一体化,事業の共同実施,施設問の更なる連携の強化など徹底した市民目線で改革を断行し,二重行政の打破はもとより一層の市民サービスの向上と行政運営の効率化に努めてまいります。以上でございます。 ○議長(津田大三) 豊田議員。 〔豊田貴志議員登壇(拍手)〕 ◆(豊田貴志議員) この二重行政の解消に向けた取組で,以前は特別自治市というのも言われたわけですけれども,今の御答弁を聞く限り,特別市への移行というよりは,確固たる府市協調というか,府と市が協議をすることによって,二重行政の打破を目指していくという理解になろうかと思います。しかしながら,やはり今は様々な取組は行っております。しかし本当に二重行政の完全解消に向けてというのが,どこまでできるのかというのも,私はしっかりとこれは形として出していかなければならないと思います。大阪のやり方がいいのかどうかというのは,京都のやり方もあろうと思います。しかしながら,やはり特別自治市にもしこれを移行するということが考えられるならば,やはりそれは覚悟と決意が必要です。それこそ果敢に挑んでいかなければならない私は事柄だと思います。大阪は大阪のやり方,そして京都は京都のやり方というのがあろうと思いますが,是非とも私は,私どもは,やはり二重行政の完全解消ということが一つの選挙の公約にうたっておりますので,今後も徹底的にこれは議論をさせていただきたいと思います。 最後に,今日は,市長御自身のこの間の市政運営について,そしてまた御自身の政治姿勢についてお伺いしました。我々京都維新の会・無所属市会議員団は,門川市政への評価をこの間させていただきました。一定の評価はできるものの,しかしながら,まだまだ我々の願いが聞き入れられない,そしてまた,政策のなかなか融合性も少ない面もあるということもありまして,我々おおむね60点,及第点は差し上げてもいいのかなと考えております。 私が,かつて論戦を交わさせていただいた山田知事と比較すると,なかなか物足りない部分もあります。それは先ほど申し上げた対話の姿勢も一因ですが,一部の,御自身の周囲のことばかりを考えて,なかなか私は大胆な行政運営に踏み込めていないのではないのかなと思います。そして市民からの評価より,何かと世界的なであるとか,歴史的なという,外からの評価,つまり御自身の評価を気にされる姿勢がかなり私は見受けられると思います。果たしてそういった政治姿勢がいかがなものかなと私どもは考えております。 共産党対非共産党というのは,実は前時代的な構図であります。国政では,あれだけ与野党に分かれて激しくやり合っている政党が,本来の二元代表制から離れた与野党二元論で行う今の市長選の在り方が,果たして市民が求めていることなのかどうか。我々京都維新の会は,しっかり市民の声を受け止めていきたいと考えております。 以上で,私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(津田大三) これをもって,一般質問を終結いたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(津田大三) 本日は,これをもって散会いたします。 〔午後4時43分散会〕~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~          議長    津田大三          副議長   大道義知          署名議員  大津裕太          同     菅谷浩平 △(イメージ)請願文書表「受理番号9」「学費・奨学金の負担軽減と若者雇用の改善」・請願文書表「受理番号10」「敬老乗車証の使用区間の拡大」 △(イメージ)請願文書表「受理番号11」「敬老乗車証の使用区間の拡大」・請願文書表「受理番号12」「保育・学童保育制度の充実」 △(イメージ)請願文書表「受理番号13」「全員制の中学校給食の実施」・請願文書表「受理番号14」「市営住宅の浴室の改修」 △(イメージ)請願文書表「受理番号15」「市営住宅の浴室の改修」・請願文書表「受理番号16」「エレベーターホールのバリアフリー化」 △(イメージ)請願文書表「受理番号17」「団地内のバリアフリー化」・陳情文書表「受理番号21」「敬老乗車証の使用区間の拡大」...